「何の本をお探しですか?」その1。
さて。
皆さまは、リアル新刊書店(新古書店とかでもいいですが)や図書館で本を探すとき、「〇〇というタイトルの本」を探しますか? それとも、「○○という作家さんの本」を探しますか?
それは、お客様がお探しの本のジャンルによって違います。
少年向けマンガをお探しのお客様からは、タイトルでお問い合わせを受けます。
「長谷見沙貴先生(※1)の本はどこですか?」
とか、聞かれてみたかったのですが、それはまずありません。
少女向けマンガをお探しのお客様からは、タイトル(やシリーズ名)でお問い合わせを受ける場合と、漫画家さんの名前で受ける場合の両方あります。
少年向けマンガのお問い合わせは、男性・女性、どちらのお客様からも同じくらいありますが、少女向けマンガのお問い合わせは、やっぱり男性からは少ない……というか、ほとんどなかった気がします。
でも(出版社やレーベルによって若干違いがありますが)、少女向けマンガを買われる(読む)男性のお客様も確実にいらっしゃいますので、やっぱり「少女マンガのことを聞くのは少し恥ずかしい」みたいなのところがまだあるのでしょうか。
書店員は、そんなことまったく気にしていませんので、お問い合わせはどうぞお気軽に……。
ちなみに。
ジャンプ系少年マンガに女性の読者が多いのはよく知られている話ですか、チャンピオン系少年マンガを買われる女性のお客様もおられます。
10代後半から20代ぐらいの女性で……いわゆる腐女子と呼ばれる、マンガを読んだり描いたり書いたり(笑)する方々とは明らかに違う層でした。
りぼんとかちゃおとかなかよしとか……少女マンガはもう卒業♪ 今はもうマンガとか読まないわ的な(偏見)若いおしゃれな女性が、「弱ペダ」(※2)は別として、チャンピオン系のあの格闘マンガとか、ヤンキーマンガとかを買う理由と言ったら……彼氏の影響とか彼氏の影響とか彼氏の影響とかですね。畜生!!
いや、妄想ではなく、実際に彼氏と一緒にお店にいらしたお客様もいらっしゃいましたし。
リア充、爆発しろ!!!
……失礼いたしました。
えーと、何の話だっけ。そうだ。マンガの話の続きですね。
マンガ、マンガはいいなあ。
BLは、コミック・ノベルズ・文庫を問わず、タイトルとか作家さん(漫画家さんも含む)の名前とか言う以前に、お客様のお問い合わせそのものを受けた記憶がほとんどありません。
もちろん、お店にBL系の棚もあったし、普通に売れていましたが……このジャンルの作品のタイトルとか作家さんの名前については、下手なコミック担当(自分)より、お客様の方がずっと詳しいからでないかと思っています。
自分がそのジャンルに明るかったら少し話は違っていたかもしれませんが……勉強不足が悔やまれるところです。
レディースコミックも、少女向けマンガとほぼ同じ……ですが、例外もあります。
ハーレクインコミックス(※3)のお問い合わせでよく聞かれるのは、タイトルでも作家さん(漫画家さん)の名前でもなく、そのコミックが“新刊かどうか”です。
で、そのコミックが発売されたばかりだということがわかると、そのお客様(オトナの女性)は、タイトルも作家さんの名前も確認せず、入荷したばかりの新刊をごっそり買っていかれます。
個別の作品や作家さんにではなく、版元さんのレーベルそのものが信頼されて読者がついている感じでしょうか。さすが、永遠のハッピーエンドロマンス!
書店員をやらなければ知らなかったこと、結構あるものです。
普通の小説や、ラノベは……おっと、紙幅がつきてしまいました。
続きは、その2で!
※1 「TO LOVEる-とらぶる-」、及びそのスピンオフ作品「TO-LOVEる-とらぶる-ダークネス」の原作者。ラッキースケベの概念を変えたハーレム系ラブコメの王道作品にして金字塔。このコミックのお問い合わせ自体はよくありました。
「TO LOVEる-とらぶる-」「TO-LOVEる-とらぶる-ダークネス」
(集英社 ジャンプコミックス 長谷見沙貴/原作 矢吹健太朗/作画)
※2 「弱虫ペダル」(秋田書店 少年チャンピオンコミックス 渡辺航/著) アニメオタクの高校生小野田坂道が自転車ロードレースと出会う物語。
※3 カナダの出版社ハーレクイン・エンタープライズ社(日本法人株式会社ハーレクインは、2015年ハイパーコリンズ・ジャパンに社名変更)から出版されているオトナの女性向け娯楽恋愛小説ハーレクイン・ロマンスを原作に、日本の少女マンガ家がコミカライズしたもの。
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