横浜駅SF

作者 柞刈湯葉

3,769

1,373人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

タイトルから想像するとネタっぽい小説だけどとんでもない。日本の大部分を横浜駅化された世界、何だか怖いんだけどコミカルな自動改札。使われている固有名詞もちょい考えるとクスリとしてしまいます。

あ、うん。これだけだとかなりライトな小説と勘違いされそうですね。でも本作はしっかりとちゃんとSFしているんですよ。そしてもちろん面白い。

心地良いSFを楽しめると思います。

★★ Very Good!!

長く読書を続けていると自分の好みというものが分かってくる。自分の場合、SF成分が重要な要素となる。
SF風味とかフレーバー程度から、発想、思考、世界観、構成や文章まで含めると話が大きくなりすぎるが、どういうテイストで読みたいのかといえば、読み応えのある「硬度」がほしい。
この作品はディストピア系の世界観になっているが、そこに至る発想や鏤められた要素がどうにも堪らない。はっと胸をつかれ、そう来たかとSFテイストが染み出てくる時、にやけてしまうのだ。
今時の流行を否定はしないが、やはりこういうSFの原点を味わえる作品はもっと出て欲しいと思う。そしてこういう作品が生まれることに、SF好きとして安堵するのだが、自分が思いつけなかったことに気づいた作者に心よりの嫉妬を送ることになるのだ。

★★★ Excellent!!!

駅は本来、貨客を輸送するための移動手段の、あくまで中継点です。
だけど、それがこの作品の横浜駅は逆転していて、登場人物たちは本来鉄道で移動するような距離を、徒歩で移動しなければならない。
それは、どこまで行っても『横浜駅』内という皮肉。
駅の利用規約が社会の規範になったエキナカ、それを強制する自動改札や警察員たちは、不思議の国のアリスに出てくるトランプの兵士を連想させます。
横浜駅の外の世界よりも治安が良く住環境が整備されているが、生活は完全に駅に依存してしまっているところは、ある種のディストピア小説とも読めました。

ちょっと変わったSFを読みたい人にオススメです!

★★★ Excellent!!!

BLAME!的な設定と現実の横浜駅の大工事の融合というだけで面白いのに、さらに「手段と目的の究極の逆転」という作品の核が、この作品を単なるパロディーではなくオリジナルSFとして成立させているのがスゴい。

エスカレーターは登るための機械ではなくそれ自体が富士山を登る(覆う)ものとなり、

駅に入るためのスイカはそれがないと駅から追い出されるものになり、

そして駅は街に入るためのものではなく街そのものになった。

こういうふうに書かれた世界観は相当グロテスクで嫌な感じなのに、なんだかそうは感じさせない文章がクセになってくる。

“これがあたりまえなんですよ。あなたスイカあるんですか”というかんじで。

でもぼくは横浜駅では暮らしたくないです。

★★★ Excellent!!!

「再開発が一向に終わらない横浜駅」というのは、知っている人ならばピンとくるのではないでしょうか。私自身、仕事で横浜駅を使うことが多いのですが、この光景が生々しく感じられます。

一見するとB級のSF作品のようにも思えるタイトルですが、登場人物の設定や独特の世界観は間違いなく「王道SF」の内容です。

そして何より、たまに登場する横浜駅ネタがうれしいですね。

★★★ Excellent!!!

小説版もコミック版も好きですが、カクヨムのレイアウトで読むとまたちょっと違う感じというか、ここが原点なんだなぁという感じがしてしまいます。
もっともっとこの話は広がっていくはずで、日本だけでなくそのうち世界も飲み込んでいくでしょう。
スケールが壮大過ぎてどうなるか私では想像すら付きませんが、どんな話になっていくのか、楽しみにしております。

★★★ Excellent!!!

 あらすじに興味を惹かれ、本編を一気読みしました。近頃の小説投稿サイトに投稿される作品の中では珍しい本格的なSFで、大変楽しませていただきました。出てくる用語が現実で用いられるものが多く、設定の羅列で目が滑るといったことがなく、それらが一見似ているようで全然違うものになっていたりと、すごく練って物語を作っているのが感じられました。そして、自由な発想が物語の根幹になっており、それが出オチにならず、筋がぶれずに貫いているところが本当に良かったです。
 またこんな自由で新しい発想のSFに会えることを楽しみにしてます!
 

Good!

小松左京、星新一、筒井康隆といった巨匠の空気を感じさせるオリジナルな発想に新鮮さを感じました。
あまりにオリジナルだと、どうしても説明が多くなるのはやむを得ないところとは思うけど、できればストーリーの中に説明を組み込んで欲しかったな。それさえなければ星三つです。

★★★ Excellent!!!

日本で住む者のホトンドのヒトが使用する駅――このエキナカで閉じ込められたらどうなるのだろうと一度は考えたことがあるのではなかろうか??
そのエキナカの中暮らすしかなくなった人々の暮らしや、その外で生きていた主人公の、日本を行く末を変える戦い!!


★★★ Excellent!!!

 と、ラピュタの碑文を解読出来たムスカ大佐の如く興奮出来る程に、スっと入ってきます。タイトル通りの突っ走りっぷりなのに、です。
 ユーザーに寄る事を排除したかのように斜め上に舵を切るタイトル。そして常識などまるで無視し、我々の生きる普通との整合性など決して整えない。
 しかし話は見たままをコチラに受け入れさせ、その世界に引きこんでくる、有無を言わせぬ構成力だと言わざるを得ません。

★★★ Excellent!!!

 以前から話題になっていた本作を、先日書店で拝見したのを機に読んでみることにしました。
 題名から勝手にコメディ調のものを想像していましたが、ストーリー展開や世界設定、人物の描写に至るまでしっかりと書き込まれた重厚なSF作品になっており、一気に最後まで読み切ってしまいました。
 SF作品が苦手な方にこそ読んでほしい、素晴らしい物語です。

★★ Very Good!!

 エキナカ、エキソト、そしてJR九州、北海道…。個性を得て動き始めるヒューマノイド。断裂を生じ始めた横浜駅を舞台に生き残りをかけた闘争が始まる(んじゃないかなw いやホント、期待してます)
 横浜駅の消滅は、エキナカ人の壊滅を意味する。エキソト人も多くは横浜駅の派生資源に依存している。九州も北海道も横浜駅のリソースを取り込まなければ本土・四国は荒野と化すのだ。
 逆侵攻を開始する九州。ユキエを介して浸食を開始する北海道。生き残りのためノード確保・エリア支配に動くケイハ。錯綜する思惑はどこに収束するのか。

★★★ Excellent!!!

完璧にまとまった文章、とんでもないように見えて実は真っ当な近未来SF、冬戦争について描写しない潔さ!とてもおもしろかったです。
ただ、横浜駅といえば私鉄各社との折り合いでサグラダファミリアなので「増殖しなかった元々あった私鉄ゾーン」とか、JR以外の抵抗組織が出てきてもよかったなぁ

★★★ Excellent!!!

ぱっと見て拍子抜けしてしまうような意味不明な世界観なのに、細かい設定があって読み込んでいくうちにどんどんその世界に飲み込まれる感覚がしました。たまたまSNSで話題になっていたので読んでみたのですが、日頃全く読書をしない私でも楽に楽しく読む事が出来ました。久しぶりの読書でとてもいい経験ができました。拙い文章失礼致しました。

★★★ Excellent!!!

想像力を求められない小説など存在しないと思います。
しかしSFに限っては、ある程度現実世界の延長線上に軸がなければ
白けてしまいます。
可能そうにみえてまだ不可能なこと、不可能そうに見えてもしかしたらできるかもしれないこと、そんな空想の先にある世界をいかに魅せるか。これがSF作品の妙ではないかと考えています。
本作は、とてつもなくアグレッシブな世界観ながら、SF作品としての軸がしっかりと根付いており、何気ない描写にさえハラハラさせられてしまうかのような臨場感があります。加えて各登場人物の設定や背景をしっかりとおさえており、読み応え抜群です。

既に書籍化がなされ、多言する必要性もないのでしょうが、完成された物語として一読する価値が多いにある作品です。


★★★ Excellent!!!

Twitterでウィットに富んだ呟きをする方だから、すっごい面白いんだろうと思ってたら、案の定面白い。
発想が並みじゃないだけでなく、展開も並大抵じゃない。
書籍化するのは、時間の問題がだと感じてました。
さて書籍化が決定する前に、夢で書店に並ぶ「横浜駅SF」を見ました。
真っ白のハードカバーに、細い字体のタイトルロゴのみ青のはく押し。
作者らしきシャイそうな青年団が、「わざと地味にした」と、シニカルに笑んでました。お会いしたことないけど。
店頭で実際に拝むのを、楽しみにしています。

★★ Very Good!!

書籍版を読ませていただきました。

「横浜駅が無限増殖する」

そのキャッチだけ見ると、いかにもWebでバズりそうなキーワードで、カクヨム初期の頃から興味を引かれていました。でも読んでみて分かったのは、そのキャッチーさが評価されていたわけではないのだな、ということ。

書籍版のカバーイラストをすでに把握されてる方も多いと思いますが、ラノベレーベルには珍しく登場人物が全く目立たない、横浜駅の異常さが際立った背景イラストになっています。作者様の要望もあってこういったデザインになったとのことですが、設定の細部までにこだわり、キャラクターよりも世界観を作り込まれた本作には本当にぴったりのデザインなのだと思います。

Web発作品だからと侮ることなかれ。
内容はかなり濃厚なSF。専門用語も多々出てきて、事情通の方にとってはアドレナリンがドバドバ出てくることでしょう。単純に専門用語を並べるだけじゃなく、それが作者様オリジナリティ溢れる世界観に作り込まれているのが本作の最大の魅力だと思います。

Web小説にはキャラクターの魅力やストーリーの痛快さではなく、こういう戦い方もあるんだと、新しい価値観を世の中に示していくようなそんな作品。

ぜひご一読ください。

ネップシャマイ好きだ。

Good!

ページを開いてまず「う」と固まった

画面いっぱいに埋まる文字文字文字。なんという一ページの情報量か。

読むのにかなりの根気が必要だった。
よく、こういう時に「それが気にならないくらい面白かった」という文章を見かけるが
私は、正直疲れた。
いや、内容とかは面白く、設定も中々凝っているとは思うんだが。
少しJRへのリスペクト的なものがあったりして、笑いが欲しかったか。

複雑な世界観は、まさに作者の脳内が文字となり溢れかえったような作品だ。

私は上手く世界に入り込めなかったな。

★★★ Excellent!!!

先日発売された書籍版、購入しました。
初見時はちょっと難しいな、自分は横浜のことほとんど知らないしなと思い後回しにしてたんですが、
さすがにカクヨムの代表作だけあって読み応えありました。
そのモチーフをこう扱うのか――と思わされることが何度もあること、うけあいです。

★★ Very Good!!

本編を読了したところですが、一気に読みました。ただただ面白かったです。ディストピアな未来世界のように見えつつ、それが増殖した「横浜駅」に支配されているという絶妙な日常感が妙にツボにハマりました。弐瓶勉の「BLAME!」や「シドニアの騎士」が好きなので、メガストラクチャー対人類という構図も熱かったです。できれば、北海道や九州の戦いをもっと読みたかったです。あと、出てくる用語のネーミングが素晴らしい。お気に入りは「スイカネット」です。実はもっと遠大な物語だったのではと思っています。番外編でもいいので、語られなかった物語を読めるのを楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

改築を繰り返すことで有名なあの横浜駅…
それが自己繁殖するようになるという設定を見て、
面白い着眼点だと思いつつ、思わず笑ってしまいました。

しかし小説の中身は……ものすごい!!
まず世界観がとてもよく作りこまれていて…
横浜駅がどんどん増築し膨張してゆく世界で暮らす
人々の様子がよく伝わり、とても臨場感にあふれています。

話のテンポもよく、先が気になりどんどん読み進めてしまいました。
長さや終わり方もちょうどよく、面白く読ませていただきました。