【追憶】痛みと恐怖
「アミュリタ!
探したぞ!そこにいたか」
「まずいわ、お父さんよ!
カムラちゃん、隠れて!」
カムラはアミュリタに即され、
近くの茂みに身を潜めた。
「アミュリタ?
誰かお前と一緒にいなかったか?」
「ううん、私しかいないよ。
お父さんの気のせいじゃない?」
「そっか……。
気のせいか」
アミュリタの父親は
深追いせずにあっさりとアミュリタの言うことを信じた。
「アミュリタ?
わたしもう出てきても大丈夫かな?」
「あ、ダメ!!
出てこないで!」
アミュリタは突然、
茂みから出ようとするカムラをねじ伏せた。
「アミュリタ~、
駄目じゃないか~。
父さんいつも言ってるだろ~?
嘘はついちゃいけないって」
「お父さん、お願い。
この子は私から誘ったの。
だから……、
お願い」
「アミュリタは危ないから下がってなさい!」
アミュリタの父親はアミュリタにそう言うと、カムラめがけて腰に挿していたムチを抜き、そして振るった!
「バチ~ン!!」
「痛い! 痛いよ~!」
ムチはカムラの右腕に当たり、
その右腕の皮膚が裂け、血が吹き出した。
カムラは平行感覚さえもマヒし、
激痛と恐怖で頭がいっぱいになった。
人間にもそなわる生存本能からか猫のように四足歩行で逃げるカムラ。
恐怖で泣くことすらも忘れていた。
「アミュリタ?
怪我は無いか?」
「…………」
アミュリタは、
そんな薄情な質問をする父を、
刺すような目で睨みながら
暫く押し黙った。
「お父さん!
どうしてあんなひどいことするの!?」
「あいつらは馬鹿だから体に教えないとわからないんだ」
「お父さん、それ正気で言っているの?
お父さん、昔はそんな性格じゃなかったじゃない?
どうして~!どうして~!」
アミュリタはその場にしゃがみこみ
泣き崩れた。
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