潰れた本屋の元店員は、トップページのリニューアルを提案する。その3

 では、自分の考える具体的な改善策(案)を。


 まず、今のトップページから、書籍化決定作品(書籍化決定作品は、トップページの顔になりますから、できたら特別扱いで残しておきたい)以外のものを全て集めて、ジャンル別というか……読者層別に分け、それぞれ別のページにします。


 (同じファンタジーでも、いわゆるライトファンタジーとハイファンタジー、同じ恋愛・ラブコメに分類されても、ティーン向けケータイ小説の恋愛ものと、ラノベのラブコメと、ハーレクイン・ロマンスと、BLと、TLと、大人の女性向け恋愛小説は、読者層が別なので、その辺りの分けかたとかはまた後で検討します。)


 例えば、ホラーなら、ホラー小説ファンの読者向けに、「カクヨム」内のホラー小説の人気ランキング、ホラーの新着小説、ホラーの新着おすすめレビュー、ホラーの注目小説ピックアップだけを載せたページをそこに作る。

 そうすると、そのページは、ホラーが読みたい読者だけが集まる「場所」になります。

 SFや、ミステリーや、その他もしかり。

 つまり、リアル書店のように、対象になる読者別に本棚を作り、お店のフロアを分けるのですな。

 ホラー小説ファンのページには、角川ホラー文庫なんかの広告を貼ると、版元さんは特定の読者層向けて、効果的な宣伝ができますね。今はないけど、将来、BL読者向けのページを作れば、そこにルビー文庫の広告なんかを貼るのもいいかもしれません。

 

 そして、トップページには、それぞれの読者を、読みたい本のある場所へとご案内するため、お店全体のフロアの案内図を置きます。

 店内フロアの案内は、書店員の大切なお仕事。

 いちばんよく聞かれるのは、トイレの場所ですが(笑)。


 作者は、自分の新作を載せたいページを選び、あとは今まで通り作品を投稿するだけです。


 お分かりでしょうか? そうするだけで、新着小説を読んでもらえる確率が、ぐっと上がります。 

 なぜなら……ホラーを例にとりますと、ホラー小説を読みたい読者は、恋愛小説の新着には手を出さないでしょうが、ホラー小説の新着には、きっと興味があると思うからです。

 

 せっかく心をこめて書いた作品ですから、何を読みたいのかわからない読者のいる場所に置くよりも、あなたの作品が読みたいかもしれない読者……あなたが作品を読んで欲しい読者が集まる場所に置く方が、ずっといいに決まっています。

 その心をとらえることができるかどうかは、作者の方の実力次第ですが。


 「花があれば、蝶やミツバチが集まるように、いい本があれば、いい読者が集まる」


 書店員をしていて、実感したことです。

 ちなみに、その文言の続きは、


 「エロい本があれば、エロい本の読者が集まる」


 なんですが(笑)。

 ……すみません(汗)。だいなしですね。



 いかがでしょう?


 「読者」は、自分の読みたい小説のランキングや、おすすめが、すぐにわかって 嬉しい。

 「作者」は、自分の作品を読んでもらえて嬉しい。

 「版元」は、特定の「読者」に向けて効率よく宣伝できて嬉しい。


 WIN WIN じゃなくて WIN×3


 ついでに、版元さんは、そこからレーベルを背負って立つような作家を発掘できる可能性もありますから、WIN×4ですね。


 「作者」を主体に考えると袋小路でも、「読者」を主体に置き換えると、ちゃんと出口があるわけで。


 いいことしか思いつかないのですが……何か、問題ありますか?


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