補遺

【用語解説】

冬戦争

 西暦末期に発生した大国間の断続的な戦争の総称。衛星兵器を用いた諸都市攻撃を特徴とし、各国とも主要都市が壊滅することで人類社会は都市ネットワーク型から領土分散型に変化し、広域な領土に分散した国民のあいだを無線通信や無人輸送機が行き交うのが一般的になった。政治も首都中枢型からJR統合知性体などを用いた分散型に変化していった。化石燃料の枯渇で衛星兵器の保持が不可能になったことにより終結。「冬戦争」とは人間活動の減少により地球全体の気温が低下したことにちなんで後代の歴史学者がつけた名称である。20世紀のソビエト連邦・フィンランド間の戦争とは特に関係がない。


JR北海道・JR九州

 冬戦争初期に起きた政治機能分散化の流れのなかで誕生した企業群。もともとは国営企業で、戦争の長期化にともない国家からの独立度を高め、やがて政治機能を委託された民営企業という形態になった。横浜駅時代には日本政府が消滅したが、各地域の統治をそのまま継続している。かつては「JR東北」「JR中部」「JR近畿」なども存在した。JR とは Japan Rulers の略であり、実在の鉄道企業とは一切関係がない。

 JR北海道の各種名称にはアイヌ語由来のものが多いが、これは横浜駅の拡大によって北海道が孤立した際、道民のナショナリズム高揚によってアイヌ文化が持ち上げられたという経緯による。


SUICA

 人間が横浜駅内部を出入りするのに用いる認証方式。体内に埋め込まれたマイクロチップが生体固有情報をハッシュ化して発信し、これをスイカネットが受信して認証する。チップ自体は人間にも簡単に製造できるが、ネットに登録する際に50万ミリエンの費用(デポジットと呼ばれる)をスイカネットに支払う必要がある。この他に生体電機業者への手数料が数万ミリエンほどかかる。6歳以上の人間が横浜駅に立ち入る場合はこれが必要で、他に決済機能やスイカネットへの認証接続が可能。名称は誰何すいか(相手が何者かを問いただすこと)に由来する。現実世界のJR東日本が用いている電子マネー「Suica」とは一切関係がない。


スイカネット

 横浜駅に内蔵されているネットワーク・システム。SUICAによる認証接続を原則とするが、一部端末では認証なしの匿名利用も可能。

 端末は人造物が多いがネットワーク基盤は構造遺伝界によって自然に生成されたものであり、インターネットに比べるとその通信は非常に不安定。送信されたデータは各地に存在するスイカネット・ノードに情報を蓄え、遠隔地ではそれらの多数決により情報を復元するという形になる。このため長距離のリアルタイム通信は基本的に不可能。ただ実際には幾つかのノードは特定個人や団体の支配下にあるため、これらを経由することで低遅延での通信ができる。十分多くのノードを支配すれば通信内容の改ざんも可能。


電気ポンプ銃

 冬戦争末期に火薬式銃弾の安定供給が不可能になったことにより流行した武器。充電式で金属であれば何でも弾丸にできるが、弾丸の形状により軌道が不安定になるため命中精度は極めて低く、長い砲身に小粒の弾丸を大量にストックして使うタイプが一般的だった。横浜駅時代に入って改良が進み拳銃タイプも登場した。その汎用性のために一部では「人類史上で石器の次に成功した武器」と言われているが、生産量では20-21世紀のAK-47のほうが多い。


この物語はフィクションであり、実在の人物・企業・駅舎とは一切関係がない。

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