概要
(2018/11/02)
漫画3巻(完)発売。
(2018/03/02)
漫画版2巻発売。
(2018/02/09)
早川書房「ベストSF2017」国内篇6位。
(2017/12/18)
第38回
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!SF好きの安堵と嫉妬
長く読書を続けていると自分の好みというものが分かってくる。自分の場合、SF成分が重要な要素となる。
SF風味とかフレーバー程度から、発想、思考、世界観、構成や文章まで含めると話が大きくなりすぎるが、どういうテイストで読みたいのかといえば、読み応えのある「硬度」がほしい。
この作品はディストピア系の世界観になっているが、そこに至る発想や鏤められた要素がどうにも堪らない。はっと胸をつかれ、そう来たかとSFテイストが染み出てくる時、にやけてしまうのだ。
今時の流行を否定はしないが、やはりこういうSFの原点を味わえる作品はもっと出て欲しいと思う。そしてこういう作品が生まれることに、SF好きとして安堵…続きを読む - ★★★ Excellent!!!社会が駅を作るのか、駅が社会をつくるのか
駅は本来、貨客を輸送するための移動手段の、あくまで中継点です。
だけど、それがこの作品の横浜駅は逆転していて、登場人物たちは本来鉄道で移動するような距離を、徒歩で移動しなければならない。
それは、どこまで行っても『横浜駅』内という皮肉。
駅の利用規約が社会の規範になったエキナカ、それを強制する自動改札や警察員たちは、不思議の国のアリスに出てくるトランプの兵士を連想させます。
横浜駅の外の世界よりも治安が良く住環境が整備されているが、生活は完全に駅に依存してしまっているところは、ある種のディストピア小説とも読めました。
ちょっと変わったSFを読みたい人にオススメです! - ★★★ Excellent!!!目的と手段が逆転してしまった未来、の描写力のスゴさ
BLAME!的な設定と現実の横浜駅の大工事の融合というだけで面白いのに、さらに「手段と目的の究極の逆転」という作品の核が、この作品を単なるパロディーではなくオリジナルSFとして成立させているのがスゴい。
エスカレーターは登るための機械ではなくそれ自体が富士山を登る(覆う)ものとなり、
駅に入るためのスイカはそれがないと駅から追い出されるものになり、
そして駅は街に入るためのものではなく街そのものになった。
こういうふうに書かれた世界観は相当グロテスクで嫌な感じなのに、なんだかそうは感じさせない文章がクセになってくる。
“これがあたりまえなんですよ。あなたスイカあるんですか”というか…続きを読む