クロード葉月先生の徒然日記

如月芳美

夏の日記

第1話 プリズム

 今日も暑くなりそうだ。

 庭のトマトが真っ赤になっているのが見える。収穫しに行ったら、ピーマンも真っ赤に熟していた。


 ふと見ると大きな芋虫くん。君はオオスカシバ君だね。尻尾の角がとても立派だ。

 手に乗せてみると、僕の中指ほどのサイズ。これは将来有望だ。


 打ち水でもしようか。

 庭に水を撒いていると、太陽光が当たって虹ができる。

 虹を見るとワクワクする。別の世界をこっそり覗いてしまったような気分だ。百日草ジニアの陰からカマキリ君もこちらを見ている。


 バケツに水を汲んで来る。

 鏡を斜めに突っ込むと、太陽光が分解されて木槿むくげの木が虹色に光る。奇跡の木槿の出来上がり。

 そこにアブラゼミ君が飛んできて、木槿の葉っぱにとまった。君は世界一美しいアブラゼミだろう。

 七色のアブラゼミ君は興味無さそうに鳴き始めた。


 水音がして、むくげの七色が急に壊れた。

 バケツを覗くと何かが落ちたようだ。


 おやおや、こりす君。ここはプールじゃないよ?

 君の身長では溺れてしまうだろう?


 拾い上げて手に乗せると、こりす君、ブルブルっと体を震わせて水を飛ばした。

 こらこら、僕に水がかかるだろう。

 あーあ、眼鏡が水滴だらけだ。

 可愛いのは罪だなぁ、何でも許せてしまう。


 さて今日はもぎたてトマトで何を作ろうか。

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