壁の向こう側

「小僧。この小さな穴に突き刺せる丈夫な棒か何か持ってはいないか?」


「ボクそんなの持ってないよ……。

あっ! 待って!」

少年は心当たりがあるようだ。


「ボク持ってるよ!」


「どれだ? 私に貸せ!」


「貸せないよ。

これはボクが両親からもらったものだし

貸したり出来ないものだから」



蓮姫は、片手を少年の手に添えて一緒に壁の穴を広げ、最奥を目指した。

「あ? 入った!」

少年がそう叫んだ瞬間、

蓮姫達は物凄い水圧とともに、

一瞬意識を失った。


蓮姫が意識を取り戻した時、

少年は既に意識を取り戻していて、

ぼろぼろになった先の尖った石灰石のナイフを

大事そうに見つめていた。

そして……、

蓮姫が前を向くと、

すぐ目の前には

いびつな形をした大きな煙突が噴煙をあげながらそびえ立っていた。


————————————————————

※今話のエピソードは全年齢版バージョンです。別タイトル

【憮然野郎 本編作品(全年齢版)の男性向け編集バージョン】の中に、

上品とは言えないようなネタも含めたバージョンの代替エピソードを収録しています。


↑【登場人物】

蓮姫カムラ

•オイロス

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