鬼社会に生まれた桃娘・冬城みことは自らの意志で結婚相手を選びたいと願い、鬼柳幸斗にプロポーズします。しかし二人の関係は単純なものではなく、鬼社会の価値観や宿命に常にさらされています。鬼社会のしきたりや家族の期待が立ちはだかる中、彼女は愛する人との未来を切り拓くことができるのでしょうか。
みことは自分の運命を自ら決める強さを持つヒロインです。彼女は桃娘としての宿命を理解しつつ、愛する人との未来を選ぼうとします。幸斗も誠実にみことを支え、その決意に寄り添います。二人はお互いに深い想いを寄せ合っていますが、それゆえに鬼社会の厳しい現実と対峙しなければなりません。
また二人の周囲の人物も物語に彩を添えます。恭矢と香夜は家のしがらみと個人の幸せの間で揺れ動いています。沙夜は鬼社会の価値観に反発しながらも暁斗の干渉を受け続けています。彼らの物語もまた、発展途上であることを感じさせます。
本作では繊細かつ力強い文体が登場人物の感情を丁寧に描写しています。象徴的な花の描写やテンポの良い会話が印象的です。みことと幸斗のプロポーズが対等に描かれている点も良く、お互いを尊重し合う関係として描かれています。
鬼社会の宿命と個人の意志がぶつかる物語。みことの未来にはまだ多くの試練が残されており、物語は続いていきます。今後、登場人物たちの運命がどのように交差し、どのような結末を迎えるのか、楽しみです。