潰れた本屋の元店員は、最初の提案の真意を話す。その1

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 「カクヨム」も、そういえば、まだ生まれたばかり。エピソードの折り畳みもできるようになったし、日々進化していますね。いいいことです。

 読者に愛されるいい本屋に育って欲しい。


 さて、前ふりはこのぐらいにいたしまして、前回の予告通り、自分が「一部有料化」などと言い出した理由をお話しようと思います。

 

 まず、ひとつめ。


 ここに来て、書籍化して本屋の店頭に並べるのには向いていないけど「面白い! 読む価値あった!」と思う作品があり、そういう作品を書く作者さんをただ評価するだけではなく、直接、報いる手段があればいいな、と思ったこと。


 今、この場所で作者さんが書いて収入を得るためには、物凄い倍率を勝ち抜いてコンテストで大賞を取るか、スカウトされるかして、作品を書籍化するしかありませんが、そこまでしても、その作品が実際に売れる保証はどこにもないです。

 恐ろしいことに。

  

 ふたつめ。


 自分は、この「カクヨム」のトップページにある、版元さんの広告を見ると、すごく不安になるのです。

 ここにあるのは、コンテストの募集告知、版元さんの本の広告など。


 普通の方は「何が??」と思われるでしょうが……自分は、これが恐ろしい。

 


 「ここを運営するための費用は、いったい誰が負担しているのだろう?」



 と、つい考えてしまうのからです。


 自分も含む全てのユーザーは、「カクヨム」で提供されるサービスを全て無料で利用できます。


 カクのもヨムのも、全てタダ。


 でも、もちろんタダでできるはずもなし。費用は必ず誰かが負担しているはず。

 慈善事業ではなく、ビジネスなので、国から補助金が出ているはずもなし。まともに考えると当然、版元さんですが。


 ……ということは。


 実際のことはわからないので、想像なのですが……他にもちゃんとした収入源があり、自分の心配が杞憂であれば、それに越したことはないのですが……まさか。

このサイトの運営するための費用を、最終的に負担することになるのは、


「本屋(リアル・ネットを含む新刊書店)で、紙の本を買ったお客様」


 ということでしょうかー!


 ええ~!!


 だとすると、ここから今すぐにでもベストセラー作品を出すか、他の収入源を探さないと、すぐに立ち行かなくなってしまいますよー!!


 今の書籍・雑誌の売上のうち、電子書籍がどれだけのシュアを占めているのかはわかりませんが、今、紙の本を売るがどれだけ大変か、自分、よく知っています。

 勤めていた書店の他にも、自分の近所だけで10軒以上の本屋がなくなっている。


 お店の売上は、ただ右肩下がりだったわけではなく、ハリーポッターとか、村上春樹さんの新刊とか、妖怪ウォッチやアナ雪(今なら「火花」とか「君の名は。」でしょうか)みたいな大ヒットするコンテンツが出れば、一時的に持ち直すものの、なければそれ以上に下がる、その繰り返し。

 もちろん、本当にギリギリまでコストを削減して、売上を伸ばす努力はしていましたが……結果は、ご存じの通り(泣)。


 これは、自分が勤めていた地域だけではないでしょう。

 自分が働いていたのは全国展開する書店チェーンのひとつでしたが、いつの間にか、新規開店する店より、閉店する店の方が、ずっとずっと増えていました。


 カフェを併設するとか、品揃えを特定の分野に特化するとこで成功している本屋さんの話も聞きますが、裏返して言えば、普通の書店が普通に頑張って本を売っているだけでは、生き残ることさえ難しいのです。

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