第24話 パーティー第二幕



おっと…ここで知らない人が?

でも向こうは会ったことあるみたいな感じだったけど。


「レオンよ、何を不思議そうな顔をしておる?お前の命を助けてくれた聖女様だぞ。」


あ!この人が聖女様か!!

考えてみればここは王都で侯爵家のパーティーだもんな。

来ていても不思議じゃない。

ジィジ!ナイスアシスト!


「あら、忘れられていたようですね。悲しいわ。」


はぅ!こんな姉ーずに劣らぬ美人さんを忘れてしまうなんて!


いや待て。


もしこの方が聖女様なら会った時はボクが死にかけていて聖女様の顔なんて見ているはずが…

からかわれた!?


「申し訳御座いません。当時、聖女様とお会いしたときは何分なにぶん死にかけていたもので。もし、あの時にこのようなお美しい聖女様のご尊顔を拝していれば忘れるはずもありはしません。」

「(なかなか言うじゃない)

聖女様などと…アリス、アリスと呼びなさい?」


「「「ウウウゥゥゥ!!!」」」


うなりだす姉ーず+1。犬か?番犬なのか?

待て、姉ーずはいつもの事だがサリア嬢までなぜ唸る。


「どうどう、落ち着いてくださいお姉様達。」

「「お姉!?」」

「わ、私の事はサリアでいいんですわよ?」


ここは社交の場でお姉ちゃま呼びはご勘弁を。

サリア嬢は言葉遣いおかしいからね?


「あらあら、こんな可愛いお姉様達に守られていては他の令嬢達は近づけませんね。まわりを見てごらんなさい?あなたに話しかけたくてウズウズしているご令嬢が沢山ですよ?」

「聖女様、そのような…「アリスです。」」

「しかし聖女様「アリスです。」」

「聖…「アリスです。」」


かぶせるの早っ!

しかもずっと同じトーンだと!?

ヤバい、この人は危険だ。

ボクの直感がそう囁いている!


「で、ではアリス様で」

「まぁ、今はそれで良いでしょう。

それで?あなた達はいつメイザルグ伯爵領に戻るのかしら?」

「はて、ボクは聞いては…」

「「ここは危険。すぐにでも!」」

「明日はこちらでゆっくりして明後日みょうごにちの朝にはちますよ。」

「「えぇ!そんな!?」」

「でで、では、明日はこのサリアがレオン様を王都観光へお連れしましゅ!」

「サリアさん?ハウスしなさい。」

「えぇっ!?」

サリア嬢、お母様の登場で緊張しつつも主張してきたな。

そしてアリス様…ハウスって。


「「しっしっ」」

便乗する姉ーず。


「フフ、レオンもさっそくモテモテですね。」

「いやぁ、そういうんじゃ…」

「「当然なのです!」」

「「でも許さないわ!」」

「そうそう、明日はレイナルドが学園に戻るのよ。だからその前に昼食を一緒にとりましょう。美味しいレストランがあるのよ。」

「マリアナ様、ワタクシもご一緒しても?」

「あらぁ、聖女様がご一緒してくださるなんて嬉しいわぁ。」

「ワタクシが聖女ならマリアナ様は聖母ですね」ニッコリ

「あら、お上手ね」ニッコリ


ウフフフフと悪巧みをしている代官と越後屋のように目だけが笑っていない2人。アリス様は確か8歳だったよな…。

この少しの間に何が2人を通じ合わせたのか…貴族間の含みのある言葉なんてボクには理解できないので気にしても仕方がないのかもしれない。


お猿さんが居なくなりパーティーはつつがなく進み無事に終わることができた。

レイナルド兄様はさすがのモテモテっぷりで常に貴族婦人やその娘達に囲まれて困惑していたが…。



そんなこんなで翌日。

「あのぉ、シャルネーゼちゃんはなぜこの馬車に?」

「昨日のパーティーでレオンお兄ちゃまに変な虫がついたようなので追い払いにきたのです!」

「・・・。で?聖女さ「アリスです。」…アリス様はなぜこの馬車に?」

「こちらの方が楽しそうだったのでお邪魔しました。いけなかったかしら?」

「いえ…。で?サリア嬢は」

「嫌ですわレオン様ったら、義務ですよぉ!」

「義務ってなん…」

「義務ですよ♪」ニパッ

「ハハハ、レオンも隅に置けないね」ニコッ

「「自分家じぶんちの馬車に戻りなさいよ!」」


我がメイザルグ伯爵家の馬車は6人乗りでボクの対面にお兄様と姉ーず。ボクの左右にアリス様とサリア嬢、膝の上にシャルネーゼちゃんが座っていた。


「ところでレオン君、昨晩そこのお姉様達とサリアさんに何か食べさせてましたね?あれは何なのですか?」


げぇ!見られてたのか!?

あんまり上位の人達には見せたくなかったから口に入る寸前まで収納から出さなかったんだけど、かえってそれが目についちゃったってことか。

「あれは旅の行商人から仕入れた珍しいお菓子でして、たまたまポケットに入っていた物で…」

「「あれ!美味しかった!!」」

「もう他のお菓子は食べられませんことよ。」

「むぅぅ!シャルは食べてないのです!」

「へぇ、そうなの。ワタクシも食べてみたいものですね。」

「申し訳御座いません、今は持ってきてないのです。」

「では屋敷に戻ればある、という事ね?」

ぐぅ、これは逃げ場が…


「「まだあるの?」」

し、視線が…


「レオン、僕も食べてみたいな?」ニコッ

お兄様まで!?

しかしこのまま屋敷に戻ればその他令嬢がついて来る事になってさらに面倒だ。だからといってここで出してしまうと持って無いと言ったボクが嘘をついた事になる。

ぐぬぬぬぬ…

「はい、屋敷に戻ってからでよければ」


詰んだ。


レストラン前には

メイザルグ伯爵家、キャラバン侯爵家×2、クィント公爵家、コテージュ男爵家、????


なんか知らない馬車もいるんだが?


「ハハハ、なんだかすごい大所帯になりましたね」

と兄様。


「そうね、なんだかオマケが沢山ついてきましたね。クィント公爵がレストランを貸し切りにしてくれたようなので困りはしないわよ?」


えぇい!余計な事を!

なんで昼ご飯食べるだけでこんなに人が集まってるんだよ!


・・・・・。


「あの…皆さんご家族とご一緒しないので?」

「ハハハ、近い年齢が親交を深めるための席になってるみたいだよ」

「子供同士で仲良くしなさいという事ね。」


アリス様、あなたは子供にカウントできないんですが?


「と、とりあえずシャルネーゼちゃんはちゃんと椅子に座ろうか」

「!?」

そんな驚愕の表情されても…

この子は当たり前のようにボクの膝の上に座ろうとするよね?

「いや、お姉様達も。片膝に1人乗れるとかそんなルールはないですからね?

サリア嬢も!次は私ね♪みたいな感じでこっちこなくていいから!

聖女さ「アリスよ。」アリス様も!顔真っ赤になるくらい恥ずかしいなら波に乗ろうとしなくていいですから!」

「ハハハ、レオンの友達はみんな愉快な人達だね♪」


兄様のマイペースさが恨めしいと思ったのは今回初めてだよ。


「で、アリスさ「アリスよ。あら」アリス様、こちらのご令嬢達は紹介してくれないのですか?」


「ごごごめんなさい!自己紹介がまだでしたね!ワタクシはソフィア=ジャスティールと申します。以後お見知りおきを。こちらは妹の」

「エリス=ジャスティール。」


あのぉ、ジャスティールってこの王国の名称なんですが?




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