第31話

上から下まで私を見て、少し考える仕草をする。



「後ろ向いたまま、残り、脱げ」



ソファーに座り直し、私が脱ぐのを待つ。



言われ、私はゆっくりブラを外し、下も脱ぐ。



「何か、そういう店の女相手してるみたいな気分になんな。なんだっけか、あー、ストリッパー?」



複雑な例えに何とも言えない顔になる。



「ま、お前には向いてねぇのだけは分かるわ」



「きゃっ……わぁっ!」



人生初の裸エプロンのまま肩に担がれ、移動する。



ベッドに降ろされるけど、今まで彼にはこんなに優しく降ろされた事がなくて、困惑ばかりだ。



ベッドに私を寝かせたまま、私の脚を挟むように膝立ちし、見下ろす。



「これが男のロマンか……うーん、エロいっちゃエロいけど……」



「あ、のっ……」



横を向かされ、紐が解かれる。



「俺はやっぱ、裸なら何も着けねぇ方が好みだわ」



エプロンを剥ぎ取られ、肌が露出される。



ほとんど脱ぐ事がない獣織君が、上の服を脱いで裸になる。



大きな体にバランスが取れた筋肉が付いていて、鍛えられているのが分かる。



綺麗な体とは、こういうのを言うのだろうか。



だいたい制服を着たままだったり、私自身に余裕がないから、こんなに間近でちゃんと見たのは、初めてかもしれない。



「そんなジロジロ見る程、男の体に飢えてんのか?」



聞かれ、自分が獣織君の体をマジマジと凝視していたのだと知り、顔に熱が集まり、急いで目を逸らす。



楽しそうに笑う獣織君の視線から、横向きのまま体を丸めて隠す。



「今更隠して何になんだよ」



「ふっ、ぁ……」



腰を指で撫でながら、お尻に向かって滑って行く。



ゾワゾワする感覚に体は甘く痺れる。



「純情な顔して、脱いだらどエロいって何の冗談だよ」



冷静な状態で獣織君を見る機会がないから、横目でチラリと確認する。



明らかな興奮が見えて、いつも不機嫌で無愛想な彼のそんな姿に、ゾクリと背中が粟立つ。



私はこの日、初めて獣織君に乱暴に抱かれる事なく肌を重ねた。



困惑と快楽に翻弄されながら。

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