第29話 可愛いから。



家族が帰ってこない内にティナさんのテストを行うことになった。


のだが…


「アハハハハ!軽い!軽いぞ!身体が羽のように軽い!!

これが!我が神の力だぁぁぁ!」


イケオジ神さん、ちょっとイタい子が何か言ってますよ。


いやしかし、なんだこの身体能力?

この世界の人間のレベル超えちゃってるよ。

きっとエルフ流なんだろうけど舞うような剣技にあのスピードは早送りの映像を見てるみたいだよ。

かなりやると思ってたマイケルが防戦一方とは。

逆にあれを防いでるマイケルも凄いな。

魔法無しの身体強化だけなら5歳のボクの体じゃついていけないと思う。

何でもありの真剣勝負ならボクが負ける事は絶対に無いんだけどね。


「はーい、おわりー」

「もっといけるぞ!ます。」

「ハァハァ…剣技はまだまだですが…ハァハァ…驚くべき身体能力ですな…ハァハァ…」

「マイケル無理させちゃってごめんね?少し休んでて。」

「お気遣い有り難う御座います。お言葉に甘えさせていただきます。ハァハァ…」

「ティナさん、ちょっといいかな?」

「はい!なんなりと!」


おおぅ、息切れ1つしてないよこの人。


「うん、ちょっとそこに座って?」

「はい!」


あ、座り方可愛い。

正座の足を両外に崩してペタンと座る所謂いわゆる女の子座りである。


「ちょっと見させてねー」

「はい!あの!は、きききキッスも初めてなので優しくお願いします!」


見させてっつっただろ!


「…じゃあ目を閉じてねー」

「んむぅぅぅぅ」

「タコみたいな口しなくていいから」


ティナさんのオデコに手をあてて透視する。

普通に触らずに透視する事も出来るけど直接触れた方がイメージが入ってくるんだよ。


ふむふむ…あー、これアレだ。

身体を再構築してるときにティナさんの魔力臓器の質が上昇しちゃってるわ。

考えられるのは大量に流し込まれたパーフェクトヒールのボクの魔力を魔力臓器が取り込んでしまったとかかな。

流し込まれた魔力の速度が速かったのとあとは量と質かな。それらがティナさんの魔力臓器を刺激したのかもしれない。

さらに言えばダメージが蓄積されていた筋肉組織が全て生まれ変わった上に活性化したからストレスフリーになった、とかかな?その辺はわからないな。


「はい、もういいよ。」

「あれ?ちちちチューは?」

「しないよ?」

「そんなぁ!?主殿は私のすすす全てを見ちゃったんだから責任取ってくれなきゃ…ダメなのにぃ…」グスン


なんで時々しおらしくなるかなぁ。

でも可愛いから

「採用で。」

「やった!!」

「レオン様?今、可愛いから採用とか思いましたかな?」

「かかか可愛いなんて!主殿は正直者なんだな!です。」


肯定すると後々鬱陶しそうなので無視だ。


「想像だけどティナさんの強さの秘密が大体わかった。」

「ほほう。さすがはレオン様ですな」

「秘密があるの!?ですか?」

「想像でしかないんだけど簡単に説明するね。

回復魔法を掛けた時に全身リフレッシュしたのとボクが流し込んだ魔力にティナさんの魔力の元が反応した。ってとこかな。」

「主殿の魔力が私の中に…なんかお腹の奥がキュンキュンしてムズムズしてたのは…妊娠!?」

「違うから。」

「グールのような状態だったから感覚もかなり鈍っていたのでは?」


グールって…まあ確かに生ける屍だったもんなぁ。


「じじじじゃあ!今あの魔法をかけられたらどどどどーなっちゃうんだ!?」

「やらないからね?」


体をクネクネすな。


「うん、とにかく採用で。今の身体能力がいつまで続くのかも検証したいし、まずはマイケルの下でメイドの仕事を覚えてもらってついでに鍛えてあげてよ。」

「かしこまりました。」

「えぇ!?主殿と24時間一緒に居られないの!?ですか?そんなぁ…チャンスが減っちゃうよぉ」


うん、可愛い。


「採用で。」

「レオン様?」

「コホンッ。ではマイケル、お願いね。じゃあ、ボクは一足先にメイザルグの屋敷に戻るから。これ以上ここにいると面倒だし。」

「それなら私もご一緒しましょう。」

「わわ私も行くかりゃ!」


噛んだ…可愛い。

「採用で。」

「エヘヘヘ♪」

「ハァ、レオン様…」


いや、さすがはエルフ、見た目が整ってて超絶可愛いんだよなぁ。

見た目の年齢は16~17歳くらいか?


屋敷の中に戻り荷物、といっても殆ど無いけど収納にぶち込む。

マイケルも心なしか自らの収納魔法にニヤニヤしている。


残るメイドに言伝もしておいたし準備完了かな。


さて、帰るか。


「はーい、ティナさん手を「はい!」ふぅ…マイケルも」

「はい」

「んじゃ手を離さないでね?変なタイミングで手を離しちゃってこの世から消えても責任とれないからね!」

「ゴクリ」

「せせ責任は!取ってもりゃうから!」


噛んだ…可愛い。

「採用で。」

「・・・・・。」

「エヘヘヘ♪」


「じゃ、行くよ!転移!」



・・・・・・・・・・・・



おー、久々の我が家だ。

「こ!これは!いや、これが神の御業!!おぉぉぉ!神よ!」

「あれ?ここは?」

「ここはメイザルグ領にある僕たちの屋敷だよ。」

「凄い!一瞬でこんなとこまで!?

これが主殿のお力!!」


無視だ、無視。


「じゃあ、ボクはこのまま湖の別荘に向かうから。あとはよろしくね。ティナさんはしっかり学ぶように。」

「えぇー、私も行きたいなぁ…」


可愛いからまぁいっか


「じゃあ一緒に行こ「レオン様?」」

「いや、今の無し。」

「後ほど騎士とメイドを送りますので。」

「うん、お願い。じゃ。」


シュンッ!!


「消えた…」

「あ!主殿ぉ!!置いてっちゃやだー!!」


今回は1人なので瞬間移動で湖の別荘へと移動した。




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