第4話 甘い香りの実験室

 今日は楽しい実験です。ワクワクしますね!

 脳内音楽は花のワルツで決定です。

 まずは段ボール。これが無い事には始まらない。それと、スクリューキャップの缶コーヒーの空き缶。そしてアルコールランプ。乾電池にモーター。アルミホイル。あとは軍手とピンドリル……ああ、画鋲で十分だ。

 さてと、ザラメでも準備しようか。


 おや、こりす君が興味津々でやって来ましたね。

 庭のハイブッシュ種のブルーベリーを大事そうに抱えて寄り道ですか?

 君はこういう楽しい事には敏感ですね。見てるだけですよ? ん? ヤモリ君も見に来たんですか? 人体模型君と一緒に見学ですよ。


 軍手をして、滑らないようにしてから缶の側面にたくさん穴を開けて。

 ああ、スクリューキャップにも穴を開けないと。

 こちらにはモーターを取り付けて。

 アルコールランプがベタベタにならないようにアルミホイルで養生したら、段ボールの真ん中に置いて、と。


 さあ、始めますよ。

 缶にザラメを入れて、蓋をして、アルコールランプに火をつけて。缶の蓋につけたモーターから延びる線の両端を、乾電池につけると……。

 ほーら、缶が回り出したでしょう?

 これを温めると中のザラメが溶けて、穴から遠心力で飛び出すんです。

 急激に冷えると何になると思いますか?


 こりす君、覗いてもいいですが、中に入っちゃダメですからね。

 出てきた出てきた、割りばしでクルクル巻きますよ。

 そんなにじっと見ていたら目が回っちゃいますよ。

 ね、楽しいでしょう?


 ああ~!

 こりす君、入っちゃダメです、あらららら……。

「こりすわたあめ」出来上がり。

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