第40話 開眼



ダンジョン内部に侵入したはいいけど敵が弱い。

しかもダンジョンなのにずっと一本道なのだ。

罠も無く迷路になっているわけでもなく…


そうして到着したのは地下10階。

9階からの階段を進むと高さ3メートルはありそうな扉。


「中に何かいそうな部屋だな、ですね。」


ゲームとかラノベなら間違い無くボス部屋だろうけどここは異世界であってゲームではない。


「うん、じゃあ入ろう。」

「ここは私が!」


また引く扉を押して赤面でもしてくれるんだろうか。


ティナが扉を押すと音も無く扉が開いていく。

んむ、ホッとしている姿が可愛い。


中には無数のスライムがヌルヌルと蠢いている。

定番の服だけ溶かすヤツとかいたりして…

いたら捕獲してみた…「ブツブツブツ…ファイアトルネード!!」ああああああ!!!


大きな部屋が炎の竜巻で埋め尽くされスライムが次々に蒸発していく。

「ティナさんや?…なんで?」

「なんだか悪寒が走ったんだ、です」


感の良い子!!


「スライムは危険な割に魔石すら持たない魔物だ、瞬殺するのがベストだろう、です。」


ふんす!と胸を張って褒めて?みたいな視線を向けてくるがボクのお楽しみを奪ったかもしれないので褒めてあげないのだ。


「主殿、宝箱みたいなのがあるぞ、ますよ?」

「開けていいよ」


こんな階層でミミックみたいなのはいないだろうし大したお宝が出る気もしないので軽く言ったんだけど…


「あぁるじどぉぉのぉぉぉ…」


口を開いたミミックみたいなヤツに上半身飲み込まれてるんだが?


なんなんだろうこの気持ち…


魔法は危ないので物理でミミックを切り刻むと飲み込まれてからネックレスのシールドを展開したせいでミミックのヨダレ?体液?で上半身ヌットヌトのティナが号泣していた。


「うわあああああん!!あるじどのぉぉぉ!!!」

「いや、うん、あんまり近寄らないでね?」


ミミックのヨダレが思いのほかにおうのだ。


とりあえず水魔法を頭からぶっかけて粘液は洗い流しておいた。

「主殿…この扱いは…」などと文句を言いたそうにモヤっているようだが見た感じ嬉しそうなので相手にしてはいけない。


宝箱の奥に通路が出現していたので進んでいくと例の石板が設置してあったので手をかざして登録しておく。


「さ、今日はこの辺りで引き上げよう。におうし。帰ってお風呂に入って綺麗にしてね。臭うし。」

「あ、あ、主殿!うら若き乙女に向かって臭うなどと!酷くないか!?」

「うん、乙女はそんな悪臭を放ったりはしない。そして何の警戒もせずに宝箱を開けちゃうのはアポの子だと思うんだ。」


「くぅぅぅ!」と言葉を出せずに何かに耐えているようだが気にしてはいけない。

帰ったら異世界定番のクリーンの魔法とか作ろうと思った。


ダンジョンの転移システムを使い入り口へ戻りそこから別荘まで転移する。


ダンジョン内部では転移魔法と瞬間移動の両方が使用可能だったので次回からは10階の安全地帯?まあ、石板のあるとこまでは転移で移動できると思う。


・・・・・・・・・・・・



「お帰りなさいませ。」

「うん、ただいまマイケル。

とりあえずそこのくさいのを風呂に入れてあげて」

「臭いっていうにゃぁぁぁ!!」

「ハハハ、ボクが女の子にそんな事言うわけないじゃない、どんくさいって言ったんだよ?」

「え?あれ?それなら…いいのかな?」


アポの子で助かる。


「「レオン君!お帰りなさい!」」


キラキラした目でお土産は?みたいな顔をされても魔物の素材くらいしかありませんよ?


「レオン君!聞いたわよ!」

「美味しいお肉食べたんでしょ?」


姉ーずは食欲旺盛で何よりです。


「じゃあ今夜はお肉料理にしてもらいましょうね」


「「やったー!」」と抱きついてくる2人に狩りの後なので汗臭いですよ?と言うとさらに吸引力を上げてきた。


なんでや?


そしてメイドが1人唇を噛んで悔しがっているが見なかった事にする。


皆で夕食をとり食後のまったりタイム。


「今夜は研究しなきゃいけない事があるのでお部屋で大人しくしておいてくださいね?」

と姉ーずに向けて言うと

「えー、邪魔しないよ?」

「静かにしてるから一緒に寝よ?」


お人形さんみたいな可憐さを前面に押し出してボクを惑わせにくる。


「ダメです。」

「えー?なんでー?」

「私の事嫌い?」


レイラ姉様は年相応なのに対しレイア姉様はくっそ重い彼女のような言動でせめてくる。

どこで歪んだのか姉よ。

弟は先が心配です。


しかしこのままでは平行線かなぁ。

しょーがないなぁ

ぱららぱっぱぱー

ハーゲンダ●ツぅ

「あー、少し甘いものでも食べようかな」

独り言のように呟き1人厨房に向かう。

収納から例のアイス(クッキークリーム)を取り出し盛り付けて戻る。

そして姉ーずの前でこれ見よがしにスプーンで一口…

「あー、あまぁぁぁぁい♪」


その瞬間まわりがざわつき始める。

あ、しくった…まだ皆いたんだった。


「主殿!私も食べてみたい、な?」

「あー、レオンたんだけずるいんだー」

「あーしも食べたーい、あーんしてぇ?」

「使用人のお前達が何を言っているのですか?」

「げ!執事長だ!やべぇ逃げろ!」

猫ギャルは逃走した。


「あ、主殿、早く、あーん…」

ズビシッ!

「ああああ!あるじどのぉぉぉ…」

マイケルの会心の一撃

アポのエロフは引きずられて行った。


マイコゥぐっじょぶ。


「あー、甘くて美味しーなー」


ゴクリッと生唾を飲む姉ーず。

もう一押しかな

「あー、静かに研究させてくれる優しいお姉様がいればあーんするんだけどなぁ」

「レ、レオンクン…あーん」

はい!釣れたぁ!


目を閉じて少し震えながら小さなお口をあーんと開いているレイラ姉様。

ローリーな紳士諸君にはたまらないワンショットだ。


「ほぉら、美味しいよぉ、

こぼさずにゴックンするんですよぉ」


んむ、なんかエロおやぢのようだな。


「レイラ!?うらぎりものぉぉぉ!」

グギギと歯軋りしそうな顔でレイラ姉様を睨むレイア姉様。


「レオン君!これは何!?

なんなの!?濃厚な甘さの中に香るバニラとほろ苦いクッキーの組み合わせ…これは!こんなの知らない!

もっと食べたいな?」


んむ、可愛いのでもう一口。


「あーん…ムグムグ。はぁぁぁん!!

おいひぃ♪」

パァァァ!と美少女女神のセラフィ様もびっくりの美少女スマイルである。


「あ、もう一口分しかないや。では御馳走様でした。あーん」

「レ、レオン!待ちなさい!

私の負けよ。さぁ、その白いモノを私の口に!あぁん…」


ふふふ、女子が甘いものに勝てるわけがあるまい。


「えぇ、もう一口しかないしなぁ」

「意地悪言わないで!ね?お姉様の事だいしゅきでしょ?」

「うーん…じゃあ「レオン君だいちゅき♪邪魔しないからね(ハート)」で許してあげます。」


「え、そんな簡単なのでいいのぉ?」

とレイラ姉様。

しかしツンデレなレイア姉様からすれば

「そ、そんな…私が!?」


結局NGを三回ほど出したが

ポーズ付きで言わせたった。


「くぅ!ムグムグ…美味しい…

悔しい!殺してよぉ!!」


なんか色んな意味で開眼した気がする…


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