改めまして

 突然、失礼いたしました。


 改めまして。おはようございます。こんにちは。こんばんは。

 自分、売上不振のためリストラされた本屋の元・店員、灰色山穏(はいいろやまのん)と申します。まあ、自分の名前など、どうでもよろしい。ペンネームですから。


 勤めていた書店は、その1年3ヶ月後に潰れました(涙)。


 自分のことを少しだけ説明しますと、子どもの頃からマンガと本が好きで、将来はマンガ家になるつもりでしたが、画力が全然まったく向上しなかった!

 読書感想文ならたまに褒められることがあったので、それなら作家に…と安易に考え、小説のようなものを書き始めたものの、結局、どれもまともに完成させることはできぬまま、時は過ぎ、本好きということだけを頼りに地元の本屋に就職ました。

 そこで、15年近く働いたものの、今はこのありさまですわ(号泣)。


 晴れて無職になり、就活を始めましたが、就職試験はなかなか受からなかった。

 その間、暇を持て余すようになりましたが…暇になると人間、ろくなことを考えない。


 現実を知り、プロ作家になる夢は諦めたというものの、やはり自分にも、書いている途中の作品が、まだありました。

 友人に読んでもらうと「面白い!」と言ってもらって、続きをせがまれたので、いい気になって喜んでいましたが、ある日ふと、疑問に思ったのです。


 「…これって、本当に面白いのか?」


 自分の友人はやさしい人なので、本当はもしかして、面白くないのに、傷つけないように「面白い」といってくれているのではないか?

 そういう疑問が、頭をもたげるようになったのですね。生意気にも。

 今は、ネット小説投稿サイトなるものが全盛だそう。

そこからベストセラーになるものが多く出ているのは、書店員時代から知っています。

そこならば、見ず知らずの方に読んだ感想を聞かせてもらえるだろう。

そう安易に考えましてね。

 おそらく、この文章をお読みになっている多くの方(がいれば、ですが)と、同じように。


 もちろん、自分の作品には自信がありました。「これを機会に作家デビュー! あこがれの印税生活!」と考えなかったわけではありません。

 ええ、もちろん、考えましたよ。考えましたとも(ヤケ)。


 自分ヘタレで、自信満々で自作の小説の投稿を決意したものの、いきなりユーザー登録する勇気はなく、しばらくはただの読み専として皆さんの作品…主にエッセイを中心に読んで回りました。


 驚きました。

ランキングに入り、「自分の本を書籍する」ゴールのために、皆さん、必死に戦っているのです。

 しかも、「自分の作品を良くする」というまっとうな努力はいっこうに報われる気配はなく、あらゆる方法を使って自分を売り込んでいかなければ、生き残っていけない世界だと皆さん言っているではないですか!

 そして、気がつきました。

 自分、このまま作品を投稿しても、恐らく誰の眼にも触れることなく底辺に沈んでいくであろうことを。しかも、感想…レビュをいただいたとしても、それがどうか本物かどうか…お礼目当てのものか、そうでないかもわからない事実を。


 それでは、投稿前と何も変わりはないではないですか。いや、もっとひどい!


 自分、生来、負けず嫌いとは真逆のヘタレ。誰かと争うくらいなら「どうぞ。どうぞ。お先にどうぞ」と先を譲ってしまいたい臆病者。穏やかと言えば聞こえはいいが、ただ自分、痛い思いをしたくないだけですわ。


 こんな世界では、とても生きていけない。 

 

 自分がただの「作者」なら、尻尾を巻いて逃げ出したでしょう。

 何も知らなければ、おそらくここにいらっしゃるユーザーの皆さま、そのほとんどと同じように、PV数が増えないことに首を傾げ、☆が増えないことに悩み、やがてすねて腐ってしまうか、なりふり構わず営業するか、そのどちらかの選択を迫られたでしょう。

 

 でも、自分、それと同時に「本屋」でした。

 15年近く、本を売る場所で「作者」の思いを、最後に「読者」に手渡しする仕事をして、給料をもらい、ごはんを食べ、生きていました。

 自分、首をかしげました。

 この場所。この感じ。 

 何かが、おかしいのです。

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