第9話 矮性朝顔
我が家にはちょっと変わったハンギングバスケットがある。いや、バスケット自体は全然珍しくもなんともないのだけれども。
去年はここに
5月の初めに、グリーンカーテン用にと
朝顔は
意気揚々と植え付けようとして、はたと気付いた。
この朝顔、
悩みに悩んで、ハンギングバスケットに蒔いてみた。
これは上手くすればクリーピング朝顔になるかもしれない。
さて、グリーンカーテンの方は雀瓜だけでは心許無い、困った。
そうだ、
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雀瓜と苦瓜は、毎日成長目覚ましい。
トマトもピーマンも次々に花をつけてはゴロゴロと実をぶら下げている。
朝顔は……やっと本葉が出てきたところ。とてものんびりさんだ。きっと大器晩成型に違いない。
あれれれ? 朝顔の鉢から金蓮花の芽が出てきた。去年の種が落ちたのか?
この調子だと朝顔は金蓮花に追い越されてしまいそうだな。
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金蓮花は次々に丸い葉を出して、どんどん勢力を広げて行く。
朝顔は押し出されるように鉢を譲って下に蔓を伸ばす。
雀瓜と苦瓜は、あっという間に僕の身長を超えてしまった。
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そして今。
苦瓜はちょっと黄色くなったものと緑色のものがぶらんぶらんとしているし、雀瓜はコロコロと赤や黄色のスーパーボールみたいな実をつけている。
例のハンギングバスケットはと言えば、黄色やオレンジの金蓮花が満開の花を付け、そのすぐ足元には朝顔が20㎝ほどの蔓から、5つも6つも牡丹色や撫子色の見事な花を咲かせている。
矮性の朝顔もなかなかいいものですね。そう思いませんか?
声をかけると、シオカラトンボ君はその複眼をこちらに向けて羽を休めた。
さて、コーヒーでも淹れましょうか。
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