第3話 種まき
新学期になった。僕は三年B組の担任になった。
そして『また』と言うべきか、隣のA組は陽向先生だ。職員室で『また』隣の席と言うことは……『また』書類雪崩の被害は免れそうにないという事で、『また』秋には動物付着散布型植物に貢献する彼女のセンダングサを取るのを手伝う運命のようだ。
さて、山間部は冬は長いけれど春は短い。桜が咲いたら種
僕はあまり手をかけずとも自分の力で逞しく育ってくれる花が好きだ。うちの庭の花はそもそもが殆ど
そして種を蒔かなくても地下茎や根っこがずっと元気に生きていて、春になると勝手に芽吹いてくれる宿根草たち。
大金鶏菊が咲くと必ずと言っていいほど現れるカワラヒワさん。
あの子は好んで大金鶏菊の細い茎に無理やりとまりたがる。重みでびよーんびよーんとするのだけれど、そんなことはお構いなし。
白蝶草についうっかり止まってしまったスズメさんは、びよーんとなると驚いてすぐに飛んでしまうけれど、カワラヒワさんは慣れたものだ。
僕が好んで毎年種を蒔くのは、
花が満開になって庭を埋め尽くしているのを想像しながらの種蒔きは、本当に幸せな気分になれる。たくさんの花たちに、たくさんの虫たちが集まって来て、僕の目を楽しませてくれるんだ。
そうそう、去年不思議なことがあったんだ。
フレンチマリーゴールドの種を蒔いたのに、どんどん育って150㎝ほどになってしまった。これ、アフリカン・マリーゴールドだったんじゃないのかな?
夏には向日葵を咲かせたい。表の通りからでも頭が見えるように。
我が家は近所の子供たちに『ひまわりのおうち』と呼ばれているんだ、向日葵が見えないと、そう呼んで貰えない。それにこりす君も向日葵をとってもたのしみにしているはずだからね。くすくす。
そのうちに、いつもやって来るヘビさんやヤモリさん、イタチ君、キジさんたちも来てくれるんでしょうね。今から楽しみです。
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