概要
和風ファンタジー異類婚姻譚です。
なんちゃって、明治時代風。
捨てられない人は執着が強そうですね。
2025.1.29
角川ビーンズ文庫『その溺愛、過剰です!?』コンテストで「書籍化検討作品」に選出されました!
ありがとうございました!
https://kakuyomu.jp/contests/beans_sonodekiai
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!古きものと新しきものが混じり合う明治あやかし恋物語!&圧巻のラスト!
文明開化、そして廃仏毀釈の明治の世で、珍しい栗色の髪と琥珀色の瞳を持った少女、栗山くるみは新しいものが好きなハイカラお嬢様・豊穣美乃里に拾われて、豊穣家の女中になります。ところが、豊穣家は謎だらけで、裏山はゴミの山。そしてそこにかつてあったという信仰。祖母の教えで物を大事にするくるみは、かつてそこにいた神の使いというあやかしガラスの少年・芥と出会い、大切な祖母の形見の指輪を奪われてしまいます。指輪を取り戻そうと頑張るうちに、いつしか深まる心の交流。さて、そんな二人を意味深に見守るお嬢様と、突如現れた謎の書生。そして圧巻のラストシーンです。ミステリアスな豊穣邸の謎と登場人物達の秘密が徐々に明か…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!決して埋もれることない、びいどろの輝き
様々な新しいものが入り乱れ、古いものが置き去りにされていく時代――明治時代風の世界観で紡がれる異類婚姻譚。
主人公のくるみは田舎から都会へと繰り出し、豊穣邸のお嬢様の美乃里に拾われて働く日々。その豊穣邸の裏山へ生ごみ捨てに行くと、そこで芥と出会う。芥は烏の化身。
捨てられた生ごみを供物と言い張る芥はゴミに埋もれて生きていた。
ゴミに執着する芥と、ごみを活かそうとするくるみ。
ゴミばかり捨てられる裏山を大事にする芥のために、くるみは知識を活かして生き生きとした場所へと変えていくのですが――。
とにかく二人が尊い。
ほのぼのとした調子で会話を重ねたかと思えば、途端にくるみへの執着を剥き出しにも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!そのガラス玉がきらめくのは、あなたを映すから
“散切り頭を叩いてみれば、文明開化の音がする”
そんな流行歌も幾分昔となった、成熟後の明治時代を思わせる舞台。
夕日が沈みガス灯ともる港町のセンチメンタルな風情に思い馳せていると……
ぷぅんと意識を戻すハエの音⁉︎
主人公・くるみが奉公先の使いで山にゴミを捨てているところ、あやかしに襲われ大切な形見を奪われてしまう。そのあやかしこそ、本作のヒーロー、芥でした。
衝撃的な出会いでしたが、お役目と形見のため、くるみは“密会”を重ねていきます。
というのも、奉公先のお嬢様は大のあやかし嫌い、古い価値観嫌い。
大らかで明るいくるみはいつしか芥とも心を通わせていくのですが……
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!二人にとって、たった一つの宝珠
明治のような日本。
くるみは美乃里という令嬢のいる奉公先で女中として、働いておりました。
ゴミを捨てている最中ですが、とあるゴミ捨て場にあるほとんどのものが、綺麗や手入れをすれば使えるものばかり。一つ手にして持ち帰ろうとすると、
「供物を取るな!」
と、背中に翼を生やした男が彼女の手を掴んで制したのです。
彼は人ではありません。ごみの山を奉納品として見ていました。くるみは彼にとっての失言をしてしまい、彼の手が伸びかけたとき、彼女はやられると思いました。しかし、彼はくるみの祖母の形見である指輪をとって見逃して、姿を消しました。
この指輪の騒動をきっかけに、二人の仲は進展していくのです。
彼は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!全人類読んでほしい物語🐦⬛👒🎀
文明開化の中で取り残される古いものと広がっていく新しいもの。そのどちらも誰かにとっては大切で、誰かにとっては憎んでいるもの。
主人公のくるみは「混ざりモノ」。でも、そんな彼女だからこそ、苦しむ者に寄り添えることがある。苦しむ者にとって希望の光のような存在になることができる。
約130,000字の物語の中に、素晴らしい描写や場面が溢れていて、その中でも物語の最後に紡がれるエピローグには良い意味で心を抉られました。この景色を最後に見ることができたのは、くるみという存在があったから。誰かを救うことは、また誰かを救うことへと繋がっていく。隔たりのある存在の架け橋となることは確かにできて、確かな悲し…続きを読む - ★★★ Excellent!!!捨てられ忘れ去られた芥(ごみ)に価値はあるか。
古いものや古い文化がだんだんと廃れ、新しい異国の文化を取り入れて、ごちゃまぜになっている頃の時代背景を舞台にした、明治時代風な、和風ファンタジー異類婚姻譚です。
田舎から奉公に来たはずが当てが外れ、しかしその運命的な出会いによりとあるお邸のお嬢様に拾われ?た主人公、くるみ。
彼女の初仕事は、裏山のごみ山にごみを捨てに行くことだった。くるみがごみ山を見て思ったこと。
「もったいないなあ」
そこにはまだ使えそうなものがたくさん捨てられていたのだ。洗えばいけるかも···肥料にできそう···あれもこれもまだまだ使い道がある! そう考えたくるみは、ここに来る前に約束させられた『あること』をす…続きを読む