(隠しステージ)〜響子の想い出⑦〜

 『クロノ・トリガー』はスーパーファミコンのRPGにおける一つの集大成だと私は思う。

 『ファイナルファンタジー』シリーズを手掛けた坂口博信さんと、『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親である堀井雄二さん・鳥山明さん。そんなすごい人たちが協力して制作したソフト。それが面白くないわけがない。


 そんな夢のゲームである『クロノ・トリガー』だけれど、どんな話なのかと聞かれると、一言で説明するのはちょっと難しい。

 タイムトラベルをするSF的な要素だけじゃなく、魔王軍のモンスターと戦う王道ファンタジーでもあるし、かと思えば原始時代で恐竜と戦ったりもするし、さらには古代文明で空に浮かぶ城を探検したりもする。

 それぞれの時代が異なる雰囲気を持っていて、仲間になるキャラクターたちも、まるで別のゲームの登場人物かと思うくらいバリエーションに富んでいる。

 ロボットロボ原始人エイラが同じパーティーで戦うゲームなんて、きっと他には無い。

 私は魔法でカエルの姿に変えられた剣士カエルが特にお気に入りで、いつもパーティーに入れていた。


 肝心の主人公はといえば、 “クロノ”という名前がついているけれど、まったく喋らない。『ドラクエ』と同じで、プレイヤーが感情移入をしやすいタイプだ。(とはいえ『ドラクエ』とは違っていろんなジェスチャーで反応をするので、完全に無個性というわけではない。)


 でも戦闘の方は、ATBアクティブタイムバトル(完全なターン制ではなく、ゲージが溜まったキャラから行動するシステム)という『FF』のシステムを踏襲している。

 なにより “ファイア”や“ケアル”といった魔法や、“ポーション”“エーテル”“エリクサー”といったアイテムの名前が『FF』と同じものなので、とてもなじみ深い。


 あと、作中に流れる音楽も印象に残るものが多い。

 シナリオ・ゲームシステム・音楽。どれも欠かすことのできないRPGの3つの要素だけれど、そのなかでも音楽は、作品の雰囲気を決定づける大事なものだと思う。

 そういう意味でも、『クロノ・トリガー』は他の大作シリーズと比較してもまったく遜色そんしょくない。作曲者の光田さんは、この作品が作曲家としてのデビューらしいけれど、信じられない。

 特に印象的だったのは、中ボスである魔王との決戦のBGMだ。

 『クロノ・トリガー』の戦闘は、画面が切り替わることなくシームレスでそのまま戦うことになるのだけれど、魔王との会話シーンから戦闘へ突入するとき、流れるBGMもタイミングがばっちり合っていて、“魔王決戦”という曲タイトルさながらの盛り上がりに一役買っていた。


 ほかにも十種類以上もあるマルチエンディングや“つよくてニューゲーム”、仲間との連携技など、このゲームに関する話題は尽きないけれど、とりあえずこの辺にしておこう。


 一度プレイしたら、きっと誰かと語りたくなる。

 『クロノ・トリガー』は、いろんな空想が全部詰まった“夢”みたいな作品だ。

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