第19話 双子は願う



姉ーず


「レオン君変わったよね?」

「そうね、何があったのかしら?」

「お披露目のパーティーだし少し頑張ったのかな?」

「少し頑張ったくらいで元の姿には戻れないと思うわよ?」

「でもあの可愛く変わった姿をほかの令嬢とかに見せるのヤだなぁ。」

「そうね、令嬢からはきちんとガードしなきゃ…。なんならレオンに貰ったネックレスの力で物理的に…」

「そんな事しちゃダメだよ、レオン君に嫌われちゃうかもしれないよ?」

「じゃあやめとく。でも今までレオンの事をバカにしてきたヤツらにはキッチリ落とし前つけてもらわなきゃね。絶対許さない!」

「そうね、デブだのオークだの肉団子だの言いたい放題だったもんね。しっかり見直してもらわなくちゃね。」

「特にあのシャラークセ伯爵のバカ息子!あいつが有りもしない噂話を広めてる事もわかってるんだから!あいつだけは殺しても足りないわ!」

「あー、あの子ねぇ…」

「金にモノを言わせて成り上がった成金伯爵のくせに!あろう事か私達相手に妾にしてやるとかほざいたの忘れたの!?」

「それでレオン君が怒ったんだもんね。忘れるわけないよ。」

「あの伯爵は事あるごとにメイザルグ伯爵家を目の敵にして!

私はレオン君に呪いをかけたのもあの伯爵だと睨んでいるんだけど!」

「証拠がないのよね。」

「マイケルが色々と手を尽くしてくれたんだけど尻尾を出さなかったらしいのよ。」

「さすが腹黒タヌキだよね」

「今回のパーティーでもどうせお祖父様に媚びを売りにくるんでしょうけどいつか絶対尻尾を掴んで振り回した挙げ句に肥溜めに沈めてやるんだから!」

「レイア、下品よ?」

「とにかく!明日はレオンに悪い虫がつかないようにするわよ!悪口言ってたヤツらも制裁する!いいわね?」

「制裁するなら貴族らしくね?物理はダメよ?」


コンコンコン

「レイラお嬢様、レイアお嬢様、奥様がお呼びです。」

「「今いきます」」



このタイミングでお母様からお呼びがくる?

きっと明日の為の作戦があるのよね!



「「お母様、お呼びでしょうか」」

「お掛けなさい。

では単刀直入に言い渡します。

パーティーでは大人しくしておきない」

「どうして!?」

「レイア、あなた方子供が舌戦であのボンクラタヌキに勝てると思っているのですか?」

「いえ、それは…」

「中途半端な口撃は相手に隙を突くチャンスを与えてしまいます。

レオンの事であなた達がいきどおっているのは痛い程わかります。

わたくしもできる事ならゴブリンの糞をあのよく回る口にねじ込んでやりたいのです!

ですが今回は控えなさい。」

「お母様はどうするおつもりですか?」

「うふふふ…こちらにきなさい、あのゲス共に恥をかかせる事ができる作戦を授けましょう。」


ゴニョゴニョコニョ…


「そ、それは!」

「しっ!誰が聞いているかわかりません。静かに」

「ですが!」

「あなた達2人がレイナルドとレオンを輝かせるキーになるのです。2人の為に今回は目を瞑りなさい。」

「「わかりました」」

「よろしい。あなた達2人は…そうね、何も考えなくても良さそうね。どうせレオン以外は眼中に無いでしょ?」

「「当然です!」」

「こんなにも愛らしく育ったんだもの、黙ってても向こうが放っておいてはくれないでしょうけどね」


お母様はクスクスと笑いながらくだらない事を言う。

家族以外の男なんてどうでもいい、

なんなら絶滅すればいいまである。

レイラと私はレオンと共にある事を望んでいる。

血縁なんてあっても無くても関係ないの。

私達にはこのメイザルグ家が必要でレオンが絶対の存在なのよ。

そう、神様に愛され認められたレオンが!



あー、またレイアが考えこんでいるわ。

考えてる内容は手に取るようにわかる。

家族以外の男なんて気持ち悪いだけなんだから仕方がないわよね。

たまに思うの。

私達がお父様とお母様の実の子じゃなくて良かった、と。

だってレオンがレイナルド兄様と同じ立ち位置なんて考えられない。

ああ、早く大人になりたい…

きっと私達はお母様よりも美しくなるわ!

待っててねレオン。




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