第8話 隠れ家
早朝に起きたボクはさっそく転移の魔法を試してみる事にした。
心の中で元の世界でボクが隠れ家として使っていたマンションのリビングを座標として設定する。
ここまではボクの瞬間移動と同じ。
次元魔法の魔法陣はボクの中に刻まれているから魔力を集めて魔法陣に流し込む必要がない。
なのでこのまま…
「転移!」
…きた。
ぐるりと周りを見渡すとテレビにソファにテーブル、そして愛するキャラクターのフィギュア達。
ノートパソコンも前回ここを使った時のままだ。
他人名義で買ったマンションで全て銀行引き落としにしてあるから数年たってるはずだが電気も水道もまだ通ってる。
「はは…あははははは!!!」
込み上げてくる笑いが止まらない!
これできっちりケジメをつけることができる!
今はまだ子供で自由な時間も限られている。
ケジメをつけるのはもっと余裕が出来てからだな。
組織から経費として預かっているお金も金庫に入れてあるままだ。
これまでの仕事の報酬を貯めた分もかなりある。
この隠れ家もバレてないみたいだしここを拠点にしてじっくり考えるさ。
さて、姉様にお土産でも買って帰るか。
金庫から適当に金を持ち出し数年ぶりのコンビニへと向かう。
異世界スイーツの定番と言えば…
なんだっけ?
スナック系は論外として
やはりチョコレート系が無難と言えば無難だよねぇ。
ソフトキャンディもありか?
アイスは…収納の性能次第かな。
あ!忘れちゃいけないマヨ!!
調味料や香辛料も持っていこう!
謎の旅の行商から仕入れたと言えばごまかせるはず。
おぅ、これのウケが良ければ将来金に困ることは無いな!
今からでも少しずつ自由にできるお金を貯めとくのもありか?
まあ今回はコンビニだしそこまでのモノは無いから適当に買って行こう。
色々と購入して隠れ家に到着した僕は
帰る前に次元魔法がどんなモノなのか確認してみることにした。
魂に刻まれた魔法陣を読み取るために千里眼からの精神感応を使い確認作業に集中する。
元となる次元魔法
次元を操作できる。空間を繋げたり切り離したり別次元の法則すら操作できるみたい。
応用次第では強力な攻撃手段にもなりそうだ。
次元魔法の派生魔法
異次元収納魔法
別次元とこの世界を繋いでモノを送ったり取り出したりする事ができる。
次元を操作できるんだから時間の流れが無い次元も作れるって事だよね。
転移魔法
これはもう使ったから解る。
次元の壁を通過する事で任意の場所に移動できる。
転移魔法は次元を越える事ができるし接触さえしていれば何人でも移動可能だが魔力の消費がある。
一長一短だけど両方使える僕にはプラスにしかならない。
さっそく収納魔法を使ってみる。
まずは次元の指定。
時間経過の無い次元に改造して固定する。
「収納!」
よし。
(収納!)
うん、声を出さなくてもちゃんと収納された。
(収納!)
触れていないモノは収納不可か。
取り出しは普通に何もないとこに手を突っ込んで取り出したいモノを指定すれば取り出す事ができた。
後は本当に時間経過が止まっているかの検証かな。
冷凍庫から氷を収納して30分ほどしてから取り出してみた。
うん、溶けてない。
これでアイスクリームとかの冷凍スイーツもいけるな!
とりあえず今はこれでじゅうぶんかな。
いくら早起きしたからってそろそろ戻らないと騒ぎになってしまう。
買ったモノを全部収納して家族のいる世界へ転移した。
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