第9話
悪魔みたいな男は、私に条件を出した。
「これ、消して欲しいんだろ? なら、言う事、聞けるよな?」
そう言ってニヤリと笑う男が、怖いのに、憎くて仕方ない。
私の乱れた姿の写真が何枚もあり、データも取ってあるという。
それを消す方法は、彼の条件を全て飲む事だった。
条件一つ目は、何を置いてでも彼の言葉に従い、連絡を含め、彼の全てを優先する事。
二つ目、いつどんな場所でどんな時でも、彼が望めば体を差し出す事。拒否権なし。
三つ目、彼以外の男と関係を持たない事。
「今回は成り行きで三人で始めたが、俺は複数ってのが嫌いだ」
どんな時も、自分が優先でないと駄目な男なのだろう。
私に選択権はないんだから、飲むかどうかなんて、聞かないで欲しい。
早くこの人から離れたい。この最悪な場所から、いなくなりたい。
私は彼の脅しに頷くしか出来なかった。
「安心しろ、お前が素直に言う事聞いてりゃ、悪いようにはしねぇよ。これから俺が飽きるまで、よろしくな?」
言って、立ち上がった男が扉に向かって、すぐ振り返る。
「そういや、お前名前は?」
名前なんて、必要ないだろうに。教えたくもないのに。
私が口をつぐんでいると、頭上が暗くなり、上を向いて私は固まる。
「お前、俺をナメてんのか? それとも、もう条件忘れたのか?」
凄まれ、鋭い目に見下され、怖くて震えてしまう。
「名前だよ。俺は気が長い方じゃねぇ、さっさと答えろ」
私は震える唇を無理矢理動かす。
「こ、
「一年か。じゃぁ、タメだな。おい、スマホ出せ」
言われ、私はポケットを探ってスマホを差し出した。
何か操作をしているのをただ見ていると、スマホがこちらに向けられる。
「ほれ、俺の連絡先だ。これ“
私を一瞥し、獣織君は私に背を向けて、また止まる。
「昨日の奴、お前とヤった男な。今後はアイツでも股開いたら、許さねぇから、覚えとけ」
それだけ言うと、彼は部屋を出て行った。
私の力ではどうにもならないものを、どうしろというのだろうか。
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