第32話 レオンvsマイケル



気を取りなおしまして。

屋敷の武器庫から廃棄物を大量にかっぱら…貰ってきたので材料の確保は完了。

ボクの体格に合った武器を考えると

普通に考えれば子供用の木剣と同じくらいのサイズ感であるショートソードあたりが無難だろう。

あとは予備の武器としてダガーとかかな。


サクッと錬金魔法でショートソードとダガーを複数本、レイピアとサーベルも複数本作っておいた。


鋼を圧縮しているから強度はある。

その分重さをともなうけど魔力マシマシなボクには重さはさほど問題にはならない。


で、完成したモノを確認してみればやはりというか何というか…

はっきり言えば錬金魔法で作った武器には切れ味という物は期待出来なかった。

重さと速度で叩き斬るか突き刺すかしか出来ないと思う。

極限まで刃を鋭利には形成したけどこれじゃトマトはスライスできないんだよなぁ。


まあ元々西洋の剣ってのは日本刀と違ってこういうモノらしいんだけど異世界だからね?ここ。

いつかはこっちで日本刀作ってみたいね。


でも例の浪漫武器ならすぐ作れるかも?

『それは剣というにはあまりにも大きすぎた。

大きく、ぶ厚く、云々…』

みたいなヤツ。


使えないから作らないけどね。


さて、

用意も整ったしダンジョンの入り口目指して出発しよう!


コンコン

「レオン様、夜のお食事の準備がととのいましたのでおこしください。」


またこのパターンだよ。

集中すると時間がさぁ…



・・・・・・・・・・・・



食後


「マイケル、魔水晶って教会にしか無いの?」

「無い、と言いますか…魔水晶自体は遺跡やダンジョンからたまに発見される物なのです。」

「ほほぅ」

「発見して個人で所有していても使い道がほぼ無い物なので教会に寄付する事が殆どです。」

「なんで教会なんだろう?」

「魔水晶は別名『神の眼ゴッドアイ』と呼ばれております。

神様の目を通して見るとこう見えるんじゃないかという俗説があったのでそれならば教会へ、という流れらしいです。」

「なるほどねぇ、じゃあダンジョンへ行けば入手可能なんだね。」

「あるかどうかもわからないのですが可能かと言われれば可能かもしれませんね。」

「あやふやだなぁ」

「フフ、そこまで需要のあるものではありませんので気にして探す者もいなければ、見つけても荷物になる魔水晶をわざわざ持ち帰る冒険者が少ないのですよ。」

「確かにそうだね。」


神の眼…ねぇ

イケオジ神様が何か関係してたりしてね。


「主殿!明日はどうするのだ?ですか?」

「明日は訓練を兼ねて魔物の森に行くよ」

「わ、私も「ティナはここで私と訓練です」んな!?」

「アハハ、頑張ってね?」

「あるじどのぉぉぉ…」

そんな泣きそうな顔で上目遣いしても…可愛い。

「よし、一緒に「よし、じゃありません」んご!」

「レオン様はティナに甘すぎではありませんか?いけませんねぇ。」

「何を言うかマイケル殿!主殿はもっと…私を甘やかさないとダメなんだから…ね?」


うん可愛い。


「よし!「よしではありません!」むご!?」

「ま、まぁそう言う事らしいから」

「そんなぁ…」ウルウル


うむ、可愛い。


「あの、マイケ「ダメです。」」

「ティナ、食事が終わったのならメイドの仕事をしてきなさい。

だいたい使用人が主と一緒に食事をさせていただいている時点で特大の褒美なのだと理解しなさい。レオン様はお優しいから何も言わないだけです!」

「はぁい…」


ティナは尖った耳を垂れさせて部屋を出て行った。


「さて、先ほど聞き捨てならない事が聞こえましたが?」

「はてな?」

「まさかお一人で魔物の森へ行くつもりではないでしょうな?」

「いやー、ハハハハ」

「護衛をつけさせていただきます。」

「えぇー、いらないよぉ」

「ダメです。」

「だってさ「ダメです。」」

「マイケル…最近かぶせてくるよね」

「レオン様が突拍子も無いことばかり言われるからです」

「あー、もう!正直に言うよ。

騎士の護衛なんてつけられても足手まといになるだけで邪魔なんだよ。逆にボクが守らなきゃいけなくなる。

手間が増えるだけなんだよ。」

「それでもです。」

「いざって時はシールドもあるしシールド展開中に転移でここに戻ってくる事もできるのに?」

「ぐっ…しかし」

「んんむ…じゃあ今からマイケルと戦ってみよう。ボクの今の実力をほんの少しだけ見せてあげる。」


湖の畔で木剣を構え対峙するボクとマイケル。


「主殿ー!マイケル殿を黙らせてやれー!くださいー!」


「じゃ、いくよー。」

ボクは念動力を発動してマイケルの動きを止めてしまう。


「!!!!!」

必死に動こうとしているようでブワッと汗をふきだしているマイケル。

たぶん息をする事も難しい状態のマイケルにゆっくりと歩いて近づき、

あえてゆっくりと木剣を振り首元で寸止めする。


「はい、ボクの勝ちね」


ここで念動力をオフ。

「ずはぁぁぁ!」と息を思い切り吸い込み跪くマイケルは信じられないといった顔をしている。


ティナさんは何がおきているのかさっぱりわからないといった様子で小首を傾げキョトンとしていた。


いちいちあざといなぁ!もう!

でも可愛い。


「レオン様、あなたはやはり神…」

「違うから。」


マイケルからすれば対峙しただけで金縛りにあったように感じているんだろうけど実際は念動力をちょっと強めにかけただけだ。

肺の機能が働かなくなる程度に。


「わかりました。騎士の護衛はやめておきましょう。」

「よかった」

「ですが!やはり1人というのはダメです。

なので私がついていきましょう。」

「じゃあ私も行くから!」


この2人の実力なら邪魔にはならない…か?

マイケルの顔も立ててあげなきゃだししょーがないか。




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