EP01-03
さて相も変わらず、都市部の風景が静かに流れていく。
スバルは地上よりほんの数センチだけ浮かんでいて、極々静かなエンジン音以外に騒音を発することはない。
これは各主要道路に、『
遠い過去には、自動走行と有人走行を切り替えるシステムもあったと聞くけれど、有事の際の法的ジャッジが難しく、瞬く間に廃れてしまったらしい。
──たまには自由に走りたいよな、お前も。
私の思いに呼応するかのように、スバルの速度計が120キロ近くにまで跳ね上がった。この120キロというのが、自動走行レベル3に
だから決して、私が
自動走行ポッドの速度計のみが知っているその境界線を、ひたすらに記録している
悪意を持って
自身の存在自体が
都市部を抜けて十分も走れば、私の目的地が見えてくる。ここからの残り時間はおよそ三分少々といったところだろうか。
ここまで都市部を離れてしまえば、ポッドの外には人工物ではない『
後方に聳える『
そういえば
私の遥か後方──すなわち私が今しがた抜け出してきた都市部の空中に浮かぶ
現在、この世界に108機が存在していると
その主たる役割は、政府の決定事項を一般市民へと告知すること。担っているその性質から、
ちなみに私の後方にある『004』の
その浮力のどの程度を、
私の杞憂を
ガイド音の一つもなくポッドの入り口を開いたスバルが、「早く降りろ」と言わんばかりに操作部の液晶を消灯させた。どうにも無愛想なそのやっつけ動作は、やはり庶民向けの自動走行ポッドである証左だと言わざるを得ない。
スバルに急かされるままにポッドを後にし、深緑の風景の中に降り立つ。すると、強烈な樹木の匂いが私を包んだ。都市部に生きていれば、一生知らないままで死んでいくであろう生々しい薫りだ。
都市部への
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。