第24話

前に流依君を、後ろに獣織君を受け入れ、揺さぶられながら意識がほとんど消えかけている。



か細い声を漏らしながら、私はただ二人に体を差し出すだけだ。



「これっ、ヤバ過ぎっ……」



荒い息を漏らす二人の男に挟まれながら、限界を迎えた私はもう意識を保っていられなくて。



全身の力が抜け、意識を手放す。



「ぅおっと……あーあ……さすがにやり過ぎたか……って、おいっ、虎牙っ……」



「うっせぇなっ……はぁ……」



「そんなにっ、激しく動かしたらっ、んっ、響くんだよっ……ぁっ、クソっ……」



意識をなくしてもなお、揺さぶられる。



二人が果てた後、私は翌日の昼まで目を覚まさなかった。



目を覚ました時にいた場所は、獣織君の家だった。



彼の香りが残るベッドで目を覚ますのは、これで二度目だ。



知らない服を着ている事に気づき、こんな大きな服は獣織君のだとすぐ分かる。



上の服だけで、お尻まで隠れている。



体を起こし、ベッドから降りると、脚が震えてその場に崩れ落ちてペタリと座り込んでしまう。



「あっ! ぅ……はぁー……」



自分の脆さが嫌になる。



ため息しか出ず、肩を落としていると、扉が開く音に体がビクっと跳ねた。



「何やってんだ、お前」



見下ろした顔が、迷惑そうで、目を逸らす。



「俺にここまでさせる女、お前が初めてだわ」



そこまで小柄という訳ではない私を、軽々引っ張り上げると、ジッとこちらを見る。



「しかし、なかなかエロい格好してんな」



自分が着させたのではないのだろうか。



舐めるように見る彼からの視線から逃れるように、体を捩る。



「バーカ。んな怯えなくても、何もしねぇよ」



言って掴んだ腕を引かれ、獣織君との距離が更に近づく。



「それとも、まだ足りねぇか?」



意地の悪い顔で、片方の口角を上げて笑う獣織君の言葉に、必死に首を振って否定する。



少し笑って、獣織君は私を軽々と片手で抱き上げる。



「あっ、あのっ、お、おろっ、して下さっ……」



「自分で歩けねぇんだろーが。そんな脚ガクガクさせて、どうやって歩くんだよ。大人しくしとけ」



抱っこされて、ダイニングテーブルのイスに座らされる。



「腹減ってっか?」



「……ぁ、そ、そんな、には……」



「果物くらいなら食えっか?」



言われて、頷く。



あの獣織君が妙に優しいから、調子が狂う。



練乳のかかったイチゴが入っている、ガラスのお皿が目の前に置かれた。



それと獣織君を交互に見る。



「何だよ、食わねぇのか? もしかして、イチゴ嫌いか? 女はみんなイチゴが好きなんじゃねぇの?」



「ぁ、みんな、好きかは、分かりませんけど……す、好き、です……」



まさか隣に座るとは思わず、隣で頬杖をついて体ごとこちらを向く獣織君を見れず、いちごだけを凝視し、ゆっくりフォークを持つ。



遠慮気味にイチゴをフォークに刺して、お皿を持ってゆっくり口に運ぶ。

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