第30話
再び食べ始めた獣織君を見ていると、凄く綺麗な食べ方なのが分かる。
やっぱり育ちがいいからなのか、所作が凄く綺麗で、普段の乱暴な彼からは想像出来ない。
食べた後、私は洗い物をし終えて一息ついた。
ソファーに座る獣織君が、黙ってこちらを凝視していて、今までの刺さるような攻撃的な視線とは違う、何処か熱の篭った視線にゾワリとする。
「こっち来いよ」
呼ばれて、獣織君に教え込まれた体は、自然と動く。
けど、やっぱり前程の怖さはなくて、不思議だ。
獣織君の声も、以前より多少柔らかく感じているのは、私の方に変化があったのか、彼が変わったのかは分からない。
獣織君の前に立つと、腰に手を添えられて、引き寄せられる。
ソファーに座る獣織君の開かれた脚の間に片膝をついて、獣織君の両肩に手を置く姿勢になる。
顔が近くて、見上げられながら真っ直ぐ投げられる視線に、妙なドキドキを覚えてしまう。
不思議な感覚。
あんなに怖かったのに。
今も怖くないわけじゃないけど、前程恐怖は感じていなくて。
「期待してる顔してんの、自分で分かってっか?」
腰からお尻に手が滑り、スカートに入って強めに揉まれる。
もう片方の手は腰を撫でながら、エプロンの紐を指でもて遊ぶ。
首筋や鎖骨に唇が触れて、くすぐったさとゾクゾクする感覚に、小さく声が漏れた。
「男の夢の、裸エプロンだっけか? やってみっか」
楽しそうに片方の口角だけを上げて笑い、獣織君は私のスカートのホックを簡単に外して脱がしてしまう。
立たされ、ジッと見られている。
「下は脱がせてやったんだから、上は自分で脱げるよな? エプロンは外すなよ? もちろん、顔を隠すのもなしだ」
無言で見つめられ、羞恥に顔が熱くなり、服を脱ぐ手が震えているのと、エプロンをしながらなせいもあり、ボタンが上手く外れなくて、なかなか脱げない。
「ったくしゃーねぇな」
ソファーから立ち上がった獣織君が、私を後ろに向かせて後ろからエプロンの中に手を入れる。
「お前くらいだぞ、俺にこんな事させんのは。手の掛かる女だな」
低く耳元で囁いて、楽しそうに喉の奥でクツクツと笑う。
迷惑そうにしていた彼は、一体何処に行ったんだろうか。
あれだけすぐ不機嫌な顔をしていた彼が、今は何故かやたらと色んな場所に口づける。
今も服を脱がせながら、耳、首筋、うなじに口づける。
また私で、新しい遊び方でも思いついたのだろうか。
くすぐったくて身を捩っている間に、ボタンが全て外され、エプロンと下着だけになる。
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