潰れた本屋の元店員は、対象読者別というのを解説する。③大人向けラノベ

 ③大人向けラノベ


 カクヨムはもちろんweb小説で主力なのは、読むひとも書くひとも大人の“大人向けラノベ”でないかな、と思っています。


 ラノベには違いないけど、ティーン向けではないラノベ。


 ……話は、変わりますが。


 この間、昔のアニメの主題歌のワンフレーズをふと思い出しまして、フルコーラスで聞きたくなって、動画サイトを観ていました。アニメって久しぶりに観ると、絵が動いているってだけで感動します。すげえ懐かしい。


 昔よく聞いたアニソンって、あれですね。10年20年忘れていても、ワンフレーズを聞いただけで続く歌詞がすらすら出てくる。同じころ学校で習ったことは……ええ、何ひとつ覚えていませんとも。

 当時のクラスメイトの名前すら思い出せないというのに、何なのこの記憶力。

 

 これの原作マンガ。当時大人気で、自分も例にもれずハマって集めていましました。コミックスはひとに譲ってしまったので手元にはないのですが、身を呈して守ってくれた主人公(気絶中)に、ヒロインがキスしようとするシーン、すごくドキドキしながら読んだことを覚えています。


 当時、この件について「女神アテナが恋をするのはいかがなものか」ってアニメ雑誌の読者投稿欄でファン同士の大論争になっていたくらいです。30年ほど前の話。


 しかし、今、改めて考えると……上司と部下。


 パワハラ&逆セクハラじゃね? 沙織お嬢さま。


 主人公の意思は、当時、誰も(ファンも)気にしてなかったしなあ……。好きで馬になったひともいたのは有名な話ですが。


 ……ってか、強くなるためとはいえ、そんな小さい子どものころから下手したら死ぬような修行を無理やりやらせるのは、児童虐待じゃね?


 

 これだけで何の話かわかったひとは同年代ですね。お若い方がきょとんとしているのが目に浮かぶよーだ。正解でも賞品は出ませんが。



 よーするに、何が言いたいのかといいますと。


 同じ作品でも、それをいつ読んだか……それをいくつで読んだかによって、見かた・感じかたが変わるということ。


 絵本でも、マンガでも、ラノベでも、小説でも。


 昔、若いころ好きだった作品を年取ってから改めて読んでみると、懐かしいと思ったり、当時は気がつかなかった意外な発見があったり。ちょっとみるだけのつもりだったのに、気がつくと一気読みしていたり、変わらないこともあるし、「なんでこんなのが好きだったんだろう??」と心から疑問に思うこともあります。


 本は変わらない。ひとは変わり続ける。昨日の自分と、今日の自分と、明日の自分は、同じようでも別のもの。それが成長か成熟か老化か腐敗か知らないけれど。本は変わらずにそれを教えてくれる。


 ……なんかわかったような、わからないようなことを書きましたが。


 どんな本に出逢うかも大事だけど、その本に“いつ”出逢うかというタイミングも結構重要だと思うわけで。


 幅広い世代の読者の共感を呼ぶ作品は素晴らしいけど、普通10代の読者が「いいね!」と思うものと、30代の読者が「いいね!」と思うものは当然違うはずだし、男性と女性はもちろん、同じ作品で、読むひとが同じでも、10代で読んだのと30代で読んだのでは、きっと印象も感想も違うはず。


 だから、作品を対象読者の性別や年代別に……ざっくりでいいので分けるのは、読者が作品に最良のタイミングで出逢うのに役に立つと思うんですよ。



 そうしたほうが版元の編集者さんにとっても、それぞれのレーベルの対象読者ターゲット層に合った書籍化するのにいい作品を拾い上げやすくなると思うのですが……いかがでしょうか? カクヨムさん。


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