「僕一人だよ」



「ああ、そうか? でもなあ、

社はお前のようなガキんちょが遊びに来ても楽しいところじゃないぞ?」



「ちがうよ。僕ねえお祈りに来たの」



「お祈り? 何か欲しいものでもあるのか?」



「ん~ん、僕はお星さまが見たいの」



「お星さま? 見たけりゃいつでも見れるじゃないか!」






「星は見れんぞ!」



「へ…………?」



蓮姫と少年の会話を横で聞いていたハムザが

途中から会話に入ってきた。 

「アマザお前な~、相手がまだ幼い子供だからって、あること無い事吹き込むなよ!」



「星が見れないってどういう事だぁ!?

なあおい! ハムザ!?」



「アマザ、お前雰囲気変わったな~。

図々しくなった。

熱でもあるんじゃないか? 大丈夫かよ?」



「私は変わらん! それより理由を教えろ!」



「お姉ちゃん? 僕そろそろ家に帰らなきゃだから。

またお祈りに来るね。さよなら」



「おう!さいなら!」

少年は足早に帰って行った。



「さあ! 話の続きだ。

星が見えないって理由教えろ!」



「はぁー?

お前全然覚えていないんだな?」



「いいから教えろ!」



「わかったよ」

そう言ってハムザは蓮姫に事の一部始終を話した。



「そうか……、つまり

お前ら、いいや、私らは元々上の世界『海の中』に住んでいたんだな。

 それが、未曾有の天変地異によって海を蒸発させる灼熱の熱波が襲ってきた。

それで、水無しでは生きられない、え~と、私らは故郷の海を捨て、

地下で暮らすようになったと……

そういうことだな?」



「そうだ。

それに……、

少年の父親は災害救助の役目を率先して引き受けてくれてな、

あいつのおかげで、犠牲者は他に一人もでなかったんだ。

ただ一人……あいつ自身を除いてな」



「そうだったのか……」



「ああ」






翌日。

「こんにちは~!」

少年が今日も社にお祈りにやってきた。


「おい! お前!その顔! 体! 一体どうしたんだ!?」


——————————————————————

↑【登場人物】

•アマザ(蓮姫)

•少年

•ハムザ「お前一人で来たのか? お母さんは?」




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