おまけその1 サリア=コテージュ
私はサリア=コテージュ。
今日は寄親である侯爵様のお孫様の御披露目パーティーに行く事になっている。
あのレイナルド様の御披露目パーティーに出れるなんて!最高の日です!
でも心配なのはその弟のレオン様。
聞いた話だけど物凄く意地悪だという噂があるんだもの。
その容姿もレイナルド様とは似ても似つかないオークのように醜いと聞いている。
近づかないようにしなくちゃ!
パーティーの会場である侯爵邸の大ホールに到着するとまずは侯爵様にご挨拶ね。
あぁ!レイナルド様!今日もイケメンスマイルが眩しいです!
私のような男爵の娘にもお優しいなんて素敵すぎます!!
レイナルド様は王都の学園に在籍していらっしゃるからたまにお見かけするのだけど、こんな近くでお会いできるなんてっ!!
マリアナ様も国で一番美人だと聞いていたけど噂以上にお美しいわ!
あら?双子の姉妹様とレオン様がいらっしゃらない…
良かった…
レオン様と顔をあわせるのが怖かったからこのままパーティーが終わるまで会いませんように!
父上と母上は他の貴族様とお話するとかで私は1人になった。
仲良しの友達でも探そうと会場をさまよっていた時だった。
前からキョロキョロとしながらこっちに向かってくるお猿さんみたいな顔をした男の子。
とうとうぶつかってしまった。
「おい!どーしてくれるんだよ!」
「ご、ごめんなさい、でも余所見をしてぶつかってきたのはあなたで…」
なんて傲慢な人なんだろう。
自分が余所見してぶつかってきておきながら…
「貴様!シャラークセ伯爵家嫡男の俺に口答えする気か!」
「は、伯爵!?」
最悪だわ…
よりによってあのシャラークセ伯爵の御子息様だなんて。
なんてついてないの私!
「そうだ!フフン、だいたいお前のような貧乏くさいヤツがなぜ侯爵様のパーティーにいるんだ!」
お呼ばれされたからに決まってるでしょ!とは言えないよ…
「ふん、そんな安っぽいブローチなんか着けやがって!」
「あ!返してください!それは母の」
「なんだぁ?逆らうのかぁ?こんなもの!こうしてやる!」
「いや!ダメー!」
それは母上がお婆様から譲り受けた大切な…
「あぁ…」
「ふーん、お前、貧乏くさいけど見た目はなかなかじゃないか。泣き顔がいいな。将来的に少しは期待できそうだ。よし、お前!俺様の奴隷になれ!そうすれば今回の無礼は許してやる」
「奴隷!?そ、そんなぁ…」
奴隷?奴隷なんて嫌っ!!
そんな時
ドォォォォォン!!!
大きな雷が落ちた。
「うわぁ!」
「何事だ!?」
「きゃーーー!!!」
「空が光ったぞ!」
まわりはびっくりして大騒ぎになっているけどいつの間にか綺麗な男の子が私の後ろにいた。
「キミ、大丈夫?」
「え?あ…」
男の子は私を立たせてくれてハンカチまで貸してくれた。
「あ、ありがとうございます…」
「うん。で、あのブローチは大切なモノなの?」
「母がくれた大事なブローチだったんです。でも割れてしまいました…うぅ…」
あぁ、ダメ、思い出したらまた悲しくなってきたわ…
「おい!貴様!」
あ!シャラークセ伯爵のご子息様が男の子に怒りだしたわ!ダメ!巻き込んじゃう!
男の子は聞こえていないのか無視しているのかわからないけど拾い集めたブローチの欠片を渡してきて手品を見せてくれるって…
そんな場合じゃないのに男の子に手を握られて照れてしまっている。
顔が熱いよぉ!きっと顔が赤くなってる。恥ずかしいです!
「はい、3・2・1…」
男の子が3つ数えると手の中から優しい光が漏れてくる。
「さぁ、手を開いてみて?」
「わぁ!ブローチが!母のブローチが!あら?なんだか前よりも綺麗になって?」
壊れたはずのブローチが直ってます!
しかも前よりも綺麗に輝いてるし!
男の子は可愛いからサービスだって。
可愛い…可愛いって言った!
わかった、わかっちゃったわ!
この男の子は私に一目惚れしたんだわ!
どうしましょう!こんな年下の男の子を魅了しちゃうなんて。
可愛いすぎる私、つ・み・つ・く・り♪
でもこれくらいの男の子はお姉さんに憧れるっていうし、困っちゃうわ。
でも待つのよサリア、良く見なさい?この男の子はどう見ても年下だけどこの
あああ!!どうしましょう!
私にはレイナルド様がいるのにぃ!
ま、相手にはされてないんですけどね…
※この脳内会議はわずか二秒の出来事である。
「おい貴様!俺様を無視して女を口説いてんじゃねぇ!その女は俺様の奴隷になるんだぞ!」
邪魔な人!現実に引き戻さないでよ!
あ…このお猿さんヲワタ。
侯爵様が騒ぎに気づいて一括。
お猿さんは侯爵様の威厳に恐怖してしまいお漏らししちゃった。
しかも前から後ろから。
同時に漏らしちゃうなんて器用なのね?
え?なんですって!?
この男の子があの悪名高いレオン様?
噂と全然ちが…
え?何?目を閉じろって…
わ、私ナニをされちゃうの!?
怖いよぉ!あっ!
何かしらこのストロベリーの甘く芳醇な香りに軽い口どけ。
お菓子?これが!?
こんなの知らない!こんなの知っちゃったら他のモノなんてもう満足できなくなっちゃうぅ!!
あら次は何?もう驚かないわ。
ぎゃーーーー!!!!
何この可愛い双子は!
レイラ様レイア様…
お人形さんみたい。お家に欲しい!
あぁ、そんな…可愛い!
あーんのお顔が可愛い!
美味しそうに頬張って可愛い!
ムグムグしてる可愛い!
自己紹介可愛い!
こっちを睨んで可愛い!
弟を守ってる可愛い!
何をしても可愛いいいい!!!!
あ、また違うの出てきた…
こ、ここ公爵令嬢のアリス様!?
聖女様キターーーーーー!!!!
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