「売れ続ける本」と「売れなくなる本」その2

(「売れ続ける本」と「売れなくなる本」その1 の続きです。)


 大人は、ちゃんとわかっているから、いいのですが……


 ところで、小学校低学年向けのコミック雑誌といえば、何といっても「月刊コロコロコミック」(小学館)。皆さまの中にも「小学生の頃、よく読んだ~」って方も多いと思いますか。


 自分が書店員時代、消費税は5%で、「月刊コロコロコミック」の定価は500円(税込)でしたが、自分が勤めていた書店が使用していたレジでスキャンすると、499円になりました。


 これがなぜか? といいますと、税別の本体価格に消費税分を加算したときに小数点以下の端数があった場合、雑誌の定価表示はその端数が「切り上げ」なのに対して、自店のレジは「切り捨て」になる仕様になっていたからです。


 だから、「月刊コロコロコミック」を自分が勤めていた書店で買うと、表紙に定価500円って書いているのに、500円を出すと、1円のお釣りがもらえるんですね。


 なんてお得な! ……と言っても1円ですが。


 ところが。


 「ONE PIECE」とか「NARUTO-ナルト-」とかのジャンプコミックス……まあ、少年サンデーコミックスも、てんとう虫コロコロコミックスも、りぼんマスコットコミックスも、ちゃおコミックスのそうですが(※4)、新書サイズのコミックスは、今は定価本体400円+税に値上がりしましたが、当時はまあだいたい定価本体390円+税でした。


 消費税が5%だと、税込で409円。

 

 小学生くらいのお客さまが1人でレジに来て、定価本体390円+税のコミックスをお買い上げいただいたとき、


 「1点お買い上げで、409円です」


 と言うと、400円出したそのお客さまは困った顔をして、お連れさまのところに10円をもらいに行く……という場面がレジではよくありました。


 「月刊コロコロコミック」は、定価500円だけど、500円出すとお釣りが1円もらえる。


「ONE PIECE」のコミックス(他の新書サイズのコミックスもですが)は、定価390円で、400円出せば10円のお釣りはもらえるはずなのに、9円足りない。


 すまない、少年よ! キミのせいではないんだ……ッ!!


 「税別」とか「税込」とか「本体価格」とか「消費税」とか……大きくなればわかると思いますが、大人の事情はいつだって罪深いものですね。



 で、結局、何を言いたいのかと申しますと、雑誌は販売される期間が決まっているけど、本は決まっていない……将来消費税がいくらになっても、そのまま売っていていいってことです。


 ……売れ続けるものならば。




 ※1 まれに地方の取次さん経由で入る地元の版元さんが出している本の中に、消費税が3%の定価表示のままのもの残っていることがありました。


 ※2 新古書店では中古で安く買えそうですが。あと、文庫版が2社から出ていて、新刊書店で普通に買えます。


  角川文庫→ISBN978-4-04-180008-9(4-04-180008-0)

  新潮文庫→ISBN978-4-10-135913-7(4-10-135913-x)


※3 雑誌が販売される期間の間に消費税率が上がる場合は、「税別」の「本体価格」と、消費税増税前と後の「税込」の「定価」が2つ表示されます。


 例えば、本体400円の雑誌の場合……2014年3月31日まで 定価420円

                  2014年4月1日から 定価432円


 という感じです。


※4 少年マガジンコミックスや、なかよしコミックスは、その当時から定価本体400円+税のものが主でした。    


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