第31話 ハイな子



メイザルグ領の湖の別荘に戻ったので早速森に入る為の準備を始める事にする。


あ、武器が木剣しかないや。

んむむ。。。


屋敷の武器庫から調達するか…


んなわけで瞬間移動で屋敷に戻り廃棄分の武器をごっそりいただいてきた。

で、これだ。


「主殿!ここが湖の別荘なのですね!」

「ティナ、レオン様の邪魔をするなら帰しますぞ」

「森と湖!最高じゃないか!です!」


武器庫から出た所を気配を感じたマイケルに見つかり、マイケルと一緒にいたティナさんにも見つかり…

ティナさんがついていくとゴネにゴネ倒しボクが根負けして今に至る。


転移魔法で2人を連れてきたがティナさんがはしゃぎまくりマイケルが怒るというコンボが繰り返されていた。

エルフのティナさんにはこの環境がたまらないらしい。


「ここは魔物が少ないだろ、でしょ?」

「ああ、そういえばそうだね。」

「湖に精霊様がいるからまわりの空間が清らかなんだ、です。」


ほほう、精霊様がいると?


「ティナさんは精霊様を見たことがあるの?」

「見たことはないが存在を感じる事はあるんだ、です。エルフの中でも珍しいらしいぞ?です。」

「そうなんだね」

「だが、今なら精霊様を見る事もできるかもしれない!主殿のおかげでハイエルフとなったからな!であります!」


であります!ってなんだよ、戦時中か?


「え?なんでそんな事がわかるの?」

「説明は難しいんだが感覚的に…こう今までよりも全ての感覚が鋭くなっているっていうか…教会の魔水晶を使えば視覚的にもわかるんだけどな。です。」

「教会の魔水晶…」

「レオン様、教会にある魔水晶は手をかざした者の本質が映し出されるのです。」

「おぉ!さすがはマイケル!物知りだね♪」

「レオン様にはまだ早いので関係ない話だと思っていたのですが、王国の民達たみたちは10歳になると鑑定の議を執り行い魔水晶で能力の鑑定をするのが習わしとなっております。」


ふむ、ってことは鑑定魔法みたいなものも作れそうだな。

いや、でも能力の数値化とか難しそうだなぁ。

物の鑑定ならサイコメトリーである程度確認できるし…うーん。。。


「主殿!街に戻ったら教会に行って確認したいのだが!?です!」

「で?その魔水晶っていうのはどこまでの情報がわかるの?」

「対象が人種族なら種族と名前とレベル、得意な属性くらいですね。」


レベル?そんな概念あるんだ!?


「うふふふ、王国の中でもハイエルフなんてたぶん私だけ…ですよ。」

「そんなに珍しいの?」

「15年生きてきたが会った事ないぞ?ですよ?」


あ、15歳だったんだ。長寿のエルフだから「まだ85歳の子供ですよぉ」とか言うかと思ったんだけど意外だよね。

でもなー…


「うん、教会は無しで。」

「えぇ!?そんなぁ…」

「気になるのはわかるけどあまり公にはして欲しくない…かな。」

「・・・そうですな。ハイエルフが王国にいる、そんな情報が出回ってしまえばおかしなやからが出てくるかもしれません。」

「うん、ただでさえ綺麗な子だからね、そこに加えて希少なハイエルフとか…」

「ききき綺麗とか!そんなおだてても何も持ち合わせては…まままままさか!?主殿…ここ今夜は私のはじめてを「違うから。」」


顔真っ赤でクネクネすな。

5歳の子供に何をさせようと言うんだよ…


「ふむ、身の安全のためです、しばらくは我慢しなさい。」

「こ、今夜…身を清めておかねば…

かか神の子を産むんだ…デヘヘヘ…」

「聞いてないね」


なんでこの子はこんなにむっつりなんだ…

早く大人になりたいっ!


「とにかく、保険はかけておきたいな。この子おバカだし。」

「そうですな、この際形式上だけでもレオン様の奴隷としておけば外部から下手に手出しはできませんぞ。」

「奴隷かぁ…あまり乗り気にはなれないな。」

「わわわ私が主殿の!ど奴隷か!?そんな…良いのでしゅか!?」


なんで嬉しそうなんだよ


「お仕置きと称して監禁されてあんなことやこんなことを…「やらないから。」えっ!?」


えっ!?てなんだよ…

15歳でなんでこんなにこじらせちゃったのかなぁ。


「奴隷として捕まって逃げ出したのになんでそんなに嬉しそうなんだよ…」

「奴隷として捕まったのも、そこから逃げ出して死にかけたのも、主殿に拾われて生まれ変われたのも、裸を見られたのも…主殿の子を宿すよう精霊様のお導きだったのかも?」

「どこまで導くつもりなんだよ」

「ハァ…」

「わかった。別荘にいる内に何か決めるよ」

「中にキメる!?」

「違うよ!『何か』って言ったよね!?」

「お仕置きですね!?

こここれでお願いしましゅ…」


ティナさんは木の枝をそっと差し出してきた。

どこから出したんだ?


どうしよう…おバカな子だとは思ってはいたけどボクとはベクトルが大きくずれてるんだけど!?


とりあえず枝を受け取り手の上で消し炭も残らないほどの高熱で燃やし尽くした。


「あぁ!そんな…」

「す、凄まじい魔法です…

さすがは我が神…」ブツブツ…


マイケルもちょいちょいヤバげなキーワードをはさむようになってきている…


んむ、逃げよう。


「はい、じゃあボクはやることがあるから2人は外で訓練でもしておいてね」

「かしこまりました。」

「えぇ!?わ、私も一緒に…

ああああああぁぁぁぁぁ…」


アポの子はマイケルに引きずられて行った。

しかしレベルかぁ…

これもまた検証しなきゃだなぁ。



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