第4話 兄の悩み
領内のレストラン
少し早めの夕食を済ませティータイムに入ったので会話が始まったのだが
このような危険な土地を任されているお父様は実力を兼ね備えた良き領主であり尊敬できる人物であるとわかった。
政治方面は苦手なようだが…
脳が下半身にあるだけはある。
脳筋とはよく言ったものだがこの人に関しては脳キンなのだろう。
そんなお父様をサポートするべくメイザルグ伯爵領の政治は実家の侯爵家の伝手も上手く使いお母様が手腕を奮っているようだ。
普段は家族ラヴなお花畑のイメージしかなかったがボクの知らない時間はちゃんと仕事をしていたようでなによりである。
そんな感じに伯爵領の事を聞きだしているとお父様が
「何か欲しいモノはないか?
レオンの誕生日に同席できなかったのがパパの心残りなのだよ」
とおっしゃる。
恵まれた環境だからか欲しいモノなど何も思いつかないが知識欲だけは湧き出てくるわけで。
せっかく転生?して良い家族にも恵まれたわけだ…
今回の人生において何を成すべきかと考えていた。
このままデブデブダラダラと無能ムーヴをかましながら家柄におんぶに抱っこで何も成さずに生きるのは性格的に無理がある。
だからといって目立ちたいわけでもない。
なので将来お父様やお兄様を影でサポートできるようになれば良いんじゃなかろうか?
この世界に存在する人類の強さも気になる。
魔法なんてモノが存在するんだ。弱いわけがない。
「では、剣と魔法を学びたいです」
・・・・・・・・
翌日から鍛錬が始まった。
お兄様が実家にいる1ヶ月はお兄様が教えてくれることになった。
その間に家庭教師を探してくれるそうだ。
午前中は剣の稽古から。
まずはお父様とお兄様の模擬戦の見学。
「ハハハ!
レイナルドよ!強くなったな!」
「まだまだ父上にはかないません」
などとテンプレっぽい会話をしながら木剣をカンカンと打ち鳴らしている。
そして
型を教えてくれるんだが…
息切れがひどい!
ダイエットせねば…
それよりも気になる事がある。
「お兄様、質問があります」
「ああ、わからない事は何でも聞いてくれて構わないよ。」
「学園ではお兄様はどれくらいお強いのですか?」
「ハハハ、そんな事か、兄は剣の勝負なら同学年の生徒には負けた事が無いから…剣だけなら一位かもしれないね」
「そ、そうなんですね」
ん~む…マジかぁ。
ハッキリ言って弱い。拍子抜けだ。
今のボク、つまり何の訓練もしていないおデブ五歳児(転生者)でもいい勝負ができそうなほど弱い。
まあ、あれだ。
現代の実践武術を知っていて幼少期から叩き込まれてきたボクからすれば学年最強のお兄様は五級の緑帯ってところだ。
お父様は初段で黒帯か。
「お兄様は魔法も凄そうですね」
「残念ながら兄は魔法が使えないんだよ」
とお兄様は少し悲しそうに答える。
「魔力の訓練などはしているんだけど発動できないんだよ…」
んんん???
透視で見た感じだとお父様より魔力の素質はあるはずなんだけど…
「お兄様、お昼からは魔法のお勉強ですよね?」
「ああ、そうだね。発動できないだけで知識はあるから心配しなくてもいいよ。」
・・・・・・・・
昼食後、
お兄様の講義が始まった。
「まずは魔力を感じる事から始めようか。
身体の中の魔力が溜まる場所がお腹の辺りにあるんだ。そこに向けて集中してごらん。最初は目を閉じて、お腹に手を当ててそこに意識を向ける感じで。」
そう、先日透視で確認した謎臓器こそ魔力のタンクだったのだ。
暇な時間を持て余していたボクはその謎臓器の解明に勤しんでいた。
最初は身体の中にある邪魔にならない異物程度に思っていたが
集中してさらに深く透視して謎臓器の仕組みを調べていたのだ。
そしてその臓器に集中していると臓器からオーラのようなモノが流れ出したではないか。
当然全身に巡りだしたオーラを動かせるように集中する。
寝る前に念動力も駆使して高速で循環させるなども試してみたりもしていた。
結果、動かせば動かすほど、集中すれば集中するほどそのオーラは多く色濃くなっていく事がわかった。
でだ、そんな事をしていると他の人はどうなのかと気になり始める。
他人を透視する場合は千里眼を飛ばす必要が無いので透視する場所さえ特定していればそこまで集中する必要もないわけで。
屋敷の使用人やお母様、お姉様と暇な時に
やはり全員に謎臓器があり、少し集中すると謎臓器から体にオーラが流れている事がわかったのだ。
面白いのは男性はへその奥辺り、他の臓器に囲まれて隠れている。
女性は子宮全体と同化している感じで少し男性とは場所が異なるのだ。
で、昨日お父様とお兄様も視たわけなんだけど
お兄様の魔力の方がお父様よりも濃かったのだ。
何でだ?
何かがおかしい…
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