「売れ続ける本」と「売れなくなる本」その1

 さて。

 皆さまは、紙の本を買われますか?


 いえ、そっちの薄い本ではなくて、書店や、雑誌ならコンビニとかで普通に買える奴の方。

 書籍でなくても、コミックスでも、雑誌でも何でもいいので、もし何かお持ちなら、ちょっとひっくり返して、その本の定価のところを見てもらっていいですか?



 自分の手元にあるのは、最近買ったKADOKAWAさんの四六判の本(2017年2月10日発行)ですが、


 定価:本体 1,200円(税別)


 で、もう1冊。こちらは2017年3月発売のコミックスで、


 定価本体400円+税


 あと、これは雑誌……まあ、週刊少年ジャンプ(2017年3月13日発売)ですが、


 定価260円本体241円


 と書いています。



 何か、お気づきでしょうか?



 そう、四六判の本とコミックスは「税別」で、雑誌は「税込」で、定価が表示されていますね。

 表紙を見ましても、週刊少年ジャンプには、


 特別定価260円


 とちゃんと「税込」の定価が表示してあるのに、本はどれを見ても「税別」の本体価格しか書いていません。


 ところがですよ。これは自分の本棚の奥から引っ張り出してきた、


 「キッチン」(吉本ばなな/著 福武書店)

  ISBN978-4-8288-2252-5(4-8288-2552-6)

 (1988年1月30日第1発行 1990年2月13日第50発行)


 なんですが、これの裏表紙には、


 定価1030円

(本体1000円)


 「税込」と「税別」の定価が表示されています。しかも、表紙の帯にも「福武書店 定価1030円 (本体1000円)」と丁寧に書いてあるではありませんか。現在、新刊書店で流通しているもので、そういうものはほとんど見かけません(※1)。

 

 理由は、もうお分かりですね。そう、「消費税」。

 この本は、もう新刊書店では売っていませんが(※2)、もし買えたとしても、定価(税込)は1030円ではなく、1080円。


 2014年に消費税率が8%になりましたからね。2017年に10%になるのは延期されましたけど(2017年3月現在)。


 1989年4月に消費税(3%)が導入された当初は、将来的に税率が変わることは考えられていなかったので、書籍もカバーに「税込」と「税別」の両方の定価を表示していましたが、1997年4月に消費税率が5%になったときから、将来的に税率が変わることも見越して、書籍の定価の表示は「税別」の本体価格+税となりました。


 本を買うお客さま側から見ると、「税別」と「税込」の両方を書いてくれた方がわかりやすいのですが、書籍は他の商品と違って市場に長い期間流通するものですから、そうすると消費税率が変わるたびに全ての本のカバーを掛け替えなくてはなりませんので、その費用も馬鹿にならない。


 なので、書籍の定価は「税別」。本体価格+税という表示が許されているのです。


 一方、雑誌は販売できる期間が決まっている(※3)ので、「税別」と「税込」の定価の両方の表示ができるんですね。


 スーパーとかコンビニとかの通常の小売店では、店内の商品の価格表示は、「税別」か、「税込」か、あるいはその両方かに統一されているのですが、書店では例外的に定価が「税別」で表示されている本と、「税込」で表示される雑誌が混ざって売られている、ということですね。


 実は、これがちょっとだけ、罪深いのですよ……。


「売れ続ける本」と「売れなくなる本」その2に続きます。


 

 

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