ハルキ
「そのtirkって何だ?」
「あたしも詳しいことはよく知んないんだけど~、
近所の洞穴の奥深くに住むブラフト族のおじいさんから聞いたんだし」
「ブラフト族って言うのはお前たちとは違うのか?」
「全然違うし。
あたし達セキツイ人はみんな水の中を自由に
動きまわれるんだけど、
ブラフト族は自分の意志では動けないみたいなのだし」
「そうなのか……。
不便な奴らだな。特にうん◯の後とか」
「くっさいだろうね~!
だけどね、その洞穴のおじいさんは凄いんだし!
口から毛がいっぱい生えたボールを吐き出しすんだし。
それでね、そのボールが落ちた床にはまた
もう一人のおじいさんと似たブラフト族が
生まれるし!」
「そりゃすげえーな!
でも、どうしてそんな凄い力があるのに
そのジジイは洞窟の奥でひっそり暮らしてるんだ?」
「それはね、
あたし達セキツイ族が食べちゃうからなんだって言われているし」
「成る程、そういうことなのか」
「そう。
だから、洞窟のおじいさんは
あたし達セキツイ人にみつからないように
洞窟の奥の方から直線上にバケツリレーで
仲間を増やしながら、
安全な新しい住家を探しているらしいんだし。
そして遂に、
まだセキツイ人のいない天上の新世界tirkを最近発見したらしいんだし!」
「そのtirkは遠いのか?」
「遠くは無いらしいし。
でも、私達セキツイ人のご先祖様がブラフト族から噂を聞いて
勢力拡大の為に何度も遠征に行ったらしいんだけど、
無事に帰ってきた人は一人もいないんだし……」
「そうなのか……。
お前達セキツイ族では生きられない場所なんだな」
「多分……。
だから、洞窟のおじいさんは
あたし達セキツイ人のカリス帝国と
貿易協定を結んでるらしいし」
「それは、私の時代でも似たようなことがあったが、まるで商人のキャラバンだな」
「お姉さん?
その『しょうにん』や『キャラバン』って
なんだし?」
「あ~、うまく説明できん」
「あ!そうだし!」
「どうした?
急に何か思い付いたような顔して」
「この後一緒に
おじいさんのところに行かない?
え~と……」
「私か?
私の名は蓮姫だ。お前の名は?」
「カムラさん……えっ~と、
そうだ、カムっち!
カムっちって呼ぶね♪
それと、あたしの名だよね。
あたしのことは、セキツイ人 ハルキゲニア族のハルキ。
ハルキュンと呼ぶだし」
(こいつが話してたジジイ、
もしかしたら、時の主と関係あるのかもしれんな……)
「よし。
おい、セキツイ人 タヌキゴリラ族!
私もそのジジイのところまで連れて行ってくれ!」
「いろいろ違~うし!!
せめてハルキと呼ばんか~い!
それ……絶対わざとだよね?」
「おい、何か言ったか?
マウンテンゴジラ……?
いや、キングコングだったか?
あっ、ドン◯ーコングか!」
「はぁ~、もういいしっ!
はいはい。
もうそのハルキジュニアでも
ハルキジュリアでもどっちでもいいし」
「おい!
私はそんな普通で面白みの無い呼び方はしてないぞ!
っておい!こら、待てって!」
「下らない事言ってないで
早くついて来くし。
置いてくよー♪」
蓮姫は、まるで自分を避けるように
憮然とした表情でおじいさんの元へ急ぐハルキの後をしぶしぶ追いかけることにした。
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