時を超えるもの。
売れ続ける本……ロングセラーや定番が多いジャンルは、児童書です。
対象年齢は0歳から15歳……だから、生まれたての赤ちゃんから、中学生くらいまでのお客様が読む本……児童文学とか、赤ちゃんはまだひとりでは読めないから、字が読めるようになりまで大人に読み聞かせてもらう絵本とかですね。
小さいお子さんのお客様も、よく親御さんたちと一緒に本屋にいらっしゃいます。
小さいお子さんのお客様は、読んだ本をたいてい元の場所に戻さずに読みっぱなしでお帰りになることが多いので、繁忙期の児童書売り場はいつも片付けるのが大変だったとか、児童向けえほんは、四六判の本とか、文庫・新書とかと違ってサイズがまちまちだから、棚がでこぼこになって整理しづらいとか……まあ、今さらそんな愚痴は置いときまして。
自分は児童書の担当をしたことはないので、そんなに詳しくはないですが(お店に人が少ないので、品出しはよくやりました)、このジャンルには、長く愛される本が多いのです(ISBNは、改版のもの)。
「いないいないばあ」(松谷みよ子/文 瀬川康男/絵)童心社
対象年齢:0歳~ 初版年月日:1981年5月 ISBN978-4-494-00101-9
「ぐりとぐら」(中川李枝子/さく 大村百合子/え)福音館書店
対象年齢:2歳~ 初版年月日:1967年1月20日 ISBN978-4-8340-0082-5
「はらぺこあおむし」(エリック=カール/さく もりひさし/やく)偕成社
対象年齢:2歳~ 初版年月日:1976年5月 通常版→ISBN978-4-03-328010-3
こうして思いつくものをざっと並べてみただけでも、30年・40年以上前のものがざらにあります。
……あと、前にもちょっと触れた「100万回生きたねこ」(対象年齢:4歳~ 初版年月日:1977年10月19日)もそうですね。
でも、これらの本は、今も売れ続けていて、児童書売り場のある普通の本屋さんに行けば、特に取り寄せしてもらわなくても、今も普通に平積みしてあって、普通に買えます。
これらの絵本のページを開いてみると、その理由がわかります。30年・40年前の本なのに、内容は全然古くない!
子どもさんが生まれたお友だちへの出産祝いや、小さいお子さんへのプレゼントなどにも最適♪です。
少子化のため、児童書の売上が減り続けているのは確かですが、これらの本はこの先……10年先でも20年先でも、新刊書店の店頭にあり続け、さらに多くの子どもたちに愛され続けていくでしょう。
確信を持ってそう言い切れます。
だって、ぐりとぐらが作ったカステラは、今見てもおいしそうですし。
児童書に長く愛されるロングセラーが多いのは、“大人が買うもの”だからです。
子どもさんのために、大人が買う。もしくは、子どもさんが大人にねだる。
“こどもだまし”なんて言葉がありますが、実は小さい子どもさんほど厳しい読者はいません。
子どもさんが生まれてはじめて出会う本に、古いも新しいも関係なし。大人なら、「売れている本だから、面白いんだろうな」とか「有名な作家の本だから、いいことが書いてあるんだろうな」とか、余計な先入観が評価を歪めてしまうけど、それもなし。
つまらなければ、“ぽい”ですから。
……まあ、少し大きくなればわかることもあると思うので、本は“ぽい”しないでくれるといいのですが……まあ、それはともかく。
大人は、本を買っても、一度読んでそれっきり、本棚にしまって二度と開くこともないことも多いのでしょうが、子どもさんは好きな本なら何度でも開いて読み返します。
大人が子どもに読んで欲しいと思う本、そんな子どもさんたちをわくわく、どきどき、させる本。子どもさんが、何度も読んで欲しいとせがむ本。
その本が、悪いものであろうはずはありません。
その子はやがて大人になり、その本を子どものために買う。そしてその子もまた大人になる。
そうして多くの子どもたちに愛される本が、世代を越えて受け継がれ、読み継がれ、売れ続けるのです。
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