『超越因子』次元を超越したセカイの系《システム》

☆TIPS~(P38→)P42 超越因子〜因果のエラーを再構築せしモノ

「ビリビリビリビリ!」


「グラグラ、グラグラ……」



「次元震、遂に来たわね!」



「さあ、遂に追い詰めたわよ!

さあ、デルタ達の力で封印されていたあなたの本性をみせなさい。

時の因果を乱す本物の不死身ファントムさん」


「ビリビリ、ビリビリ」

おびただしい量の電流が水中を伝わり、

その閃光でネイピアの視界は一瞬真っ白になった。


そして、その電流はまるで生命体のように有機的な動きをみせながらみるみる中心に集まり

イルカ程の大きさのアノマロカリスの姿になった。


「あら?

あなた予想してたよりは小さいのね」


「…………」



「あら?

あなた喋れ無いの……。

サイコロの支配の及ばない 超越因子メタファクターって訳ね」



「まあ、いいわ。

まずは小手調べよ。

猛毒の矢をくらいなさい!」

ネイピアはそう言うと、矢の狙いを定め

不死身の身体に突き刺した。

「グサッ!」


「ガサガサ、………………」

その矢を受けた不死身は一瞬で絶命して

動かなくなった。


「さあ、これから何が起こるのかしら?」



「ビリビリビリビリ!」


「え?

後ろ?」


ネイピアが後ろを振り向くと、

自分そっくりの女性が自分に向かって毒矢を突きつけていた。


「あなた……?

私とその毒矢の元素の並びまで、

全て真似て組み立てたのね!


でも残念ね。私はあなたみたいに不死身じゃないけど、毒は効かないわ」


「ビリビリ、ビリビリ、ビリビリ、ビリビリ」


「あら!

私のコピーがこんなに沢山!


ネイピアは不死身ファントムが化けた10人くらいの

ネイピアの分身に取り囲まれた。


「四面楚歌ね。

私は電流や毒には耐えられるけど、

私の知能もコピーされこの人数。

このままだと、私の弱点を先にみつけられてしまうわ。

私自身に攻撃力が無いことだけがここでは救いだわ。

なんとか、不死身が私の弱点をみつけるより前に、 不死身の弱点をみつけなきゃ」


ネイピアは一度深く深呼吸すると目を瞑むった。

すると、

ネイピアの体を球状に取り囲むように

光り輝く計算式で埋め尽くされた帯が幾重にも

巻き付けられていく。


(目の前の存在は、力の粒子 光子の電磁気力エネルギーそのものね。

だから、周りの元素を自由に組み立てて、

物体にでも生命にでも自由に化け操ることが出来るんだわ。

厄介な敵ね……。

あ!

でも、操作できる有効範囲は狭いみたいだから……)


「そうだわ!」

ネイピアはそう叫ぶとぱっちりと目を見開いた。


◆クオリア、聞こえる?◆



◇ネイピア、急にどうしたの?◇


宇宙空間でネイピアからのテレパシーを感じとったのはクオリアという赤目の少女だった。

年頃はネイピアと同じくらいの異様な風貌な少女だった。

真っ黒く燃え続けるベンタブラックの黒髪。

真っ黒いボロボロな和服。

不思議な文字が中心に刻まれた銀色のティアラ。

そして、背中からは無限にどこまでも伸びた千本の光の矢が生えている。


◆貴女の力を貸して欲しいの◆



◇どうして?◇



◆説明している時間は無いの。

申し訳ないけど、今すぐ来てくれる?◆



◇わかったわ。今行くわ!◇






「何よ! こいつ……?」

転送されて来たばかりのクオリアはその目を疑った。


「ネイピアが沢山……」


「それは全て不死身ファントムが作り出した私のコピーよ」


「ネイピア、あなたまさか私にこの10体全ての意識をマインドコントロールしろって言うんじゃないでしょうね?

言っときますけど、精神操作は一体ずつが精一杯よ。

だだし、それも人間……、いいえ、お兄……、イケメンに限るんだけどね」



「何であなた恥ずかしそうにそこ何回も言い直したわけ?

それにクオリアあなた……、

今さら~っと少し気になること言わななかった?」



「うるさいうるさ~い!

ネイピア?

それより今はこっちでしょ?

私にどうしてして欲しいのか

さっさと言いなさいよ~!」

クオリアは顔を真っ赤にしながら

ネイピアを急かした。


「単刀直入に言うわ!

あなたの最細の槍の先端を、

私のコピーの群れの中心に伸ばして!」



「そんなことでいいのね?わかったわ」

クオリアはそう答えると、

背中から生えた無数の光の槍の一番細い一本を

前方に曲げた。

そして、ネイピアのコピーの群れの中心に突き立てた。


「ネイピア?

これでいいの?」


「いいわ」


「ビリビリ、ビリビリ、ビリビリ、……」

ネイピアのコピーを形造り操っていたそれらは、

一瞬でバラバラになると、

一体のクオリアの形を真似したコピーに変化した。


「うゎ~何よコイツら。

真似された~!!

コイツらチートじゃん!

どうするのよネイピア? 」


「クオリア?あなただって5次元少女な時点でじゅうぶんチートよ。

まあ、まずは落ち着いてクオリア。

水中に存在する各元素の総量的に考えて、

体に無限要素を含んだあなたと同じレベルのコピーは一体造るのが限度のはずよ」


「でも、私とほぼ同じ能力とぶつかったら

善くて引き分け。

私もただでは済まないわよ!」


「聞いて、クオリア!

あなた、その槍の先もっと細くできるわよね?」



「もちろん……出来るわ。

でも、物理的にこの細さが1次元の限界なのよ」


「その1次元というサイズの限界を今あえて取り払ってもらいたいの。

出来るかしら?」


「ネイピアあなたまさか……。

わかった! そういう事ね!!」





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