第47話 綺麗なお姉さんは好きですか?



入学式は30分ほど。

とても簡単に終わった。


学園施設内にある寮に入る者もいるので短いのは正解だよね。



そしてボク達はソフィア様からお茶に誘われていた。


身分の上下関係の無い学園内でも王族はやはり特別で

王族の血縁者、または招待を受けた者以外は入れないスペースが用意されており、そこに招待されたわけだ。


行きたくないなぁと思ってはいても姉ーずの今後を考えると少しでも上位者に覚えてもらう事も必要なので我慢の子である。


学園の敷地内とは思えない優雅な庭園に足を進めて行く。


着席しているメンバーにげんなりしそうになるがここは弟として頑張らねば!

ん?知らない男の子が!?って赤髪赤眼だから王子だよね…


ソフィア

「いらっしゃい♪弟は始めてよね?

弟のアレフよ♪」


アレフ

「やぁ、第二王子のアレフだよ。

よろしくね?

レイナルドから聞いていたけどマリアナとよく似ているね。噂以上の美少年だ。そちらの美しいレディ達はレイナルドの妹達かな?」


レオン

「初めまして、メイザルグ伯爵家次男のレオンです。アレフ殿下におきましては」


アレフ

「学園内では堅苦しいのはやめよう。

それにレイナルドの身内なんだから僕も友人として迎えたいんだ。」


レオン

「はっ!有り難き幸せ。」


王族とナァナァにはなりたくない。

聞くところによるともう1人の王子とは仲がよろしくないとか…。

将来は絶対面倒がおきるだろう。


だが今日は特別だ。

姉ーずの顔を売らねばならない!


マジックポーチから姉ーずのとびきり可愛いブロマイド(念写済み)を取り出し各席に配っていく。


レオン

「メイザルグ家自慢の双子です。

よろしくお願いします。」

「どうです?可愛いでしょう?」

「我が事務所一押しの双子デュオです。」

「歌もダンスもとびきりですよ」


など。姉ーずのマネージャーのごとく宣材写真を配りながら姉ーずの顔を売っていく。


レイア

「レオン、恥ずかしい…」

レイア姉様がデレた!!


レオン

「レイア姉様50ポイーンツ!」


レイア

「な、なによぉ…もぉ」


セラフィ

「レオン?私のは?」


レオン

「あるわけがなかろう?」


セラフィ

「なんでよ!」


レオン

「セラフィは売り出す必要ないだろ?ずっとボクと一緒にいるんだから。」


セラフィ

「!!!!!!そ、そうね?私とレオンは死ぬまで一緒だもんね?」


どうせボクが死んだら天界に帰るんだから、そういう意味で言ったんだけど

顔真っ赤にしてデレられても…困る…


姉ーず

「「むぅぅぅぅ!!!」」


ソフィア

「仲がいいのね♪」


レオン

「では、ワタクシめは茶菓子の用意をしてまいりますので一旦席を外させていただきます。」


アレフ

「なぜゲストが茶菓子の「兄上、黙りなさい」えぇ…」


感の良いエリス様がカットインを決めてきた。

ってかアレフ様の方が年上だよね?

アレフ様の人となりが垣間見えたわ。


さて給仕の人に厨に案内してもらい大皿と小皿を人数分用意してもらう。


大皿には一口で食べれる姉ーずの大好きなイチゴチョコをピラミッドのように盛り付け。


小皿にはクレープ生地で生クリームと生チョコを包んだフワッと食感の甘いヤツを人数分。


ナイフとフォークを用意してもらい庭園に戻る。


物欲しそうにしていた可愛いメイドさんには殿下達が済んだらあとで食べさせてあげるからね?と行っておく。


レオン

「旅の行商人より仕入れた珍しい菓子でございます。エリス様がご希望だったので用意させていただきました。」


セラフィ

「レ、レオン?この小皿のスイーツは食べた事ないんだけど?」


レオン

「初めて出したからね。」


セラフィがワーワーと騒がしい。

黙って食え。


ソフィア

「このピンクの菓子はチョコかしら?

凄い色ね?」


レオン

「吟味役のほっぺが落ちてしまって探すのに苦労しましたよ?召し上がってみてください」


※当然ながら王族が食べるモノはまず毒味役が食べる。

わかっていてもわざわざその事を王族に伝えるのはマナー的に宜しくないので毒味役=吟味役などと濁しているのだ。


ソフィア

「ムグムグ…まぁ!まぁぁぁ!!

なんですの!これは!?このような菓子は食べた事がないです!」

「お気に召されたようでなにより。」

ソフィア様は純粋にチョコを楽しんでいらっしゃる。素直な方で良かった。


エリス

「レオン、マリアナの言ってた事は正しかった。結婚して?」

「ハハ、ご冗談を」


相変わらずのジト目で意味のわからない事を口走るエリス様だが王族と結婚なんて有り得ないので軽く流しておく。

「むぅ!」とか言っているが見て見ぬ振りだ。


アリス

「・・・・・・。」


アリス様は視察の旅をしている際にメイザルグ領にも立ち寄っており

来なくていいのに湖の別荘まで押し掛けてきた前科がある。

その時にイチゴチョコを食べているので今回は黙っているようだ。

要するに王族姉妹相手に抜け駆けしたので何も言えないということだろう。


姉ーずは大好きなチョコにご満悦で

デレーっと最強スマイルである。


セラフィもニッコニコでムグムグしている。


アレフ

「これは…どこの国の菓子なのだ?こんなの王族でも口にした事が無いレベル…」


アレフ王子はあまりの衝撃に独り言を仰っている。


レオン

「小皿の菓子もお試しください。

一口大というより少し大きめに切るのがオススメですよ」


良く冷やしてから収納したのでかなり美味しいはずだ。


レイラ

「レオン君、切って?」

「はいはいw」


姉ーず・セラフィの分をカットしていると…

まぁ、わかってたんだけどね。


姉ーず

「「あ~ん♪」」


セラフィ

「んぬ!?で、では私も。あ~ん♪」


レイラ

「ん~♪凄いこれぇ♪」


レイア

「レオン!これヤバいよ!」


セラフィ

「んほーーーっ!!!」


三者三様というのはコレの事やな。


エリス

「レオン、僕も。あ~ん」


レオン

「仕方ないですね、はいあ~ん」


エリス

「ムグムグ…。・・・・・レオン?けっこ「しませんよ?」けちー。」


アリス

「レオン?あ、あ~「おっきい子はダメです。」ちょっと!?」


ソフィア

「レ、レオン?」


レオン

「ソフィア王女殿下も!お一人で食べれるでしょ!」


ホストクラブじゃないんですが?


アレフ

「あ~「王子殿下も!?」いやぁ、ここは乗っかるとこかなぁ、なんて」


なかなかお茶目な王子殿下だな。


ソフィア

「うふふ♪アレフは可愛いでしょ?」


レオン

「ユーモアをわかってらっしゃるようで好感が持てますね♪」


アレフ王子は「いやぁ、まいったなぁ」と後ろ頭をポリポリしている。


なんだろう?この嫌味を全く感じないイケメン君は。

無条件に守ってあげたくなるよね。


うん、生死の境くらいまで追い詰められていそうな時は助けてあげよう。


アリス

「レオン?ムグムグ。この菓子はムグムグ。どうすればムグムグ。入手できるのですかムグムグ。」


あ~…アリス様はもう止まれないとこまできちゃったか~


レオン

「それはお答え致しかねます。これらはボクの秘密兵器ですから。」


アリス

「ズルいわよ!教えてくれてもいいじゃない!」


あれ?この人こんなワガママな感じだったっけ?


エリス

「ダメ。レオンは僕の旦那様になる。アリスにはあげない。」


アリス

「そそそんな事言ってませんー!

それに決めるのはレオンですぅ!」


こっちが素なんだろうね。


セラフィ

「おまえ達小娘が何を言おうがレオンは私のモノぞ?」


おい。


ソフィア

「まぁ!アリスったら。素が出てるわよ?でもこのお菓子は本当に美味しいですわぁ♪レオン、またご馳走してくれるかしら?」


レオン

「もちろんです。ソフィア王女殿下の為ならボクはもっと美味しいモノを用意いたしましょう。」


ソフィア

「あらぁ♪お姉さんを口説いているのかしら?」


レオン

「ハハ、ご冗談を。しかしソフィア王女殿下が望まれるならボクはドラゴンの肉でも手に入れてきましょう。」


ソフィア

「まぁ!レオン、期待していますよ」


アリス

「おい!わ・た・し・は!?

命の恩人やぞ!?」


レオン

「フッ…」


アリス

「今鼻で笑った?笑ったわよね!?」


レオン

「ハハ!ご冗談を。」


エリス

「レオン?もう浮気?」


レオン

「ハハ、ご冗談を。」


セラフィ

「おまえ、それで切り抜けようとか甘くないか?」


余計な事言うなや。


姉ーず

「「むぅぅぅ!!!!」」


レオン

「姉様♪」


とりあえず2人の頭をナデナデしとおいた。


姉ーず

「「はうぅぅぅ♡♡♡」」


んむ、チョロい。





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