石油玉になりたい(短編集)

作者 柞刈湯葉

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★★★ Excellent!!!

30作品の短編集で、作者自らが長編作品になりました、と書いてある作品もありますし、これが元になってあの作品が書かれたのだな、と言う作品もあります。
じゃあ、それ以外がつまらないかと言ったら、そんなことはなく、どの作品もひねりが効いていて面白いです。あの文豪の小説にはこんな裏話があったのか、数の概念ってこういうとらえ方もできるんだ、など、数え上げたらきりがありません。表題作ももちろん面白いです。
お読みいただけましたら幸いです。

★★★ Excellent!!!

とても面白かったです。
8行目まで読んですぐに面白いと思いました。
掴みが早いのは読む気が沸きますね。読み手の心を意識してそうだと感じました。
さばさばっとした女の子の口調も人間観察に対する不自然さを流していいくようで上手く出来ているなと勉強になります。

とても楽しめました。
まだ1話しか読んでないんですが思わずレビュー……。
続き、楽しんで読ませて頂きます。

★★★ Excellent!!!

 あなたは、ふらりと本屋に立ち寄って、タイトルだけを見ることはないだろうか。
 新作からも特集コーナーからさえも離れた文庫棚をなんとなしに見ていると、ふっと気になるタイトルがある。
 興味を惹かれて手に取ってみると、短編集のようだからとぱらぱらとめくって適当に一話流し読んでみる。これが面白い。小脇に抱えてレジへ行く。

 これはまさに、そういう経緯をたどったようなweb小説だ。
 なぜ本屋に置いていないのか? 理解できない。
 きっとまだページ数が足りないからだろう。そうにちがいない。

 短編集の中身について、わざわざ私のような者のレビューで知ってしまうことはない。そんなことより作者自身がつけたキャッチコピーのごとく、モスバーガーの注文後の待ち時間にでも読むといい。暇も潰れて一石二鳥だ。数話ぐらい読み終えて面白さに気分が高揚した頃には注文した品がやってきてお腹も膨れる。これで三鳥にはなる。

 とはいえまったく触れないのもどうかと思うのでいっておくと、はじまりは何てことのない場面から、話を追っていくとどういう世界観なのか次第にわかってくる。
 SF的な驚きと同時に、話のはじまりあたりに感じたわずかな違和感について理解することになる。これがとても心地よい。しかも話によってはタイトルから殴ってくる。
 内容とまったく関係ないにも関わらず、こういったweb小説でありがちである、「誤字脱字が多くて世界観から現実に引きずり戻される」現象が起きないのも好印象である。

 いや、それにしてもいったいこんなものを書けるのは誰なのだろう。
 そういえば名前をよく見ていなかった、と名前をクリックすると、「横浜駅SF」の文字が目に入った。

★★★ Excellent!!!

本当に読みやすいです。
所々単語の意味が分からない!なんて
ことになりません。

テンポが良くて、ああ、そういうことがありそう、
というか現実世界でも実はこういう感じのこと
あるのかも?とか思ってしまう程。

最後の物語は、人間の考え方について、
たった一つのことが、変えてしまう。
他人から見たら、考え込まなくても、
と言われそうなことを、本人は考えてしまうと
言う風に私は読みました。


でも、どれもこれも笑ってしまいます。


モスバーガーの待ち時間でという
キャッチコピーも、面白すぎて
モスバーガーが冷めてしまうまで
のめり込んで読んでしまいそうです。

モスバーガー頼んで、読んでみたら、
また違ったかなあ?
なんて思いました。


★★★ Excellent!!!

作者の表現の魅力である、斬新な世界観の設定やギミックの演出の妙による、「SF的な驚き=センスオブワンダー」に満ちている意欲的な短編集ですね。一読者の個人的な主観としては、横浜駅SFをすでに読んでいるほうがこの短編集をより一層楽しめるように感じました。逆となると、世界観の大きな広がりが堪能できるかどうか。そう考えると、横浜駅SFがイスカリオテの湯葉さんにとってもカクヨム全体にとってもあまりにも大きな金字塔となっているのだなと実感しました。これが短編集ではなく長編だとすると、どちらを先に読むべきであるか、どちらの魅力がどちらを内包しているのかという比較の問題にも、また違った新たな可能性が提示されるのではないか。そう考えるとますます、イスカリオテの湯葉さんの他の作品に期待が持てますね。そういう風に、新たな作品を楽しみにできる、「ますます続きが読みたくなる」というところが、彼の力が本物であるところを示していると思います。個人的には共産主義者が出てくる話が面白かったですねぇ。しかしあえて一作家としてもっと欲をいうと、作品全体に込められた思いや願いのようなものが描けているとさらに評価できますね。例えば「あの作品」にしても、ラストでそれが描かれているじゃないですか。本当に大切なものとは何だったのか。そのきらめきこそが、あの長大な長編の真価だったじゃないですか。イスカリオテの湯葉さん。おにスタみたいな作品にはそれがありますよね。

★★ Very Good!!

未知との遭遇 in 会議室を読んで思わずレビュー。横浜駅SFを読んで期待する読者を概ね裏切らないバラエティ豊かな短編集。ごちそうさまでした。

「石油玉になりたい」
「未知との遭遇 in 会議室」

そういう切り口があったか、とニヤリとさせるようなひねりの効いたSF掌編。
「彼女」「ヨシダ」といった精細に描き出されるキャラクターたちの魅力も一押し。

「ゲームと現実の区別がつかなくなる病気」
「東京都交通安全責任課」
「人間観察」
「陸軍少尉ミハエル・ジークムントの生涯 その2」

星新一を彷彿とさせるよくまとまったショートショート。中でも「ゲームと」は文章作品ならではの演出が(期待通り)スッキリしない読後感を与える妙作。

せかいめいさくどうわ「ラプラスのあくま」
異世界に来たと思ったら三重県だった
箸休め。

★★★ Excellent!!!

いわゆる一行目のツカミと最後のオチが短編では重視される部分かと思いますが、ツカミの部分からの展開がとても綺麗だなという印象を受けました。
あくまでも日常の半径一メートルくらいにとどまっているツカミの部分から次の文で一気に、あるいは順序立てて非日常へと作中世界を持っていく感覚は遊び心にも溢れており非常に楽しめました。ここら辺のウィットは横浜駅にも繋がる部分かとも思います。
だけどやっぱり異世界は卑怯やろー。

★★★ Excellent!!!

短編集ですが、
「東京都交通安全責任課」
「人間観察」
「陸軍少尉の~」
の3つが自分にヒットしました。

・東京都交通安全責任課
 オチも含めてたまらん作品です。細々としたギミックもリアリティがあって上手い。

・人間観察
 九井諒子先生の漫画のようなすこし不思議な世界。雰囲気がいい

・陸軍少尉の~
 「違和感」の描き方が上手いんですよね。フォークのところとか。是非読んでみてください。

★★★ Excellent!!!

どの物語も面白かったです。
予想外の結末が待ち受けているもの、少ない文字数にもかかわらずニヤリとしてしまうものなど、素敵な話ばかりでした。
すべてに共通するのは、その発想力はどこから来ているんだ?という疑問と羨望、そして嫉妬でした。
とにかく、独特の世界観で紡がれる物語の面白さは、読んでみないことには分かりませんのでぜひ!

★★★ Excellent!!!

ハードSFなんて言うのは読んでるうちに、用語が多すぎて疲れてしまうなんてことはしばしば。日々の仕事の合間を縫って読むには少々きついな~なんて思ってる人におすすめです。
SFというよりかは不条理小説短篇のほうがあってる感じがしますが、とにかくサクッと読めてぶっ飛んだ話に、自分の現実なんて実はたいしたもんではないということに気づきます。
読者はこれほどぶっ飛んだ作者のようになりたいと思うか、こんな頭のネジの外れた作者になるなんてごめんだ!って思うかの2パターンな気がしますが、私はこんな作者のような奇天烈な発想ができる思考回路が欲しいと思ってます。

★★★ Excellent!!!

横浜駅SFが、ランキングダントツの一位で、読んでみようと興味を持っても、今ひとつ長くて時間が無いあなたでも、この短編集ならちょっとした通勤の片道でもあっという間に読めて、もしこれで作者の文体とか、ノリとかが気に入ったなら、頑張って横浜駅も読んでみようと思うと・・・思う。

ワタクシ的に星新一さんや、筒井康隆さんの短編を読みまくった若い頃を思い出した、といっても内容というよりは、物語の切れ味が。

★★★ Excellent!!!

イスカリオテの湯葉、という作者名を最初に見た時、太宰治の『駈込み訴え』のラストを思い浮かべたのですが、まさか『走れ●●●』(プライバシー保護の観点から伏せさせていただきます)が出てくるとは。
全体的に、星新一的な肩肘張らず、しかしとことん自由で楽しい文系SFを楽しめます。
文体への意識の高さは星新一以上かも。

★★ Very Good!!

石油玉希望の彼女が、なんだか可愛いなと思った。
作中で一言もしゃべってないのに。
なんでだろう

現実軸の頭で読み進めていたら、次第に壮大なSFになってきて、地球のジョーシキとジューリョクから引き離されるような感覚になってきて、面白かった。

同様の感覚は、ゲームと現実の区別 の話でも味わえました

★★★ Excellent!!!

完璧であり、正しく評価も受けているようなので、もう俺から言うことはほとんど何もないが、何が良いかと言うと出し惜しみの無さ、あるいは濃度である。

東京都交通安全責任課、なんかは、この世界観の連作で話が作れようくらい、良くできた話で、にも関わらずこの一話で、全て出し切って終わっている。凄いと思う。