第九章

第49話

屋上、放課後。



今日の屋上は、色んな生徒がいて賑やかだ。



「あーあー、ついに付き合っちゃったかぁー。はぁ、残念……」



落ち込んだような琉依君に、申し訳なさを感じる。



「ご、ごめんなさい……」



「何で颯夏が謝んのさ。好きな気持ちは変えらんないし、そういうのって理屈じゃないからさ。仕方ないじゃん?」



「お前が気にする事じゃねぇ」



「お前に言われると何か腹立つな」



不満そうな琉依君を他所に、私のすぐ隣にぴったり座る虎牙君が手を伸ばして、私の腰辺りを摩る。



「体、平気か? 昨日はお前が可愛すぎて、止まんなくなってヤり過ぎた、悪ぃ」



「ふぇっ!? あ、え、ぁ、う、うん、だ、大丈夫、だよっ……」



急にそんな甘い事を言うから、変な声が出てしまった。



虎牙君のキャラが、違う。



「虎牙が……可愛いって言った……。うわぁ……ヤなもん見たわ……つか、虎牙って謝れんだな」



「あ? 当たり前だろ。人を何だと思ってんだ」



「極悪非道」



「あ? てめぇ、喧嘩売ってんのか?」



「あぁ? 何だよ、やるか?」



今にも殴り合いに発展しそうな二人の間に入って宥める。



二人は仕方ないといったように、お互いがそっぽを向いた。



「まぁ、でも。颯夏が大切にされてんならいいや。泣かされたらいつでも俺のとこ来ていいんだからね」



「アホか。誰がお前のとこなんか行かせるか」



虎牙君が私を隠すみたいに抱きすくめる。



「こいつは俺のだ。誰にもやんねぇよ」



「あーはいはい。ご馳走さんですね」



つまらないと言って、琉依君は行ってしまった。



取り残された私と虎牙君。



周りの視線が気にはなるけど、虎牙君は特に気にしていない様子で。



確かに彼はいい意味でも悪い意味でも目立つから、注目されるのも分かる。



一人そんな事を考えている私の脚に違和感が。



「あっ、ちょっ……虎牙くっ、人がっ……」



「あ? んだよ。別に誰も見てねぇよ」



いや、見てるんです。割と多くの人がチラチラと。



「ま、待ってっ……ここじゃ、ダメっ……」



後ろから腕を回して胸元から服に手を入れて、もう片方をスカートの中に入れようとしているのを、必死で阻止する。



「場所なんて何処でもいいだろーが。ったく、いちいちうっせぇ口だな」



「よ、よくなっ……んっ、ンんっ……」



唇を塞がれ、大勢の前でキスシーンを公開させられる。

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