主治医の提案

【主な登場人物紹介】

◇デルタ(ナブラの姉)

本作の主人公

年齢 10歳

スメール星に住むある四人家族の二人姉弟の姉でツンデレ強がりな女の子。

研究に忙しい母親に代わって父親とともに火事全般をこなすしっかり者な面もある。


◇ナブラ

年齢 七歳

スメール星に住むある四人家族 二人姉弟の末っ子長男でまだ幼い泣き虫な男の子。

空想することが大好きで心の優しい性格だが、

クラスのいじめっ子達からは『嘘つき泣き虫のウルフ』と呼ばれている。


◇ラプラシアン

ナブラが押し入れの中の世界で出会った謎の少年。ナブラと同じくらいの年齢らしいが、

詳しくは不明。

ナブラよりも性格が大人びていて、

きもちの理解や共有よりも論理的な道筋を欲しがる典型的な理系少年。

ナブラの世界とを繋いだ謎の光る石のペンダントを持っている。


◇デルタ(ナブラ)母

ある科学研究所で研究者の一人として働いている。

仕事が忙しいらしく週のほとんどが家にいない。

家の火事全般は娘のデルタと家で仕事をしている夫に任せている。


◇デルタ(ナブラ)の父

家の稼ぎ頭で週のほとんどを家に帰れない忙しい妻に代わって、娘のデルタと一緒に家のことを役割分担している。

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あたしの弟ナブラは、ある日を境に原因不明の不治の病になって病院に入院してしまったの。

あたしとあたしの両親はそれを知って本当に悲しんだわ。

だけど、ナブラが入院して四日間だったかしら?

あたし達の運命に転機が訪れたの。



「お姉ちゃ……ん」


「ちょっとナブラ大丈夫?

しっかりしなさいよ!!」


「僕は……大丈夫だから、

姉ちゃんは今日も学校でしょ?

僕は大丈夫だから、お姉ちゃんは学校行きなよ」


「こんな時にあんたは何を言ってんのよ!

今はあたしの心配より自分の心配をしなさいよ!」


「お姉ちゃんが学校に行ってる間は僕、パパかママもいるし……」


「残念だけど二人とも来れないと思うわ!」


「どうして?」


「ママは研究所ラボであんたの病気を治す方法を調べてるのよ」


「あっ、そうか!

確か僕やお姉ちゃんは普通の人達と体の作りが違うんだったよね」


「そうよ 。

あたしやあんたの怪我や病気を治すのは、

人やペットを治療するのとは訳が違うらしいからね」


「そっか……。じゃあパパは?」


「パパは、あちこちの病院を周ってあんたを診てくれる先生を探してくれてるわ」


「そっかぁ……。

僕の病気、治らないのかな?」


「馬鹿言ってんじゃないの!

あたしとあんたとラプラシアンはヒューマノイドとして新しくてただ珍しいだけ!」


「そっか……。

ねえ、お姉ちゃん?」


「何よ、ナブラ?」


「僕ね、特殊なヒューマノイドとしてうまれてきて良かったと思ってるよ」


「こんな辛い目に遭ってるのに?

どうして?」


「だってさ、僕が今の体で生まれたからお姉ちゃんやパパやママに出逢えたんだ。

それにラプラシアンとも友達になれたしね」


「ナブラ、グスン」


「お姉ちゃん、泣かないで……」



病院での面会可能時間が終わり、あたしが病院のロビーから外に出ようとするまさにその時だったの。


「ちょっと、そこの君、待ってくれませんか!?」


「は、はい?

え、え~と、あ、あたし?」


「そうだよ、君!

あなたはナブラくんのご家族の方ですよね?」


「は、はい。

確かにそうですが……、あたしに何か?」


あたしを引き止めたのは男性のドクターで

ナブラの病状をあたし達家族に説明してくれた主治医の先生だったの。


「実は、ナブラくんを助ける方法が見つかったのです。

しかし、一つだけ条件があるんですが……」


「え! ナブラ助かるんですか!?」


「は、はい。

ただし、条件を呑んで頂ければなのですが……。

詳しい話をさせて頂けますか?」


「もちろんです!」

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