第30話 自称(笑)
ふぅ、ようやく落ち着ける。
騒がしいのも嫌いじゃないけど限度があるからね。
次から次へと新キャラ登場とか
さて、本格的な訓練を開始するに当たって目標を考えてみた。
まずは肉体強化。
魔力は念動力のチート技で今も成長し続けている。
だけど魔力を使った身体強化に身体が追いつかないんだよ。
中身がアラサーでも現実は5歳の身体なんだよねぇ。
なので筋肉の量よりも質の向上を主に置いて鍛えていく方針にする。
次にボク専用の武器を作る。
これは錬金魔法で作るんだけどまずは素材の選定から。
最後にダンジョンに挑む。
これは単なる好奇心+α。
ジャスティール王国最難関と言われている魔物の森のダンジョン。
どこまで行けるかはわからないけど学園に入る前にやっておきたいのだ。
この湖の別荘から少し北上すれば魔物の森の南端にたどり着く。
まずはダンジョンの入り口にたどり着くところから始めよう。
一度到達してしまえばあとは瞬間移動で一瞬だからね。
けどそれはやらない。
訓練にならないからね。
そんなわけで…転移!!
・・・・・・・・・・・・
ハァ、やっぱりこっちは空気が悪いな。
早く仕入れを済ませて帰ろ。
そんなわけで日本に転移したボクは大型ショッピングモールへきて買い物をしていた…んだけど
「ぼく~?お母さんは?」
「え?」
なんか来た…
「1人できたの?お家は近いのかな?」
「えーっと…」
考えてみればわかる事だったんだ。
5歳の外国人風の子供が1人でショッピングモールにきている事の異常性。
この状況で大量に買い物でもすれば間違いなくレジ前で警備員さんに止められて迷子センター行きだ。
一カ所で欲しい物が揃うし便利だからとここへ来たけど現状がそれを許さない。
「ぼく~?お年はいくつかなぁ?」
「へへ、こう見えても30前なんですぜ?」と言えればいいが…言ってみるか。
「30前です」
「アハ♪面白い子ねぇ。そうね、どう見ても30前だねぇ。10歳でも25歳でも30前だもんねぇ。」
ダメだった。
このままじゃ迷子センター行き一直線な未来しか見えない。
「ボクはお買い物に行きたいのでもう行ってもいいですか?」
「何を買いにきたのかなぁ?1人で?お金は持ってるのかなぁ?」
くっ、この女…めんどくせぇ!!
「お姉さんがついていってあげようか?」
「いらないです。もういいですか?あまり時間もないんで。」
「でも1人なんでしょ?」
んんん??
なんかおかしいぞこの人。
店員さんがこんな事言うか?
スーツっぽい服を着てるから店員さんかと思ってたけど名札も付けてないし…
「あまり近寄らないでもらえますか?おばさん」
「おば!?お、おばさんじゃないよ?お姉さんだよ?」
「おばさんはここの店員さんじゃないですよね?なのになんでこんなに粘着してくるんですか?」
「お…おばさんじゃないっつってんだろ!!」
腕を掴まれた。
ので、
ぴーーーーーーー!!!!!!!
「誰かー助けてくださーい!誘拐されるーーー!!!」
さっき買った子供用防犯ブザーを鳴らしながら大声で叫ぶ。
「え?違っ!」
自称お姉さん(笑)はワタワタと明らかに動揺し挙動不審だった。
これはまさか正解か?
「そこー!何をしているんだー!その子の手を離しなさい!!」
周りのお客さんに呼ばれた警備員さんと店員さんが駆けつけてきた。
自称お姉さん(笑)の顔を見上げると「くそっ!このガキ!!どうする?」と般若の形相で独り言を言っている。
駆けつけてくる警備員を見て逃げるかどうかの判断をしているようで注意力がそれた今がチャンスか?
買い物の邪魔をされてイラついていたせいもあるが少し力加減を間違えて自称お姉さん(笑)の膝に蹴りを入れると
「ぁぎゃあああああ!!!!」
とけたたましく叫びながら倒れる自称お姉さん(笑)。
のたうち回る自称お姉さん(笑)を見て
「うわぁ、ダチョウさんの足みたい」
思わず5歳児の素直な感想が漏れてしまった。
精神の方も肉体に引っ張られているのか?
曲がっちゃダメな方に折れ曲がっている膝をみて不審者を逃がさないよう周囲で見守ってくれていたお客さん達も笑いを堪えきれず「ぶふっ!」「アハハハハ」「ダチョウって」など吹き出していた。
「あ!この女!以前も小さい男の子に声をかけて通報されてたヤツじゃないか!?」
と、駆けつけてきた警備員さん。
よし。取り調べとか面倒だし逃げよう。
やっぱり胡散臭いと思ったんだよなぁ。
人混みをスッスッとかいくぐりショッピングモールを脱出。
自称お姉さん(笑)のせいで百均しか行けなかったじゃないか。
百均で買った防犯ブザーが早速役にたったけど釈然としない。
仕方がないので小型のスーパーで食料とお菓子、あとは飲み物を購入。誰もいない場所で収納。
一気に大量購入しちゃうとまた何かを呼び寄せちゃいそうだしね。
この流れでスーパーをハシゴしていく。最後のスーパーでも食材名の書かれた紙を店員さんに見せるというウルトラテクニックを駆使して色々と買い込むことに成功したので誰もいない場所で瞬間移動をして隠れ家へ到着。
お酒とかお土産にとも思ったが5歳の身体では買えないんだよねぇ。
ふふ、しかしお楽しみは帰ってからからだ。
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