定番と新商品

 <前回のあらすじ>

 時代の変化が早すぎる。


 自分は現在、本でないものを売る仕事をしていて、本――特にラノベ・一般の小説もまたコンビニとかスーパーとかで売られている食品や日用消耗品等とかと変わらないなあ、と思うところがあります。


 小売業で働いたことのある方ならご存じだと思いますが、お店で売っている「商品」はざっくり分けて2つ。



「定番」と「新商品」



 もちろん本の場合は「新商品」じゃなくて「新刊」だし、消費期限も賞味期限も使用期限もないし、他の商品と違って(新刊書店では)版元さんが決めた定価で売らなきゃいけないかわりに返品はいつでも可能(例外もあり)とか、他の商品にはない特長があるけれど、そこは同じだな、と。



「定番」を辞書で引くと、


 てい-ばん【定番】流行に左右されず安定した需要のある商品。商品番号(品番)が定められていることからこう呼ぶ。多くは衣料品についていう。


 とあります(『広辞苑』第5版 岩波書店)。


「定番」のイメージは、年中季節を問わずいつでもお店に置いていて、いつでも売っている・売っていないと困るおなじみの商品って感じでしょうか。


 この定番商品を品切れさせないことは、小売業の基本中の基本。今まであって、これからも(たぶん)普通に売っている。そんな商品です。



「新商品」という言葉は広辞苑には載っていませんでしたが、言葉のとおり、「新たに発売される商品・新発売の商品」(そのまんま)です。


 お菓子とか、カップ麺とか、飲料とか、新商品ってだいたいお店の目立つ場所にどんと置かれるので目立つし、なんか気になりますよね。お値段が手ごろだったりすると、ついつい手が伸びてしまったり。


 ……ただ、そうゆうのって、気に入ってまた買いたいと思っても、少し時間が経つと、最初に買ったお店ではもちろん、他のどこを探しても売ってない! って経験、ありませんか?


 もちろん、よく売れたら追加で補充され、新たに「定番」になっていつでも買えるようになる「新商品」もあります。でもまた、最初に入荷した分が売れれば、補充されることなくそれきり店頭から姿を消してしまう「新商品」も少なくないのです。


 あと、「限定品」というの。


 これは、本屋でいう「限定品」と、本屋でないお店でいう「限定品」ではニュアンスが少し違うのですが、(※1)本屋でないお店でいう「限定品」は、「新商品」に近い感じで、こちらは「なくなり次第終了です」って最初からいわれている商品。


「季節限定」とか「期間限定」とか「数量限定」とか「地域限定」とか、限定いろいろありますね。今の季節だと「春限定」の商品がいろいろお店に並んでいます。パッケージだけ春仕様で中身は同じの定番商品とか。

 入荷した分だけはけたら追加はされないものですが、翌年の同じ時期にはまた新商品みたいな顔でしれっと店頭に現れるのも「限定品」です。



 ついでに「定番」だからいつもお店にあるというわけでもなく、売れ行き不調のため、お店で取り扱うのをやめたり、メーカーで生産終了したりする商品もあります。


 自分たちは、一度発売された商品、お店に置いている商品は、なんとなくその後もずっとお店にあって、いつでも買えるような気がしているものだけど、実は意外とそうじゃない。


 そういうところが、本も他の商品も同じだと思うわけで。


 本という「商品」が、他と違うと思うところは……紙幅が尽きたので、次回の更新で――ってまた続くんかい!!




 ※1 本屋で「限定品」に当たるものは、いわゆる「初回限定版」でしょうか。本や写真集やコミックスの新刊に、フィギュアとか、カレンダーとか、OVAオリジナルビデオアニメのDVDとか、ファンなら絶対欲しくなるような特典がついて、お値段は通常版より少しお高め。

 数量限定、完全受注生産であることも多く、必ず欲しいひとは予約が確実です。ただし、予約の締切が通常よりも早く、買切品(返品不可の商品)のため、予約が間に合わず未入荷だったり、発注数を間違えたりするとえらいことになるので注意が必要です(泣)。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る