第7話 プレザーヴを作ろう

 リンゴをたくさんいただいた。サンふじと紅玉。

 傷が入ったり形がいびつだったりして、商品として流通に乗らなかったリンゴたち。

 我が家に来てくれてありがとう。君たちには美味しいお菓子に変身して貰うよ。


 サンふじは断然生で食べるのが美味しいから、そのままにしてお隣にもお裾分け。

 紅玉は色が綺麗だからジャムにするといいんだ。甘さを控えたプレザーヴにして、パンケーキやヨーグルトに乗せても美味しいし、パイのフィリングにもできてしまう。

 そうだ、週末はこれでタルトタタンを作ろう。……なんてこんな風に考えているときが実は一番楽しかったりする。


 さて、タルトタタンに使うリンゴは除けておいて、今日はリンゴのプレザーヴを作ろうか。紅玉は皮の色を生かすと綺麗なピンク色になるんだ。

 皮を剥いたら塩水につけておいて、薄くスライス。皮は布巾で包んで……あ、お茶パックでもいいな、麦茶を出す時の大きめのを使おう。

 お気に入りの白いホーローのお鍋にりんごを入れて、上からお砂糖をかけたら、レモンを絞る。ああ、これだけで既にいい香り。後はしばらく放置だ。お風呂に入ろう。


 さて、お風呂で水鉄砲の腕を磨いている間に水分が出てきたかな? うん、いい感じになって来た。

 鍋をストーブの上に移動してたまにかき混ぜる。ストーブの上はちょうど弱火の火加減なので、焦げ付くことなくトロトロとゆっくり煮込める。だからジャムを作ったり豆を煮たりするのにちょうどいい。

 ここにさっきのリンゴの皮を入れるんだ。お茶パックに入っているから色だけが出て来る。

 普通リンゴジャムやリンゴのコンポートと言えば黄色いものだけれど、皮を一緒に煮込むと鮮やかなピンク色になって食卓も華やかに彩られるから、僕は紅玉で作るときはいつもこうやって皮を一緒に煮込むんだ。


 出来上がったプレザーヴは煮沸した保存瓶に入れて何日も楽しめる。

 律ちゃんのところにもサンふじと一緒に届けよう。

 残ったリンゴの皮はそのまま紅茶に入れてしまえば仄かに甘みの残るアップルティになる。更にこの皮をフードプロセッサで細かくしてシフォンケーキの生地に混ぜ込めば『リンゴのシフォン』の出来上がり。生クリームとリンゴのプレザーヴをかけたら完璧だ。

 ああ、それじゃあタルトタタンよりリンゴのシフォンの方が先になってしまう!

 今週はケーキ作りが忙しそうだ。

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