(隠しステージ)〜響子の想い出⑧〜

 発売日には学校や会社を休む人が続出したという社会現象にまでなった『ドラゴンクエストⅢ』。

 それが満を持してスーパーファミコン用にリメイクされたのがこの作品。


 『ドラクエ3』はオリジナルのファミコン版の時点で、すでに王道RPGとして完成形に近いものだったという。(錦くん談)

 でも、リメイク版はさらに想像以上の進化を遂げた。


 スーパーファミコンのスペックを存分に使った鮮やかなドット描写。

 ときには勇ましく、ときには耽美な音楽は、まるでオーケストラのよう。

 さらに、“性格”や“すごろく”といった遊びにあふれた追加要素と、やり込み魂を刺激する裏ボス。


 突飛なシステム変更は無いものの、細かなところまで極めて高いレベルで作り直されていて、ファミコン版を遊んだことのある錦くんでさえ、リメイク版を何度もプレイするくらいハマっていた。


 いわゆる「ファンタジーの世界」というものを想像するとき、私たちの世代はこの『ドラクエ3』に強く影響を受けているように思える。


 頭にサークレットを装備した“勇者”。

 それぞれの“職業 ”に就く個性豊かな冒険の仲間。

 王様が統治する人間と、魔王が率いるモンスター。

 敵を倒せば、レベルが上がって強くなっていく設定。


 『ドラクエ』をプレイしていない人でさえ、こうした世界観について疑問を持つことなく受け入れている。

 まるで共通言語のように、多くの人が似たような世界をイメージして、物語を楽しむことができる。

 考えてみれば不思議だ。たった一つのゲームが、いろんな人の頭のなかに一つの世界を作っているなんて。

 そう考えると、みんなが同じ世界を冒険しているような気がして、少しだけ楽しくなる。


 “そして伝説へ…”というサブタイトルの名の通り、『ドラクエ3』は多くの人に影響を与えた伝説の作品だと思う。

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