親友との再会/✳︎デルタ視点

「デルタさん!」

「お姉ちゃん!」


◆誰だ、貴様ら!◆

((ナブラとラプラシアンがあたしを探しに来てくれたわ。

だけど、その時は既にあたしの存在は変わり果てていたの。

あたしの腰より下の部分は、あたしの100倍くらいの大きさのアノマロカリスっていう古代昆虫の姿になっいて、精神も壊れていたわ。


二人があたしを助けに来てくれたと知ったときね、

あたしは泣きそうなくらい嬉しいって感じたの。

それは確かで嘘じゃないわ。

だけどね、まるで臨死体験でもしているかのようなの。

あたしの本心はまるで、牢屋の奥深くに幽閉された他人のように感じるのよ。

あたしを探しに来てくれた彼ら二人にとってはそれまでの過程が短い時間だったのかもしれない……。

だけどね、自殺という選択肢すらないあたしは、ただ自分が自分であるという 気持ち(アイデンティティー)を意識の奥深くにしまい鍵をしたの。

100億年以上同じ退屈な景色のループに耐えるにはそれしか手段がなかったんだから……。

あたしはナブラを救う代わりに2つの条件を受け入れたわ。

それは、カンブリア時代が始まる前から終わりまでのとてつもなく長い時間を記憶を残したままここに居続けること。

そしてもう1つは、時代に介入しようとするイレギュラー(タイムトラベラー)を排除することよ。


「お、お姉ちゃん!?

どこかで強く頭でも打ったの?」


「デルタさん?

ボクはラプラシアン。ボクのことは覚えていますか?

それと。ナブラくんは無事です」


◆ナブラ? ラプラシアン?デルタ?

我はそんな者知らぬ◆


「それ、本気で言ってるの?

僕だよ! 弟のナブラだよ!

そして、僕の親友のラプラシアン!」


◆この時代に介入することは許さん!!◆



「仕方ない、ナブラ!

ボクが能力を使ってデルタさんを気絶させる。

だから君は、離れたところから説得を続けてくれるか?」


「ラプラシアン、君一人を囮に出来ないよ!

僕も能力を使ってお姉ちゃんを助けるよ!」


「無理をするな、ナブラ!」


「もう遅いよ、ラプラシアン!

前をみて!」


「仕方ないナブラ、

力を合わせるぞ!」


「うん!」


『デルタさん頑張ってください!』

「ナブラ? パス!」

ラプラシアンは光の屈折を集中させ、

重力レンズのサッカーボールを作りだした。

そして、そのボールをナブラに向けて蹴った。


『お姉ちゃん目を覚まして!』

「オッケー! ラプラシアン!」



「「いっくよー!!

ツイン・ビヘイヴィア・シュート!!」」


『バァァァーン!!!』

凄まじく高密度に圧縮され、サッカーボールサイズのプラズマが、周りの光を屈折させ何もかもを吸い込みながらデルタの方に近づいていく。


しかし、デルタは吸い込まれない。

当たらない。

デルタの手前で確実に速度を落としていく。



「どうして……!?」

ナブラにはただ驚くしか、

出来なかった。


「デルタさんはきっと、自分の周りにおびただしい葉緑体を集めてボク達2人が放った電磁波を全て吸収しているんだ。

そうして自分のエネルギーに変換しているんだよ」

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