3
翌日行った「巣穴」で、先に来てたアサミ先輩に、マサキさんが普段何をしてるのか早速聞いてみたけど、「さあね」の一言で終わらされた。
たった一言で終わらせたアサミ先輩にしつこく聞く事をしなかったのは、「さあね」の一言の中に、「聞いてくるな」って感じをプンプンと漂わせてたから。
っていうか、「もう一回聞いたらブン殴るよ」くらいの雰囲気があった。
だから、マサキさんの事は気になるけど、自分の身を守る事の方を取った。
スガ先輩に至ってはアサミ先輩より酷かった。
マサキさんが普段何をしてるのか聞いても「え?」と、質問が聞こえなかったって感じの聞き返ししかしない。
何回聞いても「え?」しか言わない。
何を言っても「え?」しか言わない。
はっきり言って、話にならない。
それがあんまりにもムカついたから、時間が経ってから昼寝を始めたスガ先輩に、指浣腸を思いっきりやったら、「のおおおおお!」って悲鳴を上げた。
不覚にも大笑いしてしまった。
そのあと、本気のヘッドロックをされた。
キックで応戦したら、たまたま股間にクリーンヒットして、スガ先輩は「ぐうっ」って変な声を出して、蹲ってたまま暫く動かなかった。
そんなこんながあったから、翌日ノートを買ってきた。
もう誰に聞いても教えてもらえないのは分かったから、自分で答えを見つけるしかない。
マサキさんを観察して、その謎のベールに包まれた私生活を暴く。
でもあたしってば記憶力があんまりないから、何かに記録しておくのがいい。
買ってきたノートに、「マサキさん観察日記」と書いた。
今後は何かがある度にこのノートに記録していく。
最初「観察」の「観」を間違えて「間」って書いちゃったけど、ちゃんと直したから問題ない。
日記のタイトルをノートの表紙に書いてて誰かに見られたらヤバいから、タイトルは一見誰にも分からないように表紙をめくった1ページ目に書いた。
「マサキさん観察日記」の文字を真ん中より上の方に書いてしまった所為で、下の方の空白が気になったから、「アスマLAVE」って書いた。
準備万端。
やる気満々。
あとはマサキさんを観察するのみ。
なんて、張り切ってはいたけど。
結局、大した事が書けないまま、いつしかあたしはそのノートの存在すら忘れちゃった。
だってしょうがない。
観察しようにも、元々マサキさんにはしょっちゅう会える訳じゃないし、たまに「巣穴」に来ても、マサキさんは窓際に座ってるだけで特に何もしてないし。
結果、マサキさんの私生活は謎のベールに包まれたまま。
普段どこで何をしてるかなんて、ちっとも分からない。
そんなマサキさんの私生活を、ほんの少し垣間見る事が出来たのは、マサキさんの事は、もうどうやったってずっと分からないままなんだろうと諦めた頃。
しかも、その時に垣間見ちゃったのは、マサキさんの私生活だけじゃなかった。
マサキさんとアサミ先輩とスガ先輩の過去のあれこれや、アスマとマサキさんの過去の出来事までも、芋づる式に知る事になっちゃった。
否応なしに知る事になったそれらは、色んな騒動を巻き起こし、あたしとアスマの関係をも変えて、あたしのメンタルはブレイク寸前にまでなる始末。
そんなあたしを助けてくれたのは、もちろん美形の悪魔。
最終的には、魅惑の悪魔に「巣穴」から巣立たされた。
当然、そうなるまでには、ひと波乱もふた波乱もあったんだけど。
でもまあその話は。
――また別の機会に。
Devilの教え 1.5 完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。