第27話
快楽からの興奮で、声が自然と大きくなるのを止められない。
「やぁっ……声っ、出ちゃっ……ぁっ」
「はっ、ぁ……はぁっ、こっち向けっ……」
「ぅんンっ、んんっ、ふっ、ぁ、ンっ……」
唇が塞がれ、獣織君の動きが更に激しさを増してくる。
絶頂に登り詰める最後の時、首筋に噛みつかれ、体を激しく跳ねさせながら達する。
口はもう自分では塞いでいられず、獣織君の大きな手が私の声を止めていた。
中から引き抜かれ、床に座り込む。
乱れを整え、へたり込む私の目線と合わせるようにしゃがみ、下を向く私の顎を指だけで上げさせる。
「んっ……はぁんっ、ンぅっ……」
ねっとりと纏わりつくような、獣織君からは想像つかないくらいに、甘くて優しいキス。
「はぁ……今お前が何してたか一目で分かるくらい、エロい顔してんぜ? まだ足りねぇって顔」
柔らかく触れるキスに、ボーッとした頭で彼が何故こんなキスをするのかを考えようとする。
ただの気まぐれなのだろうか。
いくら考えたところで、彼にしか分からないのだけど。
「はぁー、何か飲むもんあっか?」
マイペースというか、とにかく我が道をゆくスタンスの獣織君に振り回されっぱなしだ。
何とか体の熱も少しだけ落ち着いて、部屋の真ん中にある机の前に座る獣織君に、お茶を差し出すとそれを一気に飲み干す。
上下に動く男の人特有の喉仏に、ドキリとする。
「物欲しそうな顔して見んじゃねぇよ。今自分がどんな顔して男誘ってんのか、自覚してんの?」
その顔がどんなかも知らないし、した記憶はない。
「今すぐ犯して下さいって顔してんぞ、お前」
耳元で艶っぽく囁かれ、耳を押さえて首を横に振る。
「そっ……し、してませんっ……」
「あははは、嘘吐け。ココ、まだ疼いてんだろ?」
人差し指で下腹部を軽く押され、短くて小さな声が漏れる。
「さすがにここでヤりまくるわけにいかねぇしな」
私と自分の体力差を考えて欲しい。
それに、私が今気になっているのは、何故今彼がここにいるのかという事だ。
「何? 何か言いたい事あんなら言えよ」
「え、あ、その……何か、私に用事でも、あるのかなぁと……」
正座しながら、獣織君の様子を伺いながら尋ねる。
次に何言われるのか、どんな要望が口から出るのか、気が気じゃない。
獣織君は少し考えるみたいな仕草をし、私を見る。
その視線に最初の頃の怖さはなく、驚く程前よりだいぶ柔らかい。
それがまた不思議で。
「別に、大した用はねぇよ」
「そ、そう、ですか」
煮物のいい香りがして、沈黙が流れる。
沈黙にどうしたものかと考えながら、火を止める為に立ち上がる。
火を消し終え、エプロンを外す為に後ろの腰辺りに手を回すと、その手を取られる。
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