おまけその2 アリス=クィント
二年前
ワタクシはアリス=クィント。
聖女と呼ばれている。
正直に言うと聖女なんて肩書きは面倒なだけで必要ないのよ。
式典とかあれやこれやと行事が多すぎる。自分の時間なんて眠る時だけだし。
そんなくだらない行事に時間を使うなら1人でも多くの人を治療してあげればいいのに。
だいたい聖女と言っても他の人よりも回復魔法が得意ってだけであとは普通なんだけど。
ある日、メイザルグ伯爵が泣きそうな顔をして小さな男の子を連れて大聖堂にやってきた。
その男の子は間違いなく王国随一の美貌を持つマリアナ様の子だと一目見てわかったわ。
でもこんなにも幼く可愛い子に呪いをかけるなんて信じられないわ。
危険な状態ね。
早く解呪してあげないと。
うっ、この呪い案外頑固だわ…
魔力がどんどん持っていかれる。
でもワタクシなら!
それから一年後。(現在から一年前)
あれから社交界でメイザルグ伯爵の男の子の噂を耳にする事が度々あった。
シャラークセ伯爵家の子とその仲間にいじめられている。
その理由も太っているから、オークのように醜いからとか。
その被害者たる本人も良い噂を聞かない。
やっぱりまわりから罵られ続けて歪んでしまったのかしら。
あんなに可愛い子だったのに
そして現在。
キャラバン侯爵様からレイナルド様の御披露目パーティーに招待された。
イケメンで優しい伯爵家嫡男。
おまけに侯爵家の孫。
今の貴族の子の中では一番の優良物件。
でもあの方は嫡男だし子供がワタクシ1人の公爵家に婿として迎えるのは無理かしらね。
メイザルグ伯爵家は貴族の中でも武力では一番、経済力でもかなりの有力貴族だもの。
嫡男を婿養子に出す事はないはず。
でも一応顔を売っておきなさいとお父様から言われたので行かなきゃいけなくなった。
侯爵邸パーティー会場
レイナルド様は魔法が使えるようになったとか。
これでメイザルグ伯爵家も安泰ね。
しかしマリアナ様…女のワタクシから見てもお美しいわ。
次男のレオン君だったかしら?
あのまま成長していればと思うととても残念な気分になるわ。
噂では醜いオークのような容姿になっているとか。
ハァ、勿体ないわね。
会場にはいるみたいだけれどここには居ないようね。
あら?そう言えば双子の姉妹も見当たらないわね。
あの2人もかなりの美少女だったはず。
「おい!どーしてくれるんだよ!」
あらあら、どこのお馬鹿さんかしら?侯爵様のパーティーで騒ぎをおこすなんて。
あぁ、あのお猿さんね。
絡まれてるのは…女の子かしら。
助けてあげなきゃ。待ってなさい!
あら?あの子…あの髪色は…
!!!!!!!
消えたわ!?
ドォォォォォン!!!
雷!?
そんな!今夜は月がよく見えるほど雲なんてなかったはずよ!?
あ!突然女の子の後ろに!?
そんな事があり得るの!?
あれは失われた魔法じゃ…
ダメ、あまり近付くと大人達の壁で見えなくなるわ!
今この侯爵様のいる場所からなら一部始終が見える。
やっぱり!双子の姉妹が彼の後ろにいるわ!
「お祖父様、何やら騒ぎがおきているようですね。」
「レイナルドよ、そのようだな。誰だ!あの小僧は!ここをどこだと思っておるのだ!しかも大事な孫の御披露目パーティーでぇ!ぐぬぬぬぅ!許さん!!」
あ、あのお猿さん終わったわね。
子煩悩な侯爵様を怒らせるなんて信じられないわ。
侯爵様のお怒りのオーラで人垣が割れて行く。
このままついていけばあの子の所へ行けそうね。
あらあら、みっともない。
まさかお漏らししてしまうなんて。
それも仕方のないことかしら。
ただでさえ怖い侯爵様を怒らせてしまったんだから。
衛兵がお猿さんを連行していきメイドが片付けをしている隣、
侯爵が抱き上げた男の子は
噂と全然違うのだけれど!?
どこが醜くてどう見ればオークなのかしら!?
なっ!!!!!!
どこからお菓子を!?
また!!!
手を口に持っていった時は何も持っていなかった…でも!いつの間にかピンク色のお菓子がレオン君の指につままれていてそれを身体をくねらせながら食べている3人。
目を閉じさせているのはあの不思議な現象を見せない為ね。
失われた現存しない何かしらの魔法を使っているのだとしたら…
あの先ほどの雷もまさか!?
こうしてはいられないわ!
こんな原石がいたなんて!
しかも誰もが見て見ぬふりをしている中でただ1人助けに
外見も心も!まさにワタクシの好みの男性!
そしてさらに未知の魔法が使える!
あの絡まれていた子には悪いけど…
いえ、別に悪くないわね。
「ワタクシは公爵家のアリス、アリス=クィントです。レオン君、お久しぶりですね?
二年前も可愛いかったけど5歳になってマリアナ様の面影がより際立ってきてとても美人になりましたね。」ニッコリ
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