P38 蓮姫達のリベンジ
【登場人物紹介】
性格が変わったハルキの正体
ネイピア
知的で落ち着いた雰囲気の5次元人の少女。
別タイトル
『心層科学ファンタジー5次元少女』
の登場キャラクター。
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「カムラ!
奴の正面は今は後ろよ!」
「おお、サンキュー!
助かったよ」
「どうやら、あの化け物の遺伝子は
自分の姿を消すだけじゃなくて、
自分の位相形態を連続性が保たれる同相な範囲で自由に変えられるみたいね」
「位相?
さっきから何を言ってるかさっぱりわからん。
何のことだ?」
「貴方に難しい説明をしても
理解出来無さそうだから
簡単に説明するけど、
ここで言う位相って言うのは
形だけじゃなくて大きさまで自由に変えられる粘土みたいなものよ」
「ハルキ……、
お前どうした!
どこかで頭を激しく打ったんじゃないか?
本当にお前ハルキか?」
「さあね、どうかしら?」
「どうかしらってはぐらかされても」
『キサマ、サッキハカッテニニゲダシオッテ。ユルサン!ユルサンゾ!』
「あらあら、どうやら今は無駄話をしている場合でな無さそうね」
「ああ。
しかし、ジジイが言うには奴は強いらしいぞ。
あんたには何か策はあるのか?」
「あなたが囮になって少し時間を稼いでくれない?」
「私が囮に?
馬鹿言うな!
一緒に戦ってるのに。
あんたが囮になればいいじゃないか!」
「あなた、みたところ少しは武術の心得があるみたいだけど、
目の前のチートレベルの化け物相手にまともに戦える?」
「すまん、100パー無理だ!」
「でしょうね。
私はあなたを戦力としてははじめから期待していないわ」
「じゃあ、どうするんだ!」
「その作戦を私が考えてあげるから、
あなたはそれまであの化け物の近くで逃げ回って時間を稼ぎなさい」
「今から考えるって本当に大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫よ」
「根拠はなんだ?」
「あなた、この化け物が 不死身 って言ってることに違和感を感じないかしら?」
「違和感?
私には何のことかわからんがどういうことだ?」
ハルキは、蓮姫の言葉を無視すると、
目を瞑り真剣に考え始めた。
(穴の貫通していない同相の物体の範囲内なら自由自在に形や大きさを変えられて、
あんなふうに人間の手を生やしたりとかも出来るわけね。
しかし、
あの女、カムラって言ったかしら?
あの予測不能な攻撃に対して上手く避けて善戦してるじゃない)
「わかったわ!」
「早っ!
早いな~、おい!
まあ早いのは助かるが、
お~と、
考えだして~、まだ10秒くらいしか~、
経ってないが本当に、大丈夫なのか~?」
「大丈夫よ。
これは簡単よ。
私の解析能力を使うまでも無いわ」
「ホントか~?」
「ねえ、あなた?
アノマロカリプスさん?
あなた自分で 不死身 って豪語するからには勝負に勝つ自信はあるのよね?」
「アア」
「じゃあ、一つ私と賭けをしましょう。
ただし、勝負の内容は私が今から言う3つの中からあなたが一番得意なもので決めるって条件でいい?
私やそこの自称女を煮るなり焼くなりすきにするといいわ!」
「おい、何とんでもないこと言って私の命まで巻き込んじゃってんだよ!
しかも自称女って……」
「カムラは黙ってなさい!
話を続けるわ。
だけど、
もし、私が勝ったら
私の言うことを一つ聞いてもらうわ。
いい?」
「イイダロウ。
ソノカケノッタ」
「じゃあ、勝負の選択肢を言うわね。
【1】 あっち向いてホイ 3回勝負
【2】 だるまさんがころんだ
順番に鬼になって、
先に鬼に二回なった方が負け。
【3】 カルタ
カムラが読み手
さあ、どれがいいかしら?」
「カ、カルタ!」
「それでいいかしら?」
「イイヤ。
チョットマテ!」
「いいわよ。
後で変更は出来ないからじっくり考えなさい」
◇カルタは オンナフタリガ グルニナッテ
ズルヲスルカモシレンナ。
ダカラ……◇
「ダルマサンガコロンダ!」
「ハルキ!
あんた
「しっ!
カムラ。あなた助かりたかったら
場の空気を読んで黙ってなさい」
「お、おう、悪い」
「アノマロカリプスさん?
じゃあ、だるまさんが転んだ でいいわね?」
「チョットマテ!」
「あんた本当に不死身の化け物なのか?
スパっと決めれや!
ったく、これぐらいのことで
ぐずぐずしやがって!
金たまついてんのか~?
ちっちぇーな~?」
「カムラ!
あなたは口を挟まないで!」
「アハハ、わりい。つい……」
(クッソ~!
アノ クチノヘラナイ オトコオンナ 、
イイタイコトスキカッテイイヤガッテ、
ナマイキナ~!
ハ~!
マーヨイ。
ココハ ワシノ アットウテキナ
チカラヲ ミセツケテ キョウフデ フルエアガラセテヤロウ)
「アノマロカリプスさん?
まだかしら?
返事がなければ降参ってみなすわよ」
「マテマテ!」
(ダルマサンガコロンダ ダト
ワシ ガ オニ ニナッテ ウシロヲムイテイルスキニ シレ~と ニゲダス ツモリカモシレン。
イイヤ、ヤツラノコトダ。
ゼッタイ ソウニ チガイナイ!)
「ヨシ、キメタ!
アッチムイテホイ!」
「…………」
「オイ ドウシタ?
ハヤク ショウブヲ ハジメヌカ!」
「あ!
お前……、まだ……考えていたのか?
あいつか?
ハルキなら……お前が決めんのあまりに遅せーからって
今あっちでソシャゲーやってんぞ~、
モゾモゾ」
「テメー!
ハナクソホジリナガラ
ソシャゲーやってんぞ~
ジャネ~ゾ コラー!!
キサマラー!
フザケンナー!」
「あ~、あなたやっと来たのね?
今やり直しが効かない大事なバトルの最中だから、ちょっと待ってなさい」
「ワシトノ バトル ハドウシタ~!!」
「あ~、も~!
仕方ないわね~!
それで?あなたはどれで私と勝負したいわけ?」
「アッチムイテ ホイ!!!」
「はいはい。
そんな、大声で言わなくてもいいじゃない」
◇クッソ~!
ヒトコトヒトコト シャクニサワルガ
コイツイマニミテロ~!◇
「じゃあ、カムラ?
あなたが間に入って審判して。
言っておくけど、確実に助かりたいからって私に肩入れはしないでね」
「ああ、わかった。
じゃあ、二人とも向かい合って~。
いや、一人と一体か?いや、サイズ的に一頭かな?」
「カムラ、早くしなさい!」
「あ~、すまん、コホン!
じゃあ、仕切り直して~」
ハルキとアノマロカリプスはカムラを挟んでお互いの手が届く距離で向かい合った。
アノマロカリプスは目の位置をハルキと同じ位置に下げ、そしてほぼ同じ高さから同じ長さの人間のような手を生やしたりと自分が不利にならないようにしていた。
「いくぞ~じゃんけんポン!」
三人の掛け声と同時に
アノマロカリプスは ぐう を、
ハルキは ぱー を出した。
ハルキ
「あっち向いて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「ハルキ、引っ張るねぇ〜ww」
「……ゴクリ」
ハルキ
「あっち向いて・・・」
蓮姫・アノマロカリプス
「向いて???」
ハルキ
「ポイ♪」
蓮姫・アノマロカリプス
「捨て・・・た?
今、確かに捨てたよな?」
ハルキ
「ええ」
「あらら」
カーナビに予想の斜め上方向を案内された様なクエスチョンだらけの顔をする蓮姫とアノマロカリプス。
ヘビーな肩透かしを食らった二人は大袈裟にバランスを崩した。
蓮姫・アノマロカリプス
「な、なんじゃとぉぉぉー!!?」
二人は呆れすぎて目は点になり、
そして、ただただ呆然と立ち尽くす。
ハルキ
「何よ二人とも?
私の顔に何か付いてる?」
「だってハルキお前……」
「こんな単純で低レベルな遊び、やってて途中で飽きちゃったんだもの……、悪いかしら?」
蓮姫・アノマロカリプス
「飽きちゃったんだも〜ん!ポイっ♪ってオイ!
言い出しっぺのテメーが中途半端に投げ出してんじゃねー!!!」
「冗談よ冗談。
全く。仕方ないわね〜。
はーい、あっち向いて……」
「ちょっと待て!
ハルキちょっといいか?
「何よカムラ?」
「ゴニョゴニョ?」
「小声・
あんた、何やらかしてくれてんの?
あいつの前でひそひそ話なんかしたら
ズルしてるって思われるじゃない!」
「ゲームヲカエル!
ヒソヒソバナシモナシダ!」
「ほら~!
疑われたらゲームは成立しないのよ!」
「す、すまない」
「じゃあ、何がいいの?」
「カルタ!!」
「いいわよ!
じゃあ、カムラ?
今度はヒソヒソ話無しで頼むわね?」
「了解された!
じゃあ、最初は……、
アンビグラム 逆さに……」
「はい!」
「お~!
ハルキ早いな~」
「さ、次言って」
「ああ。
不思議だね、なかなか割れない エッグドロップ」
「はい!」
「透明な姿にでき……」
「はい!」
「また、ハルキ!
カルタ得意なのか?」
「ねえ?
不死身で最強のアノマロカリプスさん?
あなたどうして本気出さないの?」
『ウウウッ』
(ドウイウワケダ。
ヤツノペースニマッタクツイテイケン。)
「ひょっとして、もう気づいたかしら?
アノマロカリプスさん?」
「気づいたってどういうことだ?」
「あのねカムラ?
あなた、さっきあっち向いてホイ をやろうと 私とあいつがじゃんけんした時私に言ったわよね?」
「ああ。
私にはハルキがあいつよりも少し後で
ぱー を出したように見えたんだ。
それなのに、やつは何の疑問も持たず、
そしてお前らはそのまま続けようとした……」
「そうね。
カムラ? あなたはどうしてだと思う?」
「う~ん、難しいな」
「じゃあ、ヒントを出すわ。
あなたは幼少の頃に比べて今の忙しさはどう?」
「ああ。
私の幼少の頃は事情が特殊だったから
比較しにくいが、まあ、
今のほうが忙しいって感じるな」
「そう。つまりこれはそういう事」
「これがハルキが勝負に有利なことと関係があるのか?」
「ええ、おおありよ。
ジャネーの法則って言うんだけどね、
簡単に言えば
今までに生きてきた時間が短い程
時間の心理的な長さは長く感じ、
生きてきた時間が長い程
心理的な長さは短く感じるのよ」
「そっか!つまり、
私が幼い頃は、まだ生きてきた時間が短かったから、今より時間が長く感じたってわけか!」
「そうよ!
つまりね、不老不死のアノマロカリプスが感じる心理的時間は一秒一秒が物凄く短く感じているはずよ。
その証拠に、最初あなたがアノマロカリプスの変幻自在な位相攻撃を上手くかわしていたじゃない?」
「確かに、今考えると奴の反応が遅い気がしたが、そういう理由だな」
「アノマロカリプスさん?
あなたまだこの勝負続ける?」
「イイヤ、ワタシノカンパイダ」
「そっか~。
あなたは、そこの誰かさんと違って
なかなか聞き分けがあるじゃない」
「ちょっ!
私か?」
「さて、何のことかしら?
私は一言もあなた が なんて言っていないわ。
あら、そうそう。
一つお願いを聞いてもらうわね。
この娘をアノマロカリプス、
貴方に触れさせてちょうだい」
「ヤクソクダ。イイダロウ」
「それじゃあ、カムラ。
後はあなたに頼んだわよ」
「ちょっ!
ハルキ、待てよ!」
『す~』
・・・・・・
急に気を喪ったハルキの体からは支えがなくなり、蓮姫は慌ててハルキの体を両手で受け止めた。
「ハルキ? しっかりしろ?
ハルキ?」
「う、う~ん。
え? もう朝?」
「おお、ハルキ!
よかった。
意識を取り戻したのか!」
「え?
ここはどこ?
アタシがいつも寝てる場所ちゃうよ?」
「ハルキ?
お前本当に覚えて無いんだな?」
ハルキにはアノマロカリプスとの勝負の記憶はなく、
蓮姫にとって見覚えのある
天真爛漫なお気楽天然娘に戻ってしまっていた。
「ハルキ、お前……」
「カムっち、し~!」
「突然どうした、ハルキ?」
「誰かがアタシに助けを呼んでるの!」
「助け?
ハルキ? お前今目の焦点が合っていないぞ!
大丈夫か?」
「…………」
ハルキは蓮姫の問いには応えず、
まるで吸い込まれるように横たわったアノマロカリプスに近づくと、全身で抱きついた。
すると、驚いたことに アノマロカリプスの体の中から自分の声にそっくりな少女の声が聴こえてきた。
◇あなたが近づくと温かい……。
あたしはデルタ。ねえ、あなたは誰?◇
(アタシはハルキ。
ここ、温か~い。そして、とっても黄色くて明るいところだね。
ねえ、どうしてあなたはここで閉じ込もっているの?
確かに明るくて温かい場所だけど
ずっといたら寂しくならない?)
◇寂しいわ。
あたしは、絶望し、長い長い年月の中で
大切な友達とその思い出を失ってしまったの。
この闘い、あんた達の勝ちだわ。
さあ、早くあたしを楽にして……◇
(嫌だ!
あんたは大切な記憶、思い出したいんじゃないの!?)
◇ええ! もちろん思い出したいわ!
でもね、あたしが生きていることが、
あたしの体に共存する二人の魂を縛っているの◇
(どういうこと?)
◇あたしは自分が選んだ孤独な運命に
大切な二人の一生を
巻き込んで、死なせてしまったのよ◇
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一
くそ~!
わしがせっかく、じきじきに出向いて、
綺麗に舗装しておいた楽な道順を
蓮姫に選ばせてあげたと言うのに、
その努力の演技を感謝どころかぶち壊しにするなんて、
全くひどいのう~。あの男の犬の
勘の鋭いゴスロリ娘め……◆
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
最後の謎の老あ人の意味深な言葉は一体何を意味しているのでしょうか?
※ちなみに、
この作品を通じてのテーマである世界の驚くべき真相とは
直接関係はありません。
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